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ドイツ最大のエネルギー企業はなぜ「解体」されるのか

エーオンの原子力・火力発電「撤退」を考える(上)

2014年12月9日(火)

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 2014年11月30日、日曜日。第一待降節(1. Advent)と呼ばれるこの日に、ドイツの長いクリスマスのお祭りが始まる。町の広場には、高いもみの木を使ったクリスマス・ツリーが立てられ、クリスマスの市場は、ツリーの飾りを買ったり、甘酸っぱい香りのグリューヴァイン(ホットワイン)を飲んだりする人々で賑わう。

エネ業界最大手が原子力・火力から事実上の「撤退」

 だがクリスマスを待ちわびるドイツの静寂は、この日の夕刻に流れたニュースによって打ち破られた。特にエネルギー業界で働く人々にとっては、青天の霹靂だった。ドイツ連邦政府にとっても、寝耳に水だった。

 この国で最大のエネルギー企業エーオン(本社・デュッセルドルフ)が、2016年に会社を2分割し、原子力・化石燃料による伝統的な発電事業、エネルギー取引、エネルギー資源の採掘などの事業を将来新設する別会社に移管する計画を発表したのだ。これまでの基幹事業から事実上「撤退」する。

 本社は、風力・太陽光発電などの新エネルギー、分散型発電の時代に適応するためのスマート・グリッド(「賢い送電網」)、そして顧客のニーズに対応する電力供給サービスの3つの柱に特化する。

 エーオンのヨハネス・タイセン社長は、11月30日に発表した声明の中で「グローバルなエネルギー市場の激変、テクノロジーの進歩、顧客ニーズの変化のために、我々は新しい一歩を踏み出さなくてはならない。エネルギーのあらゆる部門を担当する現在の我が社の態勢では、エネルギー市場の急激な変化に対応できない。したがって、我々は根本的な変革を行うことにした。エネルギー市場の変化は、新たな成長の可能性を秘めている。我が社は、このチャンスを利用する」と述べた。

 エーオンは、デュッセルドルフのエネルギー複合企業VEBA(1929年創業)とミュンヘンのエネルギー企業グループVIAG(1923年創業)が、2000年に合併して誕生。2001年には、ドイツ最大のガス販売会社ルール・ガスの株式の半数以上も買収。電力とガスを一手に扱い、毎年1225億ユーロ(約18兆円)の売り上げを持つ、「エネルギー界の巨人」となった。

 これまであらゆるエネルギー関連事業に手を染める一種の「デパート」だったエーオンの本社は今後、風力や太陽光発電など21世紀の新しいエネルギー事業に特化する「専門店」に生まれ変わる。これは、同社が「あらゆる物を扱うエネルギー・デパートの形態では、市場の急激な変化にもはや対応できない」と白旗を掲げたことを意味する。

 そのことは、2016年以降の新体制にはっきり表れている。現在エーオンの社員数は約6万人。このうち4万人が新エネルギーなどを担当する本社に残る。在来型の発電事業の従業員数は、半数の2万人。社員数の配分を見れば、エーオンが原子力や化石燃料による発電に見切りをつけたことは、明らかだ。原子力や火力発電など、エーオンが「古典的エネルギー事業」と呼ぶ分野を担当する新しい別会社については、名称すら決まっていない。

 私はここであえて再生可能エネルギーという言葉は使わず、新エネルギーという言葉を使っている。新エネルギーとは、風力発電や太陽光発電など、21世紀に急拡大している発電方式を指す。水力発電は含んでいない。これに対し、再生可能エネルギーという言葉には、水力発電も含まれる。タイセン社長は原子力と火力だけでなく、水力発電も「古典的エネルギー」と見なし、別会社に移管することを明らかにしている。この背景にはドイツ固有の事情がある。水力発電所の開発のために自然破壊を行うことについて市民の反対が強く、さらなる拡張が難しいのだ

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「ドイツ最大のエネルギー企業はなぜ「解体」されるのか」の著者

熊谷 徹

熊谷 徹(くまがい・とおる)

在独ジャーナリスト

NHKワシントン特派員などを務めた後、90年からドイツを拠点に過去との対決、統一後のドイツの変化、欧州の政治・経済統合、安全保障問題、エネルギー・環境問題を中心に取材、執筆を続けている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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