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渇水の北京、対策は汚水の引き込み

「南水北調」計画を強行も、水源汚染は放置の愚

2014年7月11日(金)

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 中国の“南水北調工程(略称:南水北調)”は、南方地区にある“長江(揚子江)”流域の豊富な水資源の一部分を振り分けて、北方地区の“華北地方”や“西北地方”へ送り、中国の“南澇北旱(南方は洪水、北方は旱害)”という構図と北方地区における慢性的な水資源不足を解消しようという重要かつ戦略的な計画である。

 この計画は1952年10月30日に、当時の“中央人民政府”主席であった“毛沢東”が、「“南方水多,北方水少,如有可能,借点水来也是可以的(南方は水が多く、北方は水が少ない。もし可能なら、南方の水を借りるのも一つの方策だ)”」と提起したことを受けて、長年にわたって検討を重ねた結果、長江の下流、中流、上流から取水した水を、それぞれ“東線(東ルート)”、“中線(中央ルート)”、“西線(西ルート)”からなる3本の送水路を建設して送る計画が策定された。

投資は5000億元以上、3路で水を南から北へ

 1998年に長江で大洪水に発生し、2000年と2001年に北方が深刻な旱害に見舞われたことが、南水北調の必要性を強く認識させ、同計画は2002年に“国務院(内閣)”によって承認された。南水北調計画が完成した暁には、これら3本の送水路を通じて供給される水の総量は“黄河”1本分の水量に匹敵することになる。南水北調計画への投資総額は5000億元(約8兆2500億円)以上であり、工事の規模および難度は世界最大の水力発電ダムである“三峡大壩(三峡ダム)”プロジェクトを上回っている。

 東ルートは2002年12月27日に、中央ルートは2003年12月31日に、それぞれ着工したが、西ルートは依然として技術的な検討段階にあり、未だ着工には至っていない。東ルートは、江蘇省“楊州市”で長江から取水した水を歴史的建造物である“京杭運河”<注1>を活用して運び、隣接する山東省を経由して天津市まで運ぶもので、年間の総給水量は148億立方メートルである。中央ルートは、湖北省と河南省にまたがる“丹江口水庫(丹江口ダム)”から取水した水を河南省と河北省を経由して北京市へ運ぶもので、年間の総給水量は130億立方メートルである。なお、未着工の西ルートは年間の総給水量を170億立方メートルと想定されている。

<注1>随の煬帝が610年に完成させた運河。北京と浙江省の“杭州”を結ぶ運河で総延長は2500キロメートル。なお、京杭運河は2014年に世界文化遺産に登録された。

 さて、その中央ルートでは、2014年7月3日に最初の導水テストが行われ、丹江口ダムで取水された水が“陶岔渠(陶岔水路)”へ送られた。今年の増水期が終わった後の10月を目途に、水はさらに北京市まで送られることになっている。今日までに2086億元(約3兆4420億円)の資金が投入された中央ルートの建設工事は、水源の丹江口ダムから北京市までの全長1277キロメートルの送水路を建設するもので、その給水先には北京市、天津市、河北省、河南省の合計19の都市が含まれている。とりわけ、長年にわたって深刻な水不足に悩まされている北京市にとって、中央ルートによって供給される水は正に「干天の慈雨」と言っても過言ではなく、待ち焦がれた存在なのである。

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「渇水の北京、対策は汚水の引き込み」の著者

北村 豊

北村 豊(きたむら・ゆたか)

中国鑑測家

住友商事入社後アブダビ、ドバイ、北京、広州の駐在を経て、住友商事総合研究所で中国専任シニアアナリストとして活躍。2012年に住友商事を退職後、2013年からフリーランサーの中国研究者として中国鑑測家を名乗る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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