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「狗肉節」は野蛮か?

文化かモラルか生きるためか、「犬肉食」論争

2014年6月25日(水)

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 どこの国でも、外国から見たら野蛮だと目に映る食文化があるものだ。例えば中国の犬肉料理などもその一つだ。中国各地に伝統的な「狗肉節(犬肉祭り)」の日というのがあるくらい、犬肉は好まれる。町をあげて大量の犬をみんなで食する一大グルメイベントで、かつては、全国各地から犬肉好きが集まったものだった。

 だが近年、この犬肉祭りは、国内外の愛犬家たちから残虐だ、非文明的だ、動物愛護精神に反するなどと批判を受けていたこともあり、中止命令が出された地域もある。一方で、伝統的食文化を欧米の価値観で否定されることへの抵抗感も強く、ネット上でもしばしばはげしい論争に発展している。

 先日、この「犬肉祭り」をめぐってついに流血沙汰まであった。食文化に誇りもこだわりもある中国人の間では、この犬肉食問題はサッカーワールドカップに次ぐ夏のホットイシュー。伝統か動物愛護か。食欲かモラルか。日本でもイルカ・クジラ漁を巡ってよく似た論争があるこのテーマ。中国のケースについて報告したい。

朝に犬を屠り、夜にライチと食す

 広西チワン族自治区玉林市は毎年夏至の日、ライチと犬肉を食べて暑気払いをする伝統がある。日本の土用の丑の鰻みたいな感覚だろうか。「玉林茘枝狗肉節」と呼ばれる一種の行事になっている。ちなみに玉林市当局は、犬肉業者やレストランがそう呼んでいるだけで、市の主催の祭行事ではないと強調している。犬を残虐に殺さないようにという通達は出しているそうだが、食べることは禁じていない。

 夏至の日の朝に犬を屠り、夜にライチと犬肉を食べるという風習は別に玉林特有のものではないが、玉林のその日の盛り上がり方は格別だ。往来の屋台で次々と犬がさばかれ、大鍋を火にかけて調理をはじめ、夕方には町中に犬肉料理の濃厚なかおりが立ち込める。夜には提灯の灯りの下で、老若男女が酒を飲み、犬肉料理とライチを腹がはち切れるほど食べるのだ。玉林市は人口600万人ほどだが、その日だけで例年1万匹以上の犬が血祭りにあげられるとか。

 ところで数年前から、全国の愛犬家が、この犬肉祭りを妨害しようと夏至前になるとこの町に結集するようになった。犬肉愛好家VS愛犬家の仁義なき戦いが繰り広げられ、それを報じようと国内外メディアも結集するので、夏至のころの玉林界隈はたいそうな騒ぎになる。愛犬家たちは大金を支払って、犬市から肉にされる前の犬を「身請け」することもある。犬肉は夏至前に値上がりするが、それでもだいたいキロ50元前後。だが愛犬家たちは数百元を支払って犬を買い占め、その命を救う。中には7万元を支払って200匹の犬を買い占めた愛犬家もいた。

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「「狗肉節」は野蛮か?」の著者

福島 香織

福島 香織(ふくしま・かおり)

ジャーナリスト

大阪大学文学部卒業後産経新聞に入社。上海・復旦大学で語学留学を経て2001年に香港、2002~08年に北京で産経新聞特派員として取材活動に従事。2009年に産経新聞を退社後フリーに。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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