中井 子どもの安心・安全を確保するために、ITはどのように活用されているのでしょうか。
酒井 一般的には、「不審者情報などのメール配信」とか「防犯カメラの設置」などがありますが、当社では「ICタグを用いた通学路の見守り」に取り組んでいます。
中井 具体的にはどのように見守るのですか。
酒井 子どものランドセルに自らデータを送信するICタグを付けてもらい、校門や街灯にそのデータを受信するためのアンテナを立てます。子どもがアンテナのある地点を通ると、子どもは意識せずに、その情報が保護者の携帯電話などにメールで通知される仕組みになっています。この仕組みを導入することにより、保護者はよりきめ細かく登下校の状況を把握することが可能になります。
中井 「登下校通知サービス」というわけですね。マラソンの選手にもICタグを付けて、ポイント地点の通過データがわかるようになっていますが、それと同じような仕組みですね。最近、子どもが今どこにいるかを知るために携帯電話を持たせているという話も聞きますが、当然、持っていない子どもも多いはずです。地域でそういうサービスを行うことは大事ですね。
酒井 通学路のポイントに人が立って見守るという取り組みでは、ちょっとした用事などで持ち場を離れてしまうこともあるはずですが、システムなら常に動作し、見守り続けることができます。しかし、何かあったときには誰かが駆けつけなければならず、結局は人の力が必要になります。
中井 人とITのダブルで見守ることが大切なのですね。
酒井 そうですね。重要なのはITで全てができるわけではないということです。人ができないことをITによって補う、つまりシステムの背後に人がいることでITが活きてきます。そのためにも地域との連携が欠かせません。大事なのはコミュニケーションをとることなのです。
昨年の5月と12月の2回、都内小学校で実証実験を行いました。1回目はシステムの技術面を確認し、2回目は主に運用面を検証しました。2回目の実証実験の際に立ち上がった地域コミュニティのNPOでは、緊急時の駆けつけなど保護者に代わって子どもを保護する役割も担っていただきました。保護者や学校の先生はもちろんですが、こうしたNPOや地域の商店街、警察などのご協力が必要不可欠なのです。
中井 「地域の子どもは自分の子ども」と思えるくらいの想いがあれば、大きな効果が期待できますね。実証実験の結果はどうだったのでしょうか。
酒井 運用については、いくつか検討課題がありますが、保護者の方からは「地域ぐるみの見守りということで安心感があった」と評価をいただきました。
中井 地域ぐるみで取り組むことで犯罪の抑止効果も期待できそうですね。 |