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韓国で給食を巡る議論が沸騰

全員が無料で食べられるのがよい? それとも貧しい家庭の子だけでよい?

2015年4月1日(水)

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 韓国南部の慶尚南道(キョンサンナムド、略して慶南道。道は県に当たる行政区域)は4月1日、すべての小中高校生に対して無料で給食を提供する「無償給食」を中断した。慶南道政府が無償給食に割り当てられていた予算を別のことに使うことにしたため、慶南道の住民で小中高校生がいる家庭は子供1人当たり月4万~6万ウォン(約4400~6600円)の給食費を払わないといけなくなる。

 この制度には賛否両論がある。賛成派はこう主張する。
「国が定めた義務教育を終えられるよう給食も国が支給すべき」
「子供にみじめな思いをさせないため、貧乏であることを証明しなくてもいい、みんなで一緒に食べよう、ということで無償給食が始まった。なのに、なぜ慶南だけ時代に逆行する取り組みを行うのか」

 慶南道内では、無償給食中断に抗議すべく集団登校拒否が起きた学校もある。

 一方、無償給食に反対する人たちはこう考える。
「貧乏な家庭の子供だけ支援すればいい。平等もいいけどお金持ちの子供にまで無償給食を提供する必要はない」

食事について生徒の扱いを変えるのは教育上正しいか

 慶南道は今後、生活保護世帯など貧困であることを証明した家庭の子供にだけ無償給食を実施する。貧困の基準は4人家族で月収入が250万ウォン(約27万円)以下であること。一方、慶南道は、無償給食を中断する代わりに、年間50万ウォン(約5.5万円)を教育費として使える専用クレジットカードを貧困層に支給する考えだ。

 慶南道は今回の措置を取るのは財政赤字が原因と説明している。ただし進歩派と言われるメディアやネット掲示板、記事のコメントなどは「本当に財政赤字のせいなのか?」「無償給食は野党側の主要政策なので、与党寄りの知事が当選して中断させたのではないか」「福祉縮小の始まりなのか」などと見ている。

 ソウル放送(SBS)のラジオ番組は3月30日、慶南道の主婦をゲストに招き、地域住民はこの問題についてどう思っているのかを特集した。多くの主婦が「突然の一方的な決定に保護者は戸惑っている。食べ物で子供を差別する制度は教育的に正しいことなのだろうか。無償給食の予算を貧困層の教育費として使うというが、その制度は既に存在する。なぜ無償給食を中断するのか分からない」という反応を見せた。このラジオ番組の内容を新聞が取り上げ、ポータルサイトのニュースコーナーで「最も読まれた記事ランキング」上位にランクインするほど注目された。

 韓国では今でも親しい間柄で「食事は?」という挨拶言葉を交わす。「アンニョンハセヨ」よりも頻繁に使う表現だ。それほど食べることを重要視しているのだ。自治体の財政には限りがあるので子供に対する支援にも優先順位を付ける必要があるのかもしれない。だが慶南道の住民は、「それなら塾代にもならない教育費支援よりも、無償給食の方がもっとたくさんの子供を満足させるのではないか」と見ているようだ。

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「韓国で給食を巡る議論が沸騰」の著者

趙 章恩

趙 章恩(ちょう・ちゃんうん)

ITジャーナリスト

研究者、ジャーナリスト。小学校~高校まで東京で育つ。ソウルの梨花女子大学卒業。東京大学学際情報学府博士課程に在学。日経新聞「ネット時評」、日経パソコン「Korea on the web」などを連載。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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名和 利男 サイバーディフェンス研究所上級分析官