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哀悼・後藤健二さん、悔しさの先へ

彼の視線、私が関わった人質事件、そして教訓

2015年4月23日(木)

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 シリアで拘束されていた後藤健二さん殺害のニュースを聞いたのは、バンコク出張からジュネーブに戻る日のこと。無事の帰還を祈り続けていたが、願いは叶わなかった。

 フィンランド航空の機内から眼下に広がる雲海を見つめながら、彼と最初に会った日のこと、彼と一緒に東日本大震災の被災地を回った日々のことが頭の中を駆け巡った。彼がどんな気持ちでシリアに向かったのか、どんな思いで拘束されていたのか、考えるだけで胸が苦しくなる。

 彼の拘束中、どこから聞きつけたのか、日本のいくつかのメディアから「後藤さんについて話してほしい」と依頼があった。

 当時、日本の報道やソーシャルメディアでは、彼に関する様々な情報、憶測、意見が流れていた。中には、後藤さんを直接知らない人々が根も葉もない噂を立て、本質とは違うところで批判・中傷をし、後藤さんの過去や家族を面白おかしく書きたてるものもあった。

 彼の名誉のためにも、知人の一人として「彼の人となり」を正しく伝える必要がある。そんな思いもあったが、結局、これらの取材はすべて断らせてもらった。

我々はテロに屈するわけにはいかない

 その理由は、人質拘束中の機微な時期には、交渉やその後の行方に影響を与えることもあるため、周囲はできる限り冷静に見守り、余計なことで騒ぎ立てたり、雑音を作ったりすべきでないからである。

 私もいくつかの人質事件に関わり、後藤さん以外にも人質となった友人・知人(日本人とは限らず)がいる。テロや人質事件にはそれぞれ異なった背景、目的、経緯があるが、多くの場合、その交渉は秘密裏に行われ、情報はごく限られた人だけで共有され、公開はされない。そんな中で、憶測が深まり噂が拡散し、尾ひれはひれや個人の意見がついて、いつの間にか批判や非難の矛先がテロリストでなく、捕まった人質やその対応にあたった政府や政治に向いていくこともある。

 こうなればテロリストの思う壺。

 テロリストの目的は金だけでなく、政治やイデオロギーが絡むことも多い。身代金が払われなくとも、世界のマスコミで取り上げられ、政治や社会を撹乱し、それを通じてテロリスト集団への信奉者・支援者が増えることもある。既に、自称「イスラム国」には欧米から若者を中心に約3000人が参加し、3万人以上ともいわれる戦闘員のうち半数は80カ国以上から集まった外国人だという。後藤さん殺害の後にも、イギリスの15-16歳の女子学生3名がイスラム国に参加するためトルコ経由でシリアに向かったといわれる。日本人の大学生も参加しようとしていたというのは驚きであるが、こうやってテロリストの目論見は成功してきているのである。

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「哀悼・後藤健二さん、悔しさの先へ」の著者

國井 修

國井 修(くにい・おさむ)

「グローバルファンド」戦略・投資・効果局長

国際緊急援助NGO副代表として、ソマリア、カンボジアなどの緊急医療援助に従事。国立国際医療センター、外務省、UNICEFニューヨーク本部、同ミャンマー事務所、同ソマリア支援センターなどを経て現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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