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「8月の氷宴」ソーシャル疫学的考察

シャーデンフロイデと飲みニュケーションの系譜

2014年9月1日(月)

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「ALSアイスバケット・チェレンジ」で氷水をかぶったソフトバンクの孫正義社長(写真:ロイター/アフロ)

 もうそろそろ夏も終わりだというのに、有名人が頭から氷水をかぶるビデオがネット上を飛び交っている。ご存じ、「ALSアイスバケット・チャレンジ」である。この流れはすぐに日本にも上陸し、ソフトバンクの孫正義社長などが氷水ビデオを公開している。

 一応説明しておくと、これは「ALS(筋萎縮性側索硬化症)」の研究を促進し社会的認知を高めるチャリティー運動。「チャレンジ」を受けた人は24時間以内にALS協会に100ドル(約1万円)を寄付するか、または自分も氷水をかぶるかを選ぶ(両方やってももちろん可)。氷水をかぶった人は別の3人を指名してチャレンジすることができる。氷水をかぶる場合は、ビデオを撮影して、フェイスブックなどにアップする。

 日本では「やらないと非難される社会的プレッシャー」「チェーンメール=不幸の手紙と同じ」などの日本的な批判が出てきたが、いろいろこの件については思うことがあり、一向に社会の役に立たない「話のネタ」として書いてみたい。なお、余談ながらここで言う「チェーンメール」は和製英語で、アメリカでは普通、中世の騎士や新撰組などが着ている「鎖帷子」の意味になるので、ご注意されたし。その手のゲームに詳しい我が家のティーンによると、この意味ならば「チェーンレター」の方が通りがよいようだ。

「飲みニュケーション」と「ファンドレイズ」の類似

 一般にアメリカでは、非営利団体のためのファンドレイズとは、日本の「飲みニュケーション」みたいなものである。つまり、「しょっちゅうあって、珍しくも何ともない日常」であり、人とコミュニケーションを図るための「ソーシャル目的のイベント」の意味合いが強い。

 「酒を飲む、飯を食う」という直接的な目的より、集まってみんなで騒ぐことの方が重要というのと同じで、「ALSの研究」などの目的は半分ぐらい、残りは「お楽しみソーシャルイベント」なのである。これは氷水に限ったことではなく、あらゆる非営利団体のファンドレイズに当てはまる。

 背景には、「自己責任」文化の強いアメリカでは、政府+税金による弱者救済や文化への公的支援が一般に欧州や日本と比べて手薄であり、そのギャップをかつては教会、現在では各種の私的非営利団体が埋めている、という現実がある。このため、あちこちで年がら年中、誰かがどこかで「ファンドレイズ」をやっている。

 アメリカは個人がお金持ちになることを奨励するために税制はお金持ちに比較的有利にできており、その代わりにお金持ちになったら、自分の選んだ社会貢献活動に寄付すべしという感覚が社会に組み込まれている。お金持ちの面々も、所得税として強制的に吸い上げられて、自分のあずかり知らないところで政治的に分配されるよりも、自分でコントロールできる寄付の方がベター、との考え方が強い。

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「「8月の氷宴」ソーシャル疫学的考察」の著者

海部 美知

海部 美知(かいふ・みち)

エノテック・コンサルティングCEO

ホンダ、NTT、米ベンチャー企業を経て、1998年にエノテック・コンサルティングを設立。米国と日本の通信・IT(情報技術)・新技術に関する調査・戦略提案・提携斡旋などを手がける。シリコンバレー在住。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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