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中国財政トップ「中所得国のわな」に白旗

「新常態」は成長鈍化の言い換えに過ぎない

2015年5月8日(金)

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 4月25日、中国政府“財政部長(日本の財務大臣に相当)”の“楼継偉”は、北京の“清華大学”で開催された「清華中国経済ハイレベルフォーラム」で講演し、中国は今後5年から10年の間に50%以上の可能性で「中所得国のわな」に陥ると述べた。中国メディアが4月26日付で報じた楼継偉の講演要旨は以下の通り。

急速な高齢化に5つの対策

【1】中国は今後5年から10年の間に50%以上の可能性で「中所得国のわな」に陥る。それは中国が急速に高齢化社会に突入することによって引き起こされる。現在の中国にとって重要な任務は「中所得国のわな」をいかに乗り越えるかである。そのためには、年間5~7%の経済成長を実現し、今後5~7年の間に全面的な改革を行い、中国市場に依然として存在する「ひずみ」を解決しなければならない。

【2】「中所得国のわな」を乗り越えるための方策について、楼継偉は5つの分野の対策を列挙したが、その要点は下記の通り。

(1)農業改革:“糧食(食糧)”<注1>に対する全面的な補助金の削減、農産物輸入の奨励。

中国人は全般的に戦争思考があり、ひとたび戦争が起こったら、我が国が現在大量に輸入している農産物の供給が遮断されると考えている。但し、彼らはたとえ戦争が起こったとしても、“換草退耕、還湿退耕作(草原を農地に戻し、湿地を農地に変える)”ことにより農産物の在庫を確保できると考えている。従い、今は農産物の輸入を奨励して、食糧に対する補助金を削減し、それによって余剰が発生する農村労働力の移転をさらに進めて、製造業やサービス業の労働力不足を補えば、賃金の上昇速度を生産効率の上昇速度より低く抑えることが出来る。

<注1>中国語の“糧食(食糧)”は穀類、豆類およびイモ類の総称。

(2)戸籍改革:法律の角度から戸籍移転の障害を打破し、各地方政府に借家による戸籍登録を認めさせる。

 “国務院(日本の内閣に相当)”は2014年7月に戸籍制度改革の公文書を公布したが、現在までのところ14の省・市がその実施方法を発表しているに過ぎない。しかも、人々が最も戸籍を登録したい省・市は容易に戸籍登録を開放していないのが実情である。労働力の流入に対する抵抗を打破するためには、国家が教育や医療などの資源を提供することにより、戸籍を移転する人々が安心して都市部へ定住できるようにする必要がある。

コメント10件コメント/レビュー

筆者は1人当たりGDPで述べているが、購買力平価GDPでは中国も10,000$を超える「先進国」である(日本は1982年に超えた、中国は2011年)。過去先進国入りした国はそれまでの高度成長時代を終えゆるやかに成長力を落とし、やがてGDP伸び率がほぼ平行となる(貯蓄の概念を知らない米国を除く)。が、中国は成長率の鈍化が緩やかどころでなく、かなり危うい状態であり、これが対外政策にどう反映されるのか気がかりである。(2015/05/11)

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「中国財政トップ「中所得国のわな」に白旗」の著者

北村 豊

北村 豊(きたむら・ゆたか)

中国鑑測家

住友商事入社後アブダビ、ドバイ、北京、広州の駐在を経て、住友商事総合研究所で中国専任シニアアナリストとして活躍。2012年に住友商事を退職後、2013年からフリーランサーの中国研究者として中国鑑測家を名乗る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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筆者は1人当たりGDPで述べているが、購買力平価GDPでは中国も10,000$を超える「先進国」である(日本は1982年に超えた、中国は2011年)。過去先進国入りした国はそれまでの高度成長時代を終えゆるやかに成長力を落とし、やがてGDP伸び率がほぼ平行となる(貯蓄の概念を知らない米国を除く)。が、中国は成長率の鈍化が緩やかどころでなく、かなり危うい状態であり、これが対外政策にどう反映されるのか気がかりである。(2015/05/11)

私の考察が妥当なら、という前提で下の考察に3つほど補足したい。まず、”永続中所得国”になる所得水準は、おそらくドル建て額面では決まらない。社会全体が現状の経済水準に相応に満足し、社会構造の変化を望まなくなったときが現状維持志向への転換点である。所得水準は違えど、欧州主要国国民はこの方向に身体半分くらいは突っ込んでると個人的には判断している。第二に、おそらく”永続中所得国”化自体は相続税をある程度高く、特に累進性をきつく抜け道を狭くするだけでも回避しうる。相続税が高いと権益保持者がその地位を維持できないからである。ただし、成長路線を実現する手段になるとは断言できない。あくまで社会的流動性を確保する上で威力の大きい一手段であって、社会が不安定化するだけという可能性もある。そして最後に、国家の面子なるものにこだわらないなら、そして国内の貧富の格差と産業基盤の荒廃に目をつぶれるなら、”永続中所得国”化は統治機構にとってそんなに悪い選択肢ではない。既得権益層はかなり安泰になり、国家自体も定期的に辱めを受ける以外は安定するからだ。もちろん中国共産党にも、この道を選ぶ権限とこの道を拒否する自由がある。(三諸)(2015/05/08)

日本が一番恐れる中国の混迷の始まりを中国内部の政治的動きとして解説していただきありがとうございました。なぜ中国の習主席が、国内問題の解決のため、国家拡張の動きと不正撲滅の両面で対応しているのか気になっていました。やはり、国家を軸に考えなくてはならない政治家としては、当然なことでしょうか。日本では明治維新から欧米の植民地獲得の動きにに対して、国内不満分子との妥協で、第二次大戦に至る政策をとってきた過程を思い出す必要があると思います。日本の政治家は中国の内部事情を含め、対アジア外交を構築すべきではないかと痛感します。(2015/05/08)

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三品 和広 神戸大学教授