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「中国国民の7割が水質に満足」の荒唐無稽

不可思議なギャラップ調査に中国サイトが異議?

2014年8月8日(金)

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 中国のポータルサイト“網易(NetEase)”は、7月24日に「“七成国人対中国水質量感到満意(7割の国民が中国の水質に満足)”」という標題の記事を掲載した。ところが、不思議なことに、“網易”は7月28日に標題を「“三成国人対中国水質量感到不満意(3割の国民が中国に水質に不満足)”」に変えて同じ記事を改めてトップページに掲載したのだった。前者の標題は「7割が満足」であるのに対して、後者は「3割が不満足」であり、両者の意味するところは同じだが、「3割が不満足」とする方が読者の注目を集めると判断したのかもしれない。

「満足7割」「不満足3割」どちらもおかしい……

 当該記事の全文を示すと以下の通りである。

  • 【1】最近、世界的な調査企業のギャラップ(Gallup)が発表した報告は、「全世界の70%の国家の住民が自国の水資源の品質に満足している」と述べている。その詳細は下表の通りだが、満足度が最高なのはスウェーデンの住民で97%、満足度が最低はコンゴ民主共和国の住民で21%であった。調査を受けた中国人のうち7割が中国の水質に対して満足を表明した。

  • 【2】“世界水監測網(World Water Monitoring Challenge)”から得たデータによれば、中国の水質は最上級でないばかりか、世界の平均水準よりも低い。具体的な指標から見ると、中国の水の「溶存酸素量(水中に溶解している酸素の量)」は4.2mg/Lと低く、世界の平均水準である5.1mg/Lに達していない。溶存酸素量は水の自浄能力を判定する際の根拠の一つで、数値が高ければ、水の自浄能力は強く、水の汚染が深刻でないことを示している。一方、数値が低ければ、水の汚染は深刻で、自浄能力が弱いことを示している。

  • 【3】次に、中国の水はpH値も明らかな変化が発生していて7.6となり、基準値の7から外れている。これは水が酸、アルカリ、無機塩類によって汚染された結果であり、微生物の成長を抑制し、水の自浄作用を阻害する。最後に、中国の水の浮遊物質の含有量は基準を超えており、濁度は世界の平均水準を遥かに上回っている。

  • 【4】世界銀行のデータによれば、中国は現在すでに世界で汚水排出量が大きく、その増加速度が最も速い国の一つとなっている。経済利益で駆動されていながら、汚水処理能力が相対的に低いため、半数以上の未処理の汚水が直接あるいは間接に河川や湖沼、海へ排出されることによって、水資源はひどく汚染されている。中国政府の“環境保護部”、“水利部”、“住房城郷建設部(住宅都市農村建設部)”などの統計によれば、80%以上の都市の水資源が個々に程度は異なるものの汚染を受けており、70%近い水源は国家規定の水源基準に適合していない。

  • 【5】中国の水汚染問題は十分に重視されておらず、調査の中からもその一端を垣間見ることができる。中国の水質状況に似通っているのはロシアとハイチの2カ国である。こられ2カ国の住民の自国の水資源に対する満足度はそれぞれ44%と28%である。中国では、多くの地方の住民が長期にわたって生産工場の近くに住み、あるいは長期にわたって生産工場が直接・間接に排出した汚水で汚染された河川水、地下水を飲用や生活用に使用している。調査によれば、発展途上国では各種疾病の80%は不衛生な水を飲んだことによって発症・伝染したもので、毎年世界で2000万人がそのために死亡している。
2013年世界各国の水質指標(抜粋)
(出所)Gallup, World Water Monitor
<注1>JTU=Jackson Turbidity Unit

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「「中国国民の7割が水質に満足」の荒唐無稽」の著者

北村 豊

北村 豊(きたむら・ゆたか)

中国鑑測家

住友商事入社後アブダビ、ドバイ、北京、広州の駐在を経て、住友商事総合研究所で中国専任シニアアナリストとして活躍。2012年に住友商事を退職後、2013年からフリーランサーの中国研究者として中国鑑測家を名乗る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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