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ギリシャ暫定合意は砂上の楼閣

交渉決裂すればチプラスはロシアへ

2015年3月17日(火)

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 ギリシャ、ロシア、不況、移民、イスラム過激派…。欧州で様々な問題が噴出している。欧州が現在直面している難局は、EU加盟国が欧州の統合に関する様々な幻想を捨てて現実を直視し、成熟期に移行するべき時がやってきたことを浮き彫りにしている。

ギリシャ暫定合意で危機は回避されていない

 日本の多くのメディアは、2月20日にユーロ圏財務相会合(ユーロ・グループ)の参加国が、ギリシャに対する支援プログラムを4カ月延長することを決めた時、「ユーロ・グループ、ギリシャ支援延長で暫定合意」と報じた。そこでは、「切迫した危機は回避された」という論調が目立った。しかしこれは現象面だけを見た皮相的な分析であり、現実には病の根源は全く解決していない。それどころか、ここヨーロッパでは20日の合意後も、「EUとギリシャの正面衝突」という雰囲気が続いている(関連記事「ギリシャとEUが正面衝突?」)。危機回避とは程遠い状況だ。

チプラス政権の二枚舌

 その最大の原因は、ギリシャ政府のチプラス首相とバルファキス財務相の二枚舌である。バルファキスは2月20日にユーロ・グループに対し6ページの文書を提出した。文書の1ページ目でバルファキスは、「ギリシャ政府はヨーロッパのパートナーや諸機関、国際通貨基金(IMF)と緊密に協力し、国家財政の健全化、金融システムの安定化、経済復興の促進のために努力することを約束する」と述べ、署名した。

 文書の中でギリシャ政府は、徴税システムの強化、脱税者の追及、年金制度の近代化、国家財政の監視強化、銀行システムの近代化、汚職に対する取り締まり強化などを約束している。

 しかし文書の内容は総花的で、具体性を欠いていた。ユーロ・グループが求めていたのは、「X年X月までに公的債務を国内総生産のXX%まで減らす」とか、「X年X月までに公務員の数をXX人減らす」「国営企業の民営化によって、歳入をXXユーロ増やす」といった具体的な数値目標だった。文書には、そのような数値目標は書かれていない。

 また文書には、「前政権がEUに対しこれまで約束した緊縮策を実行する」とも書かれていない。「借金や利子をきちんと払う」ことも約束していない。政治家の所信表明演説のように、美辞麗句がちりばめられているだけだ。このためユーロ圏加盟国の財務相たちは、4月末までにチプラス政権がより詳細な施策のリストを提出するという条件で、支援プログラムの延長を認めた。

 ユーロ・グループは3月9日にもブリュッセルで会合を持った。この場でもギリシャ政府は具体的な提案を示さなかった。ユーロ・グループの議長であるオランダの財務相、ダイセルブルームは、「ギリシャが具体的な提案を示さず、緊縮策を実行しようとしないので、貴重な2週間がむだになってしまった」と苦言を呈している。

 ユーロ・グループは、ギリシャ政府に対し、EU、IMF、欧州中央銀行(ECB)の調査団とブリュッセルとアテネで引き続き協議することによって、具体的な数値目標を盛り込んだ改革案を提出するよう求めている。

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「ギリシャ暫定合意は砂上の楼閣」の著者

熊谷 徹

熊谷 徹(くまがい・とおる)

在独ジャーナリスト

NHKワシントン特派員などを務めた後、90年からドイツを拠点に過去との対決、統一後のドイツの変化、欧州の政治・経済統合、安全保障問題、エネルギー・環境問題を中心に取材、執筆を続けている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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