NBonline SPECIAL 野村證券ほっとダイレクト
人生をより豊かにするために――『30代の資産形成・新常識』/ファイナンシャルプランナー久谷真理子氏 Kutani Mariko
情報をたくさん持っている世代だからこそ陥りやすい「資産引用の落とし穴」がある。豊かな人生を過ごすための資産運用の新常識を聞く。(白子サトシ◆インタビュー・文・写真)

情報をたくさん持っていても、「自分のベスト」を知るべき

30代を中心としたアソシエ世代は社会人以降、お金については優遇されてこなかった世代といえます。1995年前後に社会に出た頃には、既にバブルが崩壊。超氷河期の就職戦線を突破して大企業に入社したものの、その上の世代と違って高額のボーナスを経験したことがありません。

老後も自分たちの親世代と違って確たる保証もなく、様々な面において不安や危機感を感じています。社会人としての基礎をつくってきましたが、人生の土台づくりはこれからです。私のところには、「家を買う場合、どのタイミングでいくらぐらいのローンが組めるのか」「教育費はどの程度備えるべきか」という相談が多いんです。

極端な例ですが、中学生のお子さん2人に年間500万円の教育費をかけている方が相談に見えました。「家計が苦しい」と。当たり前です。自分たちの収入を超える部分は親に頼っているからなんとか回っているだけです。
目先のことをこなすのに精一杯で、資産形成が後回しになるのはある程度仕方がありません。ただ、それを乗り越えつつ、老後に備えた資産形成をしていかなければなりません。

独身でまだ結婚を考えていない人は、不動産を購入して資産形成したいという人が最近目立ちます。書籍を含めて“成功体験”の情報が氾濫しているせいか、そういう夢を持っているようですね。極端な場合は、100%ローンを組んでも資産が増やせると考えている人もいます。でも、いきなりは厳しい。一方、不動産以外の株や投資信託といった金融商品の選択肢は増えています。ただ、投資リスクに関してはみなさん割と堅く考えています。

金利が高ければ安全なものに預けていればよかったのですが、今はそういう時代ではありません。現在の金利水準は95年当時にまだ追いついていません。高金利の恩恵を受けていない世代なので、自分で頑張らないと資産は増えないことを身に染みて感じています。この点はシビアに考えている人が多く、そのせいか資産運用・形成への興味はすごくあるようです。

実際、この世代が社会人になった時にはインターネットやEメールが普及しだした頃なので、情報はたくさん持っています。ただ、それをどう使っていいのか分からない。いろんな情報で頭の中がいっぱいになって、それで相談にいらっしゃいます。基本的には、その人がどうしたいのかが前提になりますが、自分がどこまでできるのかというバランスを考えながらやっていく必要があります。


ハードルをたくさん抱える世代だからこそ、自分で備えを

昔であれば、住宅ローンや教育費を払い終えて、そして老後は年金で生活するというのが一般的なパターンでした。しかし、晩婚化でその負担が老後に食い込んでくる人が増えてきています。やるべきことが人生の後半に固まってしまうわけです。こうした状況も考えておく必要があります。
また、この世代は住宅を買おうと定期預金をしてきましたが、低金利の時に預けていたんです。でも、買おうとした時にはローン金利が上昇し始めている。10年ほど前の人たちは、金利の高い時期に預けて、低くなってから住宅を買うことができました。まさに逆になっています。

久谷真理子

だからこそ、アソシエ世代の人には早い時期から資産形成を始めてもらいたいと思います。例えば今のうちから頑張って貯蓄や投資をしたり、家を持とうと思うのなら、早めの取得を考える、といったことです。

書物やインターネットでみなさんすごく勉強していて、マニアックな情報まで持っています。でも、こうした基本的な知識が抜け落ちているんです。その意味でも、早い時期での資産形成に関する知識習得は重要です。理想をいえば、社会人になった20代の頃からそういう意識を持ってほしい。しかし、今からでも決して遅くはありません。

知識がない、あるいは間違った知識では、良い結果に結び付きません。これだけ金融商品がある今、自分が納得して選んで結果が悪い分には、次へのステップになります。しかし、言われるままに買って訳が分からないうちにバーッと資産が目減りしたのでは、次に活かせません。
もちろん、絶対に失敗しない投資なんてありません。でも、小さい失敗を繰り返していって、最終的に自分の中で何らのかスタイルができてくるのではないかと思います。大きな失敗をしないためにも、きちんとした知識を持って上手な選択をしていくことが重要です。

資産形成というのは、個人個人の背景があるので十人十色です。勤務先や家族構成、年収が同じでも、その方のマインドで違ってきます。アソシエ世代は、「自分で努力しないと何も得られない」ということをどこかで感じています。そう思いつつも、そのままになってしまっている人がすごく多いと思います。

住宅、教育、保険、老後への備えなど、クリアしなければならないハードルはたくさんありますが、どれも単体で解決できるものではなく、すべてリンクしているんです。相談に来てそれに初めて気付く人もいます。昔よりハードルが高くなっている分、自分のことは自分を守る、自分で考える努力をしていく必要があると思います。


PROFILE
くたに・まりこ●1級ファイナンシャル・プランニング技能士、日本FP協会CFP認定者、住宅ローンアドバイザー、宅地建物取引主任者。慶應義塾大学法学部法律学科卒。都市銀行において融資業務に従事。不動産コンサル事務所にて投資用不動産・相続不動産などの相談から実行支援まで行う。その後、株式会社フリーダムリンク・ジャパン設立に参画し、取締役として住宅ローンをはじめとする資金計画相談や不動産投資相談を数多くこなす。また、執筆およびセミナー講師としても活動中。NPO法人日本FP協会2006年「くらしとお金のFP相談室」担当相談員を経て、現在はNPO法人日本FP協会東京支部役員
TOP
INTERVIEW
仕事、人脈、結婚、お金――中西流・成功&人生哲学/スポーツジャーナリスト中西哲生氏
もっと詳しく知りたい
野村證券ほっとダイレクト
アンケートに答えてプレゼントをGET!!

中西哲生著『不安定な人生を選ぶこと』 アンケートに答えてご応募いただいた方の中から抽選で30名様に、中西哲生さんの著書『不安定な人生を選ぶこと 〜買い物ワールドカップ2000〜2002〜』(幻冬舎刊)を差し上げます。
4月30日締切
※当選者の発表は賞品の発送をもって代えさせていただきます。なお、賞品は都合により変更となる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
ご応募はこちらから
当サイトの記事・写真・図表などの無断転載を禁止。Copyright(c) 2001-2007 Nikkei Business Publications,Inc.All Rights Reserved.