――まず不動産ファンド事業についてですが、国内不動産市場の現状と今後をどのように判断されていますか。
国内不動産市場は向こう2年間、引き続き堅調に推移すると考えています。その理由は、第一に世界的な好況下でカネ余り現象が続くことです。第二に世界主要都市のイールドギャップ(利回りと金利の差)を比較すると、東京は低下傾向にありますが、依然として高い水準にあり、海外投資家の多くが割安と見ていることです。第三に国内の不動産ファンド市場の規模は先進国である米国の数分の1であり、市場の潜在成長率がなお高いことです。
ただ、3年目以降についてはイールドギャップが一層低下するとの予想から、国内外の投資家から見た国内不動産投資の魅力が薄れてくると見ています。つまり、今後2年が投資局面で3年目には静観局面に入ると見ています。
――第二の柱であるコンサルティング・サービス事業の特徴は。
これについては、M&Aアドバイザリー業務とファイナンシャル・アドバイザリー業務を展開しています。前者の強みは、買い手側の買収資金調達のアドバイスから買収した企業の運営支援まで一気通貫で行うことです。加えて、当社独自の金融ネットワークを活用して中・小型の特命案件の囲い込みができます。現に昨年は大手商社と大手小売りのグループ会社を対象に2つのM&A案件をまとめました。
後者については、新興市場の上場会社に対する資金調達のアドバイザリー業務を行っています。当社はメガバンクをはじめ生損保やノンバンクなど50以上の金融機関と強力なネットワークを持っており、クライアントのニーズに応じて最適のアレンジメントを機動的に提供できることが特徴です。
――GCMは設立2年目の前3月期は好決算となりましたが、強みはどこにあるのでしょうか。
第一に良質な人的資源が挙げられます。経営陣は私をはじめメガバンク出身者であり、銀行時代に築いたクライアントのネットワークは多岐にわたります。第二に外資系証券会社とのパートナーシップにより不動産ファンドの組成を同業他社に比べ優位に進められることです。例えば、大規模な資金調達にも機動的に対応できます。
収益面については、ファンド事業からのストック収益が約7割、コンサルティング・サービス事業からのフロー収益が約3 割といった構成です。つまり、事業ポートフォリオのバランスが確保されており、好不況に左右されにくいことも当社の強みです。
――このほど船舶ファンドも創設されましたね。
近年の堅調な国内不動産市場を背景に不動産ファンド事業を積極的に展開する中、リスクマネジメントの観点より、不動産以外のアセットへの多角化を進めたいと考えていました。そこで船舶事業に目をつけたのです。
その理由は3つあります。第一はシンガポールに拠点を置く外資系の船舶コンサルティング会社とアライアンスを組むことができたことです。これにより高い専門性が要求される船舶事業において、船舶の目利きとしての機能を持てるようになりました。
第二は中国の需要などに支えられて船舶マーケットが非常に好調であることです。今後4〜5年間は船舶への投資局面と判断しています。第三に出口戦略においても不動産より動産の方が流動性に富むことです。
――最後に企業理念と事業展開のビジョンについてお聞かせください。
当社は企業理念として「3つのS」を掲げ、常に新たな価値と技術を創造し続けています。 「3つのS」とは、Speciality=専門性、Speed=クイックアクション・レスポンス、Strategy=戦略性です。企業が世の中に存在し続けるためには、価値創造が必要であり、創造すべき価値には自分価値・顧客価値・株主価値があると私は考えています。当社は「3つのS」を通じて、リスクマネジメントを徹底し、常に時代の先取りをすることで、価値創造を継続的に実現しています。
今後の事業展開についても、ファンド事業とコンサルティング・サービス事業とのバランス経営に重点を置きます。特にファンド事業は国内不動産・船舶・海外不動産のポートフォリオ運用を推進します。当社の社名の語源は「Global Capital Management」であり、グローバルベースで活躍・発展できる企業集団を目指しています。
