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本当の敵は誰? エボラとの戦い(4)

ジャングルの怒りが新たな敵を生む

2014年12月19日(金)

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 「見えざる敵」を前にした時、我々はそれを過大評価してしまう傾向にある。

 恐怖が募り、パニックになり、根も葉もない噂や風評が広がることもある。妄想や不信、さらに差別や偏見を生むこともある。

 人々の判断が狂いはじめ、かえって誤った行動をとるようになり、味方内で不和や抗争が起これば、まさに「敵の思う壺」だ。

見えざる敵にパニック、偏見、自殺、殺人…

 HIV・エイズがこの世に報告された1980年代初頭、2年以内に9割以上が死亡するといわれたこの病気は「現代の黒死病」とも呼ばれていた。

 アメリカの研究者でさえも、「多くの機雷が浮かぶ魔の海域に船を進めるようなもの」と、新薬開発のためであってもHIVウィルスを扱いたがらず、先進国でも、感染者の隣に座り会話をするだけでも感染する、と信じられ、恐れられていた時期がある。

 SARS(重症急性呼吸器症候群)の流行では、各地でパニックや差別・偏見が起こり、感染したと信じ込んで、自殺した人もいる。

 新型インフルエンザの流行では、感染者はまるで犯罪者のように扱われ、社会にパニックを与えた。

 今回のエボラ流行でも、「見えざる敵」は人々の判断を狂わせ、奇怪な行動に走らせた。

 次々に人が死んでいくのは、病気でなく黒魔術だ、呪いだ。そんな噂が広がり、医療機関ではなく、呪術師や伝統治療師のもとへ向かう人が殺到した。

 エボラ患者が入院先でパニックになり、病院から逃げ出す。一方、家族はエボラで重症化しても医療施設には連れて行かず、死亡すると怖がって遺体を川に投げ込み、道端に投げ捨てた。

 医療従事者もエボラの恐怖から仕事をボイコットし、医師や看護師不在の病院に、エボラ患者だけがとり残される。マラリアをはじめ様々な病気で子どもが入院する病院からも、エボラを恐れて医療スタッフの姿が消え始めた。

 恐怖でいたたまれなくなった住民が、エボラ患者の隔離施設を襲撃し、また、村にエボラの啓発活動に来た医療従事者を棍棒や鉈(なた)で殴り殺す事件まで発生した。

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「本当の敵は誰? エボラとの戦い(4)」の著者

國井 修

國井 修(くにい・おさむ)

「グローバルファンド」戦略・投資・効果局長

国際緊急援助NGO副代表として、ソマリア、カンボジアなどの緊急医療援助に従事。国立国際医療センター、外務省、UNICEFニューヨーク本部、同ミャンマー事務所、同ソマリア支援センターなどを経て現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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