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「負担なくして給付なし」を徹底

持続可能性を考え「高福祉」から「低福祉」へ制度改革を敢行

2014年7月16日(水)

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 2014年度(注1)における日本の社会保障給付費(予算ベース)は115兆円で、そのうち56兆円(49%)を年金、37兆円(32%)を医療が占めています。このように金額面から社会保障制度を見る場合、年金と医療がほとんどを占めており、いかに重要であるかがわかります。

(1)以下では「年」と「年度」が混在しているが、「年」は1月から12月、「年度」は4月から翌年の3月を意味する。韓国の「年度」は1月から12月であるので、ここでは「年」とする。

 前回は、「韓国の社会保障制度が低福祉であること」、「許容可能な負担で高齢化に耐えるための社会保障のモデルは韓国にあること」を指摘しました。今回は、年金に絞って「低福祉」で特徴づけられる韓国の社会保障制度について説明していきます。

急激な高齢化を見据え2度にわたる年金改革

 最初に年金給付額の対名目GDP比を見てみましょう。韓国の年金制度は被用者や自営業者などが加入する国民年金に加え、職域年金である公務員年金、軍人年金、私立教職員年金がありますが、これらすべて加えた数値が2012年で1.9%です。一方、日本は2011年度で11.2%であり、韓国の経済規模に対する年金給付額は日本と比較して著しく小さいことがわかります。

 日韓でここまで大きな差が付いている理由は、韓国の高齢化率が現在は低く、韓国の年金制度が成熟していないことです。よって現在のところは年金制度が「低福祉」であるために日韓に差が付いているわけではありません。

 しかし韓国は急激な高齢化を見据えて2度にわたる年金改革を行いました。その結果、高齢化が進み年金制度が成熟する頃には、「低福祉」な年金制度となります。以下では、(1)高齢化率が現在は低い、(2)年金制度が成熟していない、(3)年金改革により将来は低福祉な年金制度になる、について順を追って解説していきます。

 まず「高齢化率が現在は低い」についてですが、2012年の韓国の高齢化率は11.8%で、日本の24.2%より低い水準です。高齢化率が高いほど年金給付が増加することは自明であり、高齢化が進んでいる日本の年金給付額の対名目GDP比が高いことは自然です。

 そこで、日本の高齢化率が2012年の韓国並みであった時期、具体的には1990年の日本の年金給付額の対名目GDP比と2012年の韓国の数値を比較してみます。1990年度の日本の数値は5.3%であり、2012年の韓国の数値である1.9%と比較して依然として高い水準です。これは高齢化率の差以外にも、日本の年金給付額の対名目GDP比が高い理由があることを意味しています。

国民皆保険の達成からまだ15年

 次に「年金制度が成熟していない」についてです。韓国では1988年に国民年金制度が創設されました。しかし創設当初の対象は常用雇用10人以上の事業所の被用者に限られていました。その後、段階的に対象が拡大されましたが、皆年金は1999年まで待たなければなりませんでした。つまり韓国では国民皆年金が達成されてから15年しか経っていません。その結果、2012年における、60歳以上人口に占める老齢年金受給者の比率は、男性で50.5%、女性で17.0%にとどまっています。

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「「負担なくして給付なし」を徹底」の著者

高安 雄一

高安 雄一(たかやす・ゆういち)

大東文化大学経済学部教授

1990年一橋大学商学部卒、同年経済企画庁入庁、調査局、外務省、国民生活局、筑波大学システム情報工学研究科准教授などを経て現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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