フォークリフトのトップメーカー、豊田自動織機・トヨタL&Fカンパニーが環境を見据えて躍進している。昨年秋には、優れた安全性と快適性に加えて、新排ガス規制にいち早く対応した環境にもやさしい新型ジェネオを投入した。他社の追随を許さない先進商品を生み出す背景には、全社を挙げた環境問題への真摯な取り組みがある。

製品や原材料などの積み下ろしや、運搬作業を行うフォークリフトは、様々な産業に不可欠な物流業務の中心的役割を担う。 その国内フォークリフト市場全体の約5割を占めるのが1〜3トンクラスのエンジン式フォークリフト。この最大市場に向けて、43%以上のトップシェアを握る豊田自動織機・トヨタL&Fカンパニーが昨年9月に発売した1〜3.5トン積エンジン式フォークリフト、新型「ジェネオ(GENEO)」が、時代を先取りした技術で注目を集めている。

「環境」「安全」「快適」がキーワード

8年ぶりにフルモデルチェンジした新型ジェネオは、「環境」「安全」「快適」をキーワードにフォークリフトの本質を究めた、いわばフォークリフトの“基本の進化形”だ。

100人を超える技術者を束ね、開発の指揮をとったトヨタL&Fカンパニー製品企画部主査の永田尚夫氏は、「お客様の要望をもとに、環境面、安全性、操作性やコスト効率などについて約500に上る改善項目を設定し、4年の歳月をかけて開発した」と厳しい開発競争の裏側を明かす。

まず、今回のモデルチェンジで特筆されるのが環境面での取り組みだ。近年、地球環境に対する意識の高まりを背景に、顧客からは安全確保や操作性の向上に加えて、環境負荷の低減といった社会的ニーズに対する要求が増えていることに対応。新型ジェネオの開発、設計に当たっては、初期段階で製品のライフサイクル全体の環境影響を事前評価するLCA(ライフサイクルアセスメント)を実施し、環境負荷の低減に積極的に取り組んだ。

まず、電子制御ガソリンエンジンと三元触媒マフラーを業界で初めて標準装備し、ガソリン車の新排ガス規制(国内特殊自動車排出ガス平成19年規制)にいち早く対応した。たとえば、従来モデルに比べて一酸化炭素(CO)の排出量を約57%、炭化水素(HC)+窒素酸化物(NOx)は約99%も低減させた。いずれも規制値を大幅にクリアしている。また、燃料噴射量を最適に電子制御することで、燃料消費量を約15%削減した。

さらに従来から取り組んできた塗料の水性化などにより、六価クロムや鉛など環境負荷物質を大幅に低減することで、生産段階でも環境への負荷を軽減させている。また、米国で9割を占め燃料コストが安くクリーンなLPG仕様車やCNG(圧縮天然ガス)仕様車も従来モデルに引き続き設定している。

騒音対策にも配慮し、遮音吸音対策を施したほか、フォークガタ音防止機構の採用で静粛性を確保した。リサイクル性の向上にも取り組み、リサイクル可能率99%を実現した。残り1%はシート・ホース類などの樹脂・ゴムだが、これらにも材質表示するなどして、解体した際にリサイクルしやすいように工夫している。

排出ガスによる地球温暖化など環境問題に対して社会の関心が高まっている。私たち企業も一地球市民であり、地球環境をいかに守っていくかについて、真剣に考えなければならないのは言うまでもない。

しかも、環境に対して何をしているかによって、企業の価値が判断され、日本を含め世界の人々の目が環境に向けられている現在、好むと好まざるとにかかわらず、環境問題は、ビジネスでも戦略的に“戦う場”となっている。環境に優れた製品を開発することは売り上げに結びつき、生産活動で省資源・省エネルギーに取り組むことは利益の向上につながる。環境で勝利したものは企業としても生き残っていくことができる。

そうした意味でも、当社はフォークリフトのトップメーカーとして、常に先頭を走っていかなければならない。世の中の動きに乗り遅れてはいけないからとか、皆の後についていけばいいといったスタンスで環境に取り組むつもりはない。実際、新型ジェネオは、新たな環境規制をクリアするための新技術を業界に先駆けて採用。他社の追随を許さないと確信している。

時代に合わせ新たな概念を導入

こうしたことができるのも、当社が環境に対して真剣に取り組んできた結果だ。当社はこれまで環境保全を経営の重要テーマと位置づけ、「環境取り組みプラン」を策定してきた。2006年度から始まった「第4次環境取り組みプラン」では、環境に与える影響と製品の価値との割合を数値化した「環境効率」を新たに取り入れた。

右肩上がりで生産量が拡大していく状況の中では、現実問題として二酸化炭素など排出物の総量を削減していくのは難しい。そこでこうした新たな概念を取り入れて、環境問題に取り組んでいる。これらは、現在開発を進めている燃料電池フォークリフトやハイブリッドフォークリフトはもちろん、無人搬送車や自動倉庫といった自動化設備を提供する物流システム事業などにも生かしている。

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