人気イラストレーターにして気鋭のビール専門家。最近はテイスティングセミナーの講師、ビール専門誌の編集長を務めるなど、マルチな活躍ぶりで注目される藤原ヒロユキさん。ここ数年はビールがらみの取材やイベントで地方に出張する機会も増えたが、仕事はあくまでも東京が中心だ。にもかかわらず、ひょんなことから京都府与謝郡の里山に家をつくることになった。今から2年前のことである。
「ヨメの実家があちらにありまして。築70年くらいの古い民家ですが、丹後ちりめんの作業場だったスペースがそっくり物置になっているのを見て、『あ、ここを住居兼アトリエにつくり替えたら面白いかな』と。最初はほんの思いつきでした」
家づくりの何たるかについて、予備知識があったわけではない。そもそも「家を持つ」ということに関して極めて執着が薄かったという。敢えて住まいについて条件を挙げるとすれば、「職住近接」であることぐらい。
まず、これまでの人生で電車通勤というものを経験したことがなく、イラストを描く仕事柄、パッとひらめいたら机に向かえる環境でないと厳しい。煮詰まったときは、料理でもつくって気分転換を図りたい。となると、自宅と仕事場は近ければ近いほどいいわけで、「この一点さえクリアできれば賃貸でも一向にかまわない。そのくらいアバウトな住宅観しか持っていなかった」と振り返る。 |