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韓国財政破綻論の誤り

国際的な基準に照らせばきわめて健全

2014年12月8日(月)

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 OECDが公表している一般政府債務の対名目GDP比を見ると、日本は228.0%であり、金融緩和だけでなく債務も異次元のものとなってしまった感があります。もちろんこの数値はOECD加盟国で最も高く、財政危機に陥ったギリシャをも大きく引き離しています。

 一方で、韓国では37.6%にとどまっており、30カ国中、低い方から5番目の数値です(OECD Factbook 2014)(図1)。この数値から、韓国の国家債務は小さく、財政状態は健全であると判断できます。

図1 OECD加盟国における一般政府債務の対名目GDP比
出所:OECD Factbook 2014により作成。
(注)2012年の数値。ただし日本、イスラエル、スイスは2011年の数値

 ただし国家債務の大きさは、国家の範囲をどこまでとるか、どのような債務まで含めるかによって異なり、当然のことながら対GDP比も異なった数値となります。OECDが公表している一般政府債務は、国家の範囲が中央政府、地方政府、基金であり、債務を金額が確定しているものに限定しています(例えば保証債務は、国家が最終的に負担しなければならない金額がわからないので除かれます)。

 この一般政府債務を国家債務とするならば、韓国の国家債務の対GDP比は37.6%ですが、国家の範囲などを広くとった国家債務については、GDPの60%に近いとの数値もあります。さらに民間のシンクタンクである韓国経済研究院のレポートでは、韓国の国家債務の対GDP比は166.9~167.8%といった数値まで出ています。

 では韓国の国家債務の大きさを国際比較する際には、どの数値を使うべきなのでしょうか。以下では、韓国の国家債務の大きさを示す数値の“真実”について見ていきましょう。

国家債務の指標には3種類ある

 まず韓国政府は国家債務に関する3種類の指標、すなわち「国家債務(D1)」、「一般政府債務(D2)」、「公共部門債務(D3)」を公表しています。この中で、国際比較のために世界共通の基準に合わせて算出されているものが「一般政府債務(D2)」です。

 この「一般政府債務(D2)」は、2012年末で504兆6000億ウォン、対GDP比で39.7%です。「一般政府債務(D2)」は冒頭で紹介したOECDが公表している一般政府債務の対名目GDP比とほとんど同じものと考えられます。日本の統計でこの数値に対応するのは一般政府総債務であり、2012年度末で1142兆円、名目GDPの241.6%です。

 国家債務の数値を判断する時には、債務に何が含まれているのか、その範囲を見なければなりません。韓国の「一般政府債務(D2)」の範囲は、世界共通の基準であるSNA(Systems of National Accounts:国民経済計算)の一般政府の債務残高を合計したものです。

コメント4件コメント/レビュー

1997年のアジア通貨危機により韓国がIMF救済を受け入れざるを得ない状態に陥りましたが、90年代における韓国の一般政府債務残高は現在よりも低い水準であったと記憶しています。一部の数値のみ取り出して健全性をことさらにアピールすることは誤解を招くと思います。日本が選挙中の時期にこの手の記事が出ることに、増税をもくろむ財務省との繋がりを感じるのは果たして私だけでしょうか。(2014/12/08)

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「韓国財政破綻論の誤り」の著者

高安 雄一

高安 雄一(たかやす・ゆういち)

大東文化大学経済学部教授

1990年一橋大学商学部卒、同年経済企画庁入庁、調査局、外務省、国民生活局、筑波大学システム情報工学研究科准教授などを経て現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

1997年のアジア通貨危機により韓国がIMF救済を受け入れざるを得ない状態に陥りましたが、90年代における韓国の一般政府債務残高は現在よりも低い水準であったと記憶しています。一部の数値のみ取り出して健全性をことさらにアピールすることは誤解を招くと思います。日本が選挙中の時期にこの手の記事が出ることに、増税をもくろむ財務省との繋がりを感じるのは果たして私だけでしょうか。(2014/12/08)

この方の記事を読み直してみました。 「企業の体質改善で法人減税でも税収増」 については前振りがあり、「法人税を減税しても構造改革により経済成長して増収となる場合がありますよ」という結論が出るのはわかりました。しかし、前回(失業率の話)もそうですが、今回も財政破たん論が出てきています。どういう理由で書かれた記事なのでしょうか?(2014/12/08)

何点か突っ込みどころがありますが、一番気にしなければならないのは、政府の借金よりも家計の借金であり、また借金をしている先がどこ(要するに国内か国外か)か、それはどのような通貨建てか(要するに国が発行可能かどうか)ということでしょう。日本の場合は、ほぼ内国債で円建てであるため、政府の借金がGDPの何倍であっても理論上は破綻することはあり得ません(決して好ましい状況ではないが)が、韓国は果たして…さらに、国内資本(財閥大企業の株式)の大半を外国企業に握られており、利益を吸上げられるような仕組みが出来上がっており、国内に企業等が稼いだ利益が循環できる仕組みになっていません。それから、貨幣の問題を論ずるのであれば、通貨の発行量に対するインフレ率を考慮するべきでしょう。要するに、通貨をどれだけ発行するとインフレを起こす(だから通貨の発行量を制限する必要性が出てくる)という指標です。経済主体が全て脆弱なため、通貨発行を行うと世に言うワロス曲線が発生してしまい、ご存知の通りアジア通貨危機やリーマンショックの引き金を引いてしまったは記憶に新しいところです。実際は政府の債務の問題なんて、国全体として生産能力と購買力を有する限りどうでもいい話であり、政府の負債が少ないから破綻の懸念がないとは言えないわけです。まぁ、そこら辺は市場がしっかりと見ているでしょうから、国債の利回りを注視されてみるのがよろしいかと存じます。(2014/12/08)

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三品 和広 神戸大学教授