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厳しい韓国生活保護制度の扶養義務

住民登録番号から所得や財産を照会

2014年7月30日(水)

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 15年前までの韓国では、所得や財産が少ない場合でも、「65歳以上」などの要件を満たさない限り、実質的な公的生活扶助を受けることができませんでした(注1)。しかし2000年10月に「国民基礎生活保障制度」が創設され、65歳未満の人も公的扶助の対象となりました。

(注1)公的扶助制度はあったが、生計保護(日本の生活扶助)を受けるためには、所得および財産基準のみならず、「65歳以上」などの条件を満たす必要があり、実質的な公的扶助を受けることができる者が限定されていた。

 国民基礎生活保障(以下「基礎生活保障」とします)は、所得が最低生計費を下回った場合、その差額が生計給与などの形で対象者に支給されるものです(注2)。韓国の最低生計費の水準は物価水準を勘案すれば日本との差は大きくないと言えるなど、現在の日韓の公的扶助制度は似通っている部分が少なくありません。

(注2)「最低生計費」は日本の「最低生活費」に相当する。また差額がすべて生計給与の形で支給されるわけではなく、一部は他の給与として現金あるいは現物で支給される。

 一方で、財産基準が数値で定められているといった違いも多くあり、中でも際立った違いは扶養義務の厳しさです。そこで今回は、社会保障制度の中でも公的扶助制度である基礎生活保障に焦点を当て、日本でも話題になった扶養義務を取り上げます。

日本の扶養義務については様々な解釈

 以下では、扶養義務について、(1)法律上の位置づけの日韓比較、(2)制度の運用から見てみましょう。

 第一に「法律上の位置づけの日韓比較」です。日本の「生活保護法」では、「民法に定める扶養義務者の扶養は保護に優先して行われる」ことが規定されています。民法で定める扶養義務者とは、配偶者間、親子間(注3)、兄弟姉妹間およびその他の3親等内の親族です(注4)

(注3)正確には直系血族であるので、祖父母、孫なども含まれる。
(注4)「その他の3親等内の親族」は、特別な事情がある場合に限られる

 この規定の「優先」の解釈については大きく2つに見解が分かれます。

 第一の見解は、親族による扶養がなされていれば公的扶助の必要性がなくなる結果、生活保護を受けることができなくなることを定めたに過ぎないとするもので、「事実上の順位説」と呼ばれます。

 第二の見解は、扶養能力のある扶養義務者が存在すれば生活保護法上の保護の欠格要件となるとするもので、「受給要件説」と呼ばれます(注5)

(注5)内田(2004)291ページによる。

 次にこの2つの見解に基づいた学者の意見を紹介しましょう。東北大学大学院法学研究科の嵩さやか准教授は、「扶養能力のある扶養義務者の存在のみで保護受給権を否定するわけではない」として「受給要件説」を否定しています。

 一方で、行政実務上は、「扶養義務者の扶養意思が明確なケースでは、実際に扶養が履行されていなくても保護受給権が否定されることがある」ため、「事実上の順位説」とも異なるとしています(注6)

(注6)嵩(2013)6ページによる。

 また東京大学法学政治学研究科教授であった内田貴博士は、「事実上の順位説」は「生活保護法」の解釈としては無理があり、公的扶養を優先させるべきであるなら法改正をすべきであると主張しており、「事実上の順位説」を否定しています(注7)

(注7)内田(2004)291ページによる。

 このように日本では、「扶養義務者がいれば生活保護を受けることができない」、「扶養義務者がいても扶養の意思を示さない限り生活保護を受けることができる」など様々な解釈があります。

コメント3件コメント/レビュー

だって、儒教の国なんだから当然でしょう。個人が優先されない国は進歩しないのは歴史的事実だと思います。日本も家族親族扶養を優先するなら停滞することは自明と思います。年寄りが若者を食ってしまう、未来を食ってしまうことになるから。そんな国が発展するわけがない。(2014/07/30)

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「厳しい韓国生活保護制度の扶養義務」の著者

高安 雄一

高安 雄一(たかやす・ゆういち)

大東文化大学経済学部教授

1990年一橋大学商学部卒、同年経済企画庁入庁、調査局、外務省、国民生活局、筑波大学システム情報工学研究科准教授などを経て現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

だって、儒教の国なんだから当然でしょう。個人が優先されない国は進歩しないのは歴史的事実だと思います。日本も家族親族扶養を優先するなら停滞することは自明と思います。年寄りが若者を食ってしまう、未来を食ってしまうことになるから。そんな国が発展するわけがない。(2014/07/30)

これくらい厳しくても良いんじゃないでしょうか。(2014/07/30)

日本においては共通番号制度の早急な普及が強く望まれます。これによって税制、社会保障制度などが著しく改善できるものと確信しています。これのデメリットばかりを強調する有識者、マスコミなどは日本をどのようにしたいのでしょうか。(2014/07/30)

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