


新しく誕生する東京都市大学は、武蔵工業大学に設置されている工学部、知識工学部、環境情報学部に、東横学園女子短期大学を4年制に組織改編し、全く新しいコンセプトで新設する都市生活学部、東横短大の保育学科を継承しレベルアップを図った人間科学部を加えて、5学部体制となる。
同時に、五島育英会に所属する幼稚園、小学校、中学校、高等学校を、東京都市大学の付属校として名称変更することも決定。「都市大」グループとして、高校―大学連携をはじめとする教育体制の強化を行う。

この統合に伴って、教育・研究環境が大幅に充実することは間違いない。武蔵工業大学自体、時代のニーズに合った進化を続けている。例えば2007年に開設した知識工学部、08年に工学部に原子力安全工学科を新設したが、さらに09年に知識工学部に自然科学科を新設、経営システム工学科を名称変更の形でリニューアルする。
こうした社会に対する感度は、武蔵工業大学が培ってきた「ものづくり」技術の伝統に、人文科学系の感性や社会科学系の感覚が加わることで一段と鋭さを増す。学部間の連携が進めば、分野横断型の学際的な研究が活発化するからだ。
その方向性を端的に示すのが、東京都市大学の新キャッチフレーズ「科学を基盤にサステナブル(持続可能)な社会発展をめざす」である。この目標のもと、科学技術、エネルギー、情報、環境、ビジネス、幼児教育など、これまで以上に多様な分野で活躍する人材の育成を打ち出している。
教育面でも、他キャンパスの学部で開講する科目を柔軟に履修できる制度が導入される予定だ。それを促進するために、キャンパス間をつなぐシャトルバスを頻繁に運行し、他学部の学生や教員との交流を図る。
東京都市大学のコンセプトの片鱗は既に垣間見える。
環境情報学部の小池星多研究室では、二子幼稚園でロボットを使用した園児の情操教育の実験に取り組んでいる。年間約10回、ロボットが同園を訪問し、園児たちに絵本を読み聞かせたり、クリスマス会でサンタクロースに扮したりして、人間とロボットのコミュニケーションの可能性を探っている。幼児教育と工学的な視点からのアプローチは、今後一層強固なものになるだろう。
さらに、連携はグループ内だけにとどまらず、他大学にまで広がりを見せつつある。昨年度は、室蘭工業大学、昭和大学、多摩美術大学と包括連携協定を締結した。多摩美術大学とは工学と芸術の融合、昭和大学とは、人工臓器、遠隔手術システムなどの研究を進めている工学部生体医工学科を中心とした共同研究が行われる予定だ。室蘭工業大学との連携は、私立大学と国立大学が手を組んだ珍しいケースである。室蘭工業大学は、地元のエネルギープラントから排出される副生水素の再利用研究に着手。一方の武蔵工業大学は、日本で初めて水素エンジン搭載自動車を開発した大学として知られる。両者の協力により、この分野の研究の飛躍的な前進が期待できる。
こうしたグループ内外に広がる柔軟な連携によって、東京都市大学の教育・研究体制は進化のスピードを上げていく。
| Copyrightc 1995-2008 Nikkei Business Publications, Inc. All rights reserved. このページに掲載されている記事・写真・図表などの無断転載を禁じます。著作権は日経BP社,またはその情報提供者に帰属します。 掲載している情報は,記事執筆時点のものです。 |