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長江クルーズ”人災”事故の背景

思想の自由を欠く国に事故を防ぐ想像力は育たない

2015年6月10日(水)

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 中国湖北省荊州市監利県で江蘇省南京から重慶に向けて運行していた観光クルーズ船「東方之星」が6月1日午後9時半ごろ、湖北省監利県の長江上で転覆した事故は、確認されるだけで430人以上の死者を出す大惨事となった。長江三峡クルーズは、私も一度行ってみたいと長年、思っていた憧れの旅であり、自分が乗っていても不思議ではない。夜の暗闇の中、突然転覆し長江の水にのまれた乗客に自分がいたかもしれないと想像すると、その恐怖やパニックはいかほどであったかと胸がつまった。衷心より哀悼をささげる。

 ところでこの事故が、まったくの不運な天候による避けられない事故であったかというと、そうではないようだ。船の違法改築問題や、悪天候を押しての運行の責任問題が徐々に明らかになり、人災である可能性も濃厚になってきた。また、遺族の不満が当局に向かうことを避けようとするあまりの過剰な報道規制や、遺族の行動規制も中国特有のものとして日本などでは報道されている。中国では、確かに「小康社会」(ほどほどに豊かな社会)が広がるにつれて旅行人口が急激に増えているが、実は観光旅行をめぐる環境やリスク管理意識自体は、それに追いついていない。中国旅行に憧れる日本人も多いと思うが、中国の観光業界の問題点、リスクなどをこの事故から少し考えてみたい。

お手頃価格の文明船、改修改造に原因?

 東方之星号がどのような船なのか、まず説明したい。重慶東方輪船公司に所属する長さ76.5メートル、幅11メートル、深さ3.1メートル、2200トンの船で、定員は534人。GPSシステム、衛星テレビ、電話、カラオケルームなども備わり、一、二、三等に船室がわかれている。クルーズ船としては、ハイクラスの文明船として交通当局から高い評価を受けているが、クルーズ費用は1000元から2500元と「お手頃」価格の中国中間層向けだ。1994年に建造され、2度の改修を経ているが、中国における旅客船の強制廃船年限30年にはまだ達していない。

 重慶東方輪船公司は1967年に設立された国有企業で、長江旅客船運営会社の中ではかつては国内最高のサービスとされ、中国五大長江クルーズ船、東方之珠、東方王子、東方皇宮、東方皇苑、そして事故にあった東方之星、すべてこの会社の船である。

 交通当局によると1997年と2004年に改修改造工事が行われている。

 このような大惨事を引き起こしたのはこの改修工事のせいではないか、という指摘もある。この会社の関係者や船舶検査士が中国紙・新京報に明らかにしたところによれば、船の構造を変え、船体の長さ長くしたことにより、重心が不安定になったことが、転覆リスクを増加させたのではないかという。

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「長江クルーズ”人災”事故の背景」の著者

福島 香織

福島 香織(ふくしま・かおり)

ジャーナリスト

大阪大学文学部卒業後産経新聞に入社。上海・復旦大学で語学留学を経て2001年に香港、2002~08年に北京で産経新聞特派員として取材活動に従事。2009年に産経新聞を退社後フリーに。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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