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検証・四つの原則に関する合意文書

どちらがウソをついているのか

2014年11月12日(水)

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 APEC(アジア太平洋経済協力会議)首脳会議開催中の北京で日中首脳会談が行われた。カメラの前では、習近平主席は、「お会いできて光栄です」と言う安倍晋三首相に一言もなく、ぶすっとしたまま。会談時間はわずか25分、2往復の対話を行っただけとか。習主席は心底、安倍首相と会いたくなかったのだな、という印象だ。安倍首相も、そんな相手となにも無理して会わなくてもいいだろうに。正直、この会談を見て、おお日中関係改善だ、めでたい、と明るい気分になれない。

 おそらく日中の外務当局者同士は、当人たちの不機嫌などお構いなく、なんとか会談を実現させようと四苦八苦したのだろう。ボス同士が一度くらい会わないと、子分たちも顔を合わせずらいということかもしれない。

 会談前に発表した異例の「四つの原則に関する合意文書」は、その官僚たちの苦労が玉虫色に輝くものであった。有体に言って、25分の不機嫌な会談よりも、この合意文書発表が今回の日中首脳会談のハイライトであったと言えるだろう。

 中国は「釣魚島(尖閣諸島)について日中間に争議があると認めること。首相は在任中に靖国神社に参拝しないこと」の二条件を飲まなければ会談しないといっていた。一方、安倍首相は前提条件無しでの会談を、と主張した。会談が実際行われて、この二条件はどうなったのか。日本のほとんどのメディアは「前提条件なしの会談にこだわり、それを貫いた」譲歩無しの会談と評価している。だが中国の党報は「中国の外交勝利」と報じ、中国が妥協せずに闘争した成果、としている。では、どちらかがウソをついているのか。

 譲歩はあったのか、なかったのか。譲歩しないことに合意したのか。お互い譲歩しあったのか。お互い譲歩しないことで合意したのか。どのようにも解釈できる魔法の合意だから、いいんじゃないか、と日本の官僚ならばいいそうだが、国際社会は、この文書をどう読み解くのだろう。

いやな感じがする日本の譲歩

 私はまず新華社配信の文書を一読して、日本が譲歩したのだと思った。そして日本政府側の譲歩していない、という説明を聞いたあとで、日中の政治認識ギャップが大きすぎると思った。

 外交というものは、こういう認識のギャップがしばしば発生するものだし、そのギャップを利用してその後の外交を展開していくものかもしれないが、これはなんかいやな感じがする。

コメント26件コメント/レビュー

福島氏に賛成の方が多いようですね。確かに「異なる主張が存在することを認め」たのは日本の譲歩のようですし、それを根拠に中国は領土問題を声高に言い募りそうですが、そんなことは放っておけばいいことでしょ?今までもそうだったんですもん。こちらは国際法上の根拠をPRし、今まで通り実効支配するだけのこと。中国に乗せられて口を出す有力国なんてあるのかな?それより3.の後半が付いていることで、強奪出来なくなったことの方が重大かと思います。まああの国ですからいずれは手を出すでしょうが、少なくともこの文書に反することは明白でしょう。「今回も結局、時間稼ぎにすぎない」のならば、この文書を出そうが出すまいが同じでしょう。どう考えますか?(2014/11/13)

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「検証・四つの原則に関する合意文書」の著者

福島 香織

福島 香織(ふくしま・かおり)

ジャーナリスト

大阪大学文学部卒業後産経新聞に入社。上海・復旦大学で語学留学を経て2001年に香港、2002~08年に北京で産経新聞特派員として取材活動に従事。2009年に産経新聞を退社後フリーに。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

福島氏に賛成の方が多いようですね。確かに「異なる主張が存在することを認め」たのは日本の譲歩のようですし、それを根拠に中国は領土問題を声高に言い募りそうですが、そんなことは放っておけばいいことでしょ?今までもそうだったんですもん。こちらは国際法上の根拠をPRし、今まで通り実効支配するだけのこと。中国に乗せられて口を出す有力国なんてあるのかな?それより3.の後半が付いていることで、強奪出来なくなったことの方が重大かと思います。まああの国ですからいずれは手を出すでしょうが、少なくともこの文書に反することは明白でしょう。「今回も結局、時間稼ぎにすぎない」のならば、この文書を出そうが出すまいが同じでしょう。どう考えますか?(2014/11/13)

筆者の記事内容と寄せられた一部のコメントを見て唖然としております。主権国家と国際社会の関係をキチンと捉えぬまま、国際社会の声に従うとか中国の解釈が一般解釈になるとか思っていらしゃる方が見受けられると。日本国民からこの様な声が上がることこそ中国政府のプロパガンダの成果と理解されないのでしょうか?領土問題の存在を認め尖閣諸島がその係争地域と認める事は、中国が棚上げをしない限り係争地域の日本の施政権は無効という主張に根拠が生じ、現在の中国船の行動は領海侵犯ではなくなります。領土の認知は国際社会の声に従うものであれば、沖縄や九州に対して主張がでればそれに従う? イエイエ、主権国家が実効支配しているかどうかが第一番のファクターです。竹島や北方領土の交渉がどの様になっているか理解されていないのは残念です。ですから、領土と認知し実効支配している側の国民から、領土問題として認知すべきとの提案が出るのは考えが幼過ぎるか? 中国を説得できると考えているのか?どちらでしょうか。 筆者も記事を読む日本国民の事も考えるべきかと。(2014/11/13)

 いつもに増してすばらしい福島さんの分析に感心しました。 日本国政府は、今回の合意文書を逆手にとり、「中国が国際司法裁判所に提訴するなら、無条件で応じる」と言明すべきではないでしょうか。(2014/11/13)

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