「EVのある未来都市をジオラマで見せる」ことに決定したのは、
じつは「エコプロダクツ2008」まで残り1ヵ月余りというときだった。
方向性が明確になったことで、個々の意見も具体性を増し、
技術企画部などからもさまざまなアイデアのヒントを得て、
ジオラマの骨組みは徐々に形成されていった。
しかし、ただEVが走る街をつくるだけでは、
漠然としかお客様には伝わらないのではないか? チーム内に一石が投じられた。
技術企画部 課長の人見義明さんは「こちらが見せたいことだけを表現するのでは
お客様は足を運んでくれないでしょう。
何より、お客様に実感してもらうことが大切」と言う。
そこで「実際に生活場面を連想できるようなストーリー展開を目指しました」と
テクノロジーマーケティング室の藤林和宏さん。
具体案として、通常8時間で完了するEVの充電は、
夜間に家で行っているように見せること。
急速充電は20〜30分で手軽にできる点を訴求するため、
レストランで食事をしている間やショッピングモールで買い物をしている場面を盛り込んだ。
また、オープンカフェやランニングしている人の様子を入れることで、
走行中CO2も排出ガスも出ないメリットを伝えた。
さらに、EVが広がれば優遇されるエリアも生まれることを想定し、
EV専用エリアを海に囲まれた島で表現し、EV専用の道路では、近い将来、
走りながら充電できるようなインフラが整えられることを予感させた。
EVの利便性と公共交通機関の合理性を活かした「パーク&ライド」も推進し、
CO2の軽減が期待できる交通のあり方までをも追求した。
これらを組み込んでも伝えきれない部分は、イラストやパネルで説明を補うことに。
チームのこだわりが集約されたジオラマは展示会の
前々日にようやく完成し、搬入は前日。
チーム総出で最後の組み上げ作業やテストが繰り返され、
いよいよ当日の朝を迎えた。

