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韓国MERS:情報を公開しない政府の姿勢が不安を煽る

市民が独力でMERS情報サイトを運営

2015年6月9日(火)

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 韓国でMERS(中東呼吸器症候群)感染が広がっていることが世界中でニュースになっている。韓国は一体どうなっているのか。

 ソウル市内では、人々は普通に会社に行き、普通に買い物にも行くものの、マスクをしている人が急増している。2009年に新型インフルエンザが流行った時にはマスクをした人を探すのが難しかったが、今回のMERS騒動では、神経質になっている人が多い。MERSが広まった経路や、感染者がどの病院にいるのか、といった情報を政府機関が明かさずにきたので、市民は感染者が全国に拡散しているかのような恐怖を感じている。

 保健福祉部(部は省)は、健康な人はMERSに感染しても高熱や咳など風邪のような症状が出るだけで回復すると説明する。世界保健機関(WHO)も6月5日、MERSは韓国の地域社会に広がったわけではないし、空気感染したという証拠もないため旅行や貿易を制限する必要はないとの見解を示した。しかし、周りの人がマスクをしていて、ドラッグストアでマスクが売り切れたとか、学校が休校したなどと聞くと怖くなる。

情報を隠すから3次感染が起きた

 MERSに感染して死亡した人は6月7日時点で5人。3人は最初の感染者X氏と同じ病室に居た患者で、2人はX氏がいた病院を訪問した人が別の病院に入院したことで起きた3次感染で亡くなった。5人は慢性呼吸器疾患、慢性肺疾患、肺炎、腎臓疾患などで治療を受けていた50~80代の人である。感染者は6月7日時点で64人(死亡者含む)となった。

 韓国でMERSが広がったのは院内感染による。「韓国にMERS感染者がいるはずがない」という保健福祉部や国の疾病管理本部の油断が事態を悪化させた面がある。保健福祉部は、ソウル市が6月4日に緊急記者会見を開きMERS感染の状況を市民に説明したのを受けて、ようやく重い腰を上げた。

 保守派で政府寄りの朝鮮日報や中央日報、東亜日報までも、保健福祉部と政府の対応を批判している。MERS感染者がどの病院にいるのか、どういう経路で院内感染したのかという情報を隠したために、MERS感染者と接触した患者が他の病院に転院した際に、医師がそれを知らず、3次感染が広がったというのだ。朝鮮日報などは、保健福祉部が早期に情報を公開していれば、市民らはMERS感染者がいる病院の訪問を控えることができた、医師も注意をして院内感染を避けることができた、という内容の記事を連日掲載している。

病院による情報公開を政府が阻止

 MERS感染に関するでたらめな情報が流れ、混乱を助長している。インターネット上で鼻の穴に軟膏を塗るとMERSに感染しないという情報が流れた。MERS感染病院リストというタイトルで、今回の件とは全く関係ない病院名が出回り、被害を受ける病院が増えている。

 保健福祉部が情報公開を避ける中、大韓病院協会は6月5日、MERS感染者がいる全ての病院名を公開すべく記者会見を開こうとした。保健福祉部はMERS感染者を複数の病院の隔離病棟で治療しているとしながらも、ピョンテク聖母病院以外の病院名を公開していなかったからだ。ところが、6月6日付の朝鮮日報によると保健福祉部の反対によって記者会見は開始3時間前にキャンセルされたという。

 朝鮮日報は、ソウル大学医療管理学教授や前疾病管理本部長らの言葉を借りて、情報を隠すのは良くないと批判した。加えて、過去に起きた事例との違いを分析している。2009年に新型インフルエンザが流行した時は、感染者が出る度にその感染者がどこで誰に会ったのかを全て公開し、自らが感染した可能性があるかどうかを市民が自分で把握できるようにすることで、不安を助長しないようにした。

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「韓国MERS:情報を公開しない政府の姿勢が不安を煽る」の著者

趙 章恩

趙 章恩(ちょう・ちゃんうん)

ITジャーナリスト

研究者、ジャーナリスト。小学校~高校まで東京で育つ。ソウルの梨花女子大学卒業。東京大学学際情報学府博士課程に在学。日経新聞「ネット時評」、日経パソコン「Korea on the web」などを連載。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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