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米国の「投資ヒーロー」通信キャリアと「脱ガジェット」

スプリントは果たして「2軍」扱いを抜け出せるか?

2014年9月29日(月)

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9月中旬に米ラスベガスで開催されたモバイル業界展示会「CITA」に出展した米AT&Tのブース。自動車にフォーカスした

 予想通り「iPhone6」と「Apple Watch」が発表され、「目新しくない」などと批判も出ているが、それはむしろ本コラムで前に指摘したように、アップルが「脱ガジェット」へと順調に進んでいる証、という見方もできる(関連記事:脱ガジェットの静かなる世代交代 )。既にてんこ盛りの「スマホ」の上にこれ以上何か盛ろうとするのは、もはや無理なのだ。

 アップル製品がサンフランシスコで発表されたのと同じ日、ラスベガスでは毎年恒例のモバイル業界展示会、CTIAが開催されていた。こちらの業界でも、「脱ガジェット」を目指す通信キャリア業界の方向性は、残酷なほど明白だ。

 かつての主役、サムスン電子、LG電子、ノキア、モトローラ、ブラックベリーなどの端末メーカーが大半不在であった、というだけではない。ここ数年で、華やかな見本市から「政治ショー」にすっかり役割を変えたこの展示会のテーマは、通信キャリアが脱ガジェット時代へとアメリカを牽引するための「巨額投資」であったのだ。

 通信キャリアといっても、ベライゾン+AT&Tの上位チームと、ソフトバンク傘下のスプリント+Tモバイルの下位チームの間では、政府当局(連邦通信委員会、FCC)や業界が期待する役割がどうやら異なっていて、その差はますます鮮明になりつつある。

アメリカの「投資ヒーロー」を後押しする政策

 現FCC委員長のトム・ウィーラーは、90年代から2000年代にかけて、この展示会の主催者でありモバイル業界団体であるCTIAのCEO(最高経営責任者)を12年にわたって務めた。間に1人を挟んで、今年6月に新CEOに就任したばかりのメレデス・アトウェル・ベイカーは、元FCCコミッショナーの1人だ。

現FCC委員長のトム・ウィーラー氏。本格的に「政治家」としてデビューし、マキャベリアンな面が最近目立っている(左)
新しいCTIA CEOのメレデス・アトウェル・ベイカー氏。慣れない舞台に少々緊張気味だったが、私としては今年の展示会は去年よりずっと運営がよかったと感じており、滑り出しは好調と見た(右)

 ほぼ物理的にアメリカ政界「回転ドア」の典型であるこの2人は、基調講演の壇上で耳にタコができるほど「投資(investment)」という単語を連発した。テーマは、周波数のインセンティブ・オークションやブロードバンド政策の話なのだが、全体のストーリーとして、これまでのモバイル通信業界の投資努力とその効果を褒め称え、今後も業界が安心して投資を継続できるように、通信政策で環境整備してあげましょう、ということにまとまる。ベライゾンやAT&Tも、この流れに沿って自社の長期投資の方向性とその成果を強調する。

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「米国の「投資ヒーロー」通信キャリアと「脱ガジェット」」の著者

海部 美知

海部 美知(かいふ・みち)

エノテック・コンサルティングCEO

ホンダ、NTT、米ベンチャー企業を経て、1998年にエノテック・コンサルティングを設立。米国と日本の通信・IT(情報技術)・新技術に関する調査・戦略提案・提携斡旋などを手がける。シリコンバレー在住。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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