【NBonline SPECIAL 連載企画】中井美穂のThink of Tomorrow 〜ITで変わる、暮らしが変わる〜
NB online SPECIAL 第5回 地域コミュニティをサポートする 子ども安心・安全 ソリューション
核家族化が進み、地域での人間関係が希薄になる中で、子どもが事件に巻き込まれるケースが増えてきている。NTTコムウェアでは、地域コミュニティと協力して、ITを使って子どもの安心・安全を確保するための試みに取り組んでいる。子どもの行動を見守り、犯罪の発生を未然に防ぐためにITはどう貢献できるのか。また、IT活用のポイントはどこにあるのか。キャスターの中井美穂さんがその取り組みについて話を聞いた。
中井美穂のThink of Tomorrow 〜ITで変わる、暮らしが変わる〜
犯罪が多く発生する登下校時をどう見守るか
「空白の30分と報道されたりしていますが、確かに保護者の目の届かない危険なタイミングというものがあります。その時間帯を人間とITがダブルで見守ることで、子どもが事件に巻き込まれることを防ぐことができますね。皆さんが、「地域の子どもは自分の子ども」と思うことができれば大きな効果が望めると思います。」中井 美穂

中井 子どもが事件に巻き込まれる報道が相次ぎ、数年前から“学校は安全だ”という神話も崩れてきていますね。近年、犯罪が増加している中で、子どもを取り巻く環境はそれほど悪化してきているのでしょうか。

酒井 ニュースなどを見ると、子どもに関わる犯罪は、昔に比べて多種多様化しているように思えます。また、警察や自治体が配信している不審者情報を見ると、身近に犯罪が発生する可能性が潜んでいるのだと実感しますし、事件が報道されることで保護者の方の危機感も高まっています。
学校側も危機管理マニュアルなどを作成して対応していますが、集団での登下校や通学路点検、通学路安全マップ作成、さらには保護者による持ち回りでの見守りといった人海戦術に頼らざるを得ないのが現状です。防犯教室や防犯ブザーなども取り入れられていますが、継続してやっていくのは難しいようです。

中井 昔は地域との密着度が高くて、どこの誰なのか、どこの子どもなのかすぐにわかりましたが、今は、会社勤めで転勤が多かったり、マンションが増えたりで、昔のようなご近所付き合いも減ってきました。そのため不審者かどうかの判断がつかないことも多いのではないでしょうか。だからといって、子どもに対して、こんなことをしては駄目、あそこに行っては駄目と、あまり神経質になりすぎるのも考えものですよね。そのあたりのバランスが難しいのではないでしょうか。

酒井 確かにそうですね。あまり過保護になり過ぎると、子どもが安全か危険かを判断する能力や、危険に遭遇した時の回避能力が育たないと思います。ただ、子どもに関わる犯罪の70%以上は道路や駐車場、駐輪場などで発生していて、発生時間も午後4時から午後6時の時間帯が多いというデータがあります。やはり登下校時は危険な時間帯なのです。

中井 空白の30分と報道されたりしていますが、そういう危険なタイミングというものがあるわけですね。

酒井 そのとおりです。保護者の方には、学校から一歩出たら、子どもは危険に遭遇する可能性が高いということを忘れないでいただきたいのです。日常の生活の中でどこがいちばん狙われやすいのか、その点を押さえたうえで対応策を考えていくべきだと思います。

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地域の人たちの協力があってITの効果も発揮される
「通学路のポイントに人が立って見守るという取り組みでは、ちょっとした用事などで持ち場を離れることもあります。そのような場合、ICタグを用いたシステムであれば常に見守ることができます。とはいえ、システムはあくまで人ができないことを補うもので、地域コミュニティのご協力が必要不可欠と考えています。」NTTコムウェア株式会社 エンタープライズ・ソリューション事業本部 RFID推進室 酒井 真紀子

中井 子どもの安心・安全を確保するために、ITはどのように活用されているのでしょうか。

酒井 一般的には、「不審者情報などのメール配信」とか「防犯カメラの設置」などがありますが、当社では「ICタグを用いた通学路の見守り」に取り組んでいます。

中井 具体的にはどのように見守るのですか。

酒井 子どものランドセルに自らデータを送信するICタグを付けてもらい、校門や街灯にそのデータを受信するためのアンテナを立てます。子どもがアンテナのある地点を通ると、子どもは意識せずに、その情報が保護者の携帯電話などにメールで通知される仕組みになっています。この仕組みを導入することにより、保護者はよりきめ細かく登下校の状況を把握することが可能になります。

中井 「登下校通知サービス」というわけですね。マラソンの選手にもICタグを付けて、ポイント地点の通過データがわかるようになっていますが、それと同じような仕組みですね。最近、子どもが今どこにいるかを知るために携帯電話を持たせているという話も聞きますが、当然、持っていない子どもも多いはずです。地域でそういうサービスを行うことは大事ですね。

酒井 通学路のポイントに人が立って見守るという取り組みでは、ちょっとした用事などで持ち場を離れてしまうこともあるはずですが、システムなら常に動作し、見守り続けることができます。しかし、何かあったときには誰かが駆けつけなければならず、結局は人の力が必要になります。

中井 人とITのダブルで見守ることが大切なのですね。

酒井 そうですね。重要なのはITで全てができるわけではないということです。人ができないことをITによって補う、つまりシステムの背後に人がいることでITが活きてきます。そのためにも地域との連携が欠かせません。大事なのはコミュニケーションをとることなのです。
昨年の5月と12月の2回、都内小学校で実証実験を行いました。1回目はシステムの技術面を確認し、2回目は主に運用面を検証しました。2回目の実証実験の際に立ち上がった地域コミュニティのNPOでは、緊急時の駆けつけなど保護者に代わって子どもを保護する役割も担っていただきました。保護者や学校の先生はもちろんですが、こうしたNPOや地域の商店街、警察などのご協力が必要不可欠なのです。

中井 「地域の子どもは自分の子ども」と思えるくらいの想いがあれば、大きな効果が期待できますね。実証実験の結果はどうだったのでしょうか。

酒井 運用については、いくつか検討課題がありますが、保護者の方からは「地域ぐるみの見守りということで安心感があった」と評価をいただきました。

中井 地域ぐるみで取り組むことで犯罪の抑止効果も期待できそうですね。

実証実験の概要
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地域の安全を考えるために働きかけ続けたい

中井 導入にあたっての課題はどんなところにあるのでしょうか。

酒井 今は実験段階ですから、実際の導入となれば、運用面や費用面といったところで調整が必要になりますが、保護者や地域の方たちのコンセンサスをとることがポイントになりますね。

中井 プライバシーの考え方も様々ですから、コンセンサスをとるのは大変そうですね。今後はどのような展開をお考えでしょうか。

酒井 企業の業務を効率化するような仕組みとは違いますので、システムを前面に出してアピールするのではなく、あくまでも安心して暮らせる地域を作るためには、何をしたらよいのか、といった働きかけをしていこうと考えています。私たちの働きかけが地域コミュニティを作るひとつのきっかけになってもらえれば嬉しいですね。子どもの安心・安全に取り組んでいるNPOの方たちからもアドバイスをいただきながら、地道にいろいろな方たちの意見を取り入れ、どんなスタイルであれば無理なく受け入れてもらえるのかを見極めていきたいと考えています。まずはこのような取り組みを地域ぐるみで受け入れてもらえるところから事例を作っていきたいですね。

中井 成功事例が出てくると急速に広がっていきそうですね。こうした取り組みによって、悲惨な事件に子どもが巻き込まれることのない社会になることを期待しています。

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Interviewerインタビュアー
中井美穂(なかいみほ)
アナウンサー。スポーツ・バラエティ・情報など多分野のテレビ番組で司会を担当。雑誌連載コラム、CMでも活躍中。レギュラー番組『旅の香り』『タカラヅカカフェブレイク』etc.
お問い合わせ先
NTTコムウェア 〒108-8019 東京都港区港南1-9-1 NTT品川TWINS アネックスビル
http://www.nttcom.co.jp/
【NBonline SPECIAL 連載企画】中井美穂のThink of Tomorrow 〜ITで変わる、暮らしが変わる〜
第5回 地域で子どもを見守る
地域コミュニティをサポートする子ども安心・安全 ソリューション
犯罪が多く発生する登下校時をどう見守るか
地域の人たちの協力があってITの効果も発揮される
地域の安全を考えるために働きかけ続けたい
第1回 高齢化社会を迎えて
離れて暮らす高齢者をさりげなく見守る“安心・安全な生活”を支援するシステム
第2回 住民サービス向上のために
ITを活用した市民コールセンターによる住民のニーズに応える行政サービスの実現
第3回 自然災害に備えて
リアルな被害予測を可能にするタンジブル災害総合シナリオシミュレータ
第4回 ビジネスを止めない
企業価値を向上させる システムコンティニュイティ ソリューション
関連サイト
NTTコムウェアホームページ
RFIDソリューション
ビジネスコミュニケーション5月号掲載記事

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