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テーマ:M&Aを成功させるためのポイントは | 迅速なオペレーションとシステムの統合がM&A戦略を成功に導くための不可欠な条件
企業の成長戦略、あるいは業界内での生き残りの一手法として、M&Aが定着している。すでに大きな成熟を遂げた国内市場のみをターゲットとしたビジネスから脱却し、より大きな可能性を持つ海外市場に進出する中堅企業は多い。そうした企業にとって、M&Aによる海外企業の買収が有力な選択肢となりつつある。しかし、十分な準備を欠いた闇雲なM&Aには大きなリスクがあることも事実だ。ここでは、2005年以来、多くの企業を買収し、飛躍的な成長を遂げてきたオラクルの事例をベースにM&A実践のポイントを探る。
M&A戦略により各社の製品・技術を吸収 総合ソフトウェアベンダーへと躍進
日本オラクル株式会社 執行役員 経営企画室長 吉川 剛史氏

いまやM&Aは、大企業ばかりではなく、中堅企業が成長戦略を描くうえでも有力な選択肢として定着してきている。特に、グローバルなビジネス展開を目指す企業にとって、海外企業をM&Aにより傘下に収めることのメリットは大きい。より少ない労力と時間で顧客や販売拠点、人材、ビジネスノウハウなどを一括して取得でき、海外進出のリスクを最小限にとどめることができるからだ。

さらに最近では、世界的な株安や円高傾向が急速に進んでおり、比較的キャッシュフローの潤沢な日本の中堅企業がM&Aに取り組むうえで追い風となっている。こうしたことから、この機会に海外市場獲得に向けたM&A戦略を積極的に展開したいと考える経営者も少なくない。

ただし、ほとんどの日本企業は、M&Aに対するノウハウが少なく、何を基準にどこから始めるべきなのかがわからない。そこで参考となるのが、数々のM&Aによる企業買収を実施し、その成果を上げてきたオラクルの事例である。

オラクルでは、2005年以降、M&Aを通して計約50社をオラクルグループに迎え入れてきた。そうした中で、当初はデータベースの専門ベンダーであったオラクルは、企業買収を通して各社の製品や技術を吸収し、ミドルウェアから業務アプリケーションの領域へとビジネスを拡大。およそ4年の間に、企業のビジネスをトータルに支える総合ソフトウェアベンダーへと躍進してきたのである。

ビジネスの主要局面での統合を100日以内に完了できることが条件

それでは、オラクルがこのような積極的なM&A戦略を成功させてきたポイントは、どこにあるのだろうか。その最も象徴的なものとしてあげられるのが、同社がM&Aの実施にあたってとってきた「100日プラン」と呼ばれる施策である。

「オラクルでは、M&Aを実施した際に、製品や価格、販売・サポートのチャネル、システムといったすべての局面における統合を100日以内に必ず完了するという規定を設けています」とオラクルの吉川 剛史氏はその内容を説明する。この施策の背景には、数カ月でどんどん移り変わっていく市場環境に対して、M&Aの効果を迅速に発揮させたいという狙いがある。

通常、企業がM&Aを実施する際には、買収対象となる企業が投資対象として相応しい価値を有しているのか、あるいはどのようなリスクがあるのかといった観点から、相手企業の財務や法務などの状況を査定する「デューデリジェンス(Due Diligence)」という作業が不可欠となる。「オラクルにとっては『100日プラン』を全うできるか否かという問題もデューデリジェンスを行う際には重要な指標となっているわけです。言い換えれば、各局面における統合作業が100日以内に完了できない企業は、自ずとM&Aの対象から外されることになります」と吉川氏は説明する。

図1 M&Aによる企業買収・統合を行う際のポイント 図1 M&Aによる企業買収・統合を行う際のポイント
買収前には綿密な財務や製品・技術、そしてシステムについての綿密なデューデリジェンスを実施。また買収後には、速やかに業務プロセスやシステムの統合を実現する。
システムの統合をめぐる問題が困難な課題としてのしかかる

とはいえ、100日以内でそうした統合を実現するのは、実際には非常に難しい作業だ。中でも、システムの統合をめぐる問題は、とりわけ困難なテーマのうちのひとつである。このあたりの事情については、近年、大手金融機関の統合などに際してシステム上の混乱が相次いでいることからも容易に推し量ることができるだろう。

これに関し吉川氏は、「スムーズなシステム統合を実現していくうえでは、自社の社内システムがERPパッケージ等で統合化されており、そのうえで業務プロセスが標準化されていることが重要なカギとなります。つまり、この2点を満たしていない企業は、M&Aを実施するには時期尚早だといわねばなりません」と語る。事実、オラクルが一連のM&Aを成功させてきた背景には、自社の社内システムと業務プロセスをグローバル規模で標準化、最適化するという取り組みがあった。

具体的には、同社が2000年頃から取り組んだ「GSI(Global Single Instance)」と呼ばれるプロジェクトがこれにあたる。「このプロジェクトでは、全世界に散在していたデータセンターを物理的に1箇所にまとめるとともに、論理的にも各国のバックオフィスの業務プロセスを標準化して、ERPパッケージ「Oracle E-Business Suite」に統合化。各国の拠点はそこで提供されるサービスをシェアする形で利用しています」とオラクルの齋藤 稚亜子氏はその内容を紹介する。つまり、M&Aにより加わる企業がいかなるシステム、業務プロセスを有していようと、オラクルで標準として確立されたシステム、業務プロセスを踏襲することで、統合に伴う混乱を回避しているわけだ。

図2 M&Aの準備段階にオラクルが行った取り組み 図2 M&Aの準備段階にオラクルが行った取り組み
オラクルではGSIの取り組みにより、各国のバックオフィス業務のプロセスを標準化し、インドに置かれたシェアードサービスセンターに集約。また、業務システムも米国のデータセンター内に統合した。

「本来であれば、M&Aによって何を求めるのかという戦略を策定する時点で、自分たちの業務の見える化、可視化を図ることが不可欠です。それには、四半期単位、月次単位の経営ではなく、リアルタイムな経営を志向することが必要です。システムをERPで統合し、業務プロセスを標準化するという取り組みは、そのための前提となるものです」と吉川氏は語る。

自社の取り組みで培ったノウハウで中堅企業のM&A戦略を成功に導く
日本オラクル株式会社 経営企画室 企画部 担当マネージャー 齋藤 稚亜子氏

オラクルでは、以上のような中堅企業がM&Aによる成長戦略を実施していくための基盤ともいえる「業務やビジネス状況の可視化」、あるいは「システムの統合化」や「業務プロセスの標準化」を支援する様々なソリューションを提供している。もちろん、そうしたソリューションの中には、同社のGSIへの取り組みをはじめ、世界中の数多くの顧客における事例を通じて得られたエッセンスがあらかじめ組み込まれている。

「一方、実際にM&Aの実施に際して必要となるデューデリジェンスや、M&A実施後に様々な局面で取り組まねばならない統合をめぐる作業に関しても、オラクルがこれまで約50社のM&Aに取り組む中で培ってきた豊富な経験とノウハウに基づいて、中堅企業のお客様を積極的に支援していきたいと考えています」と齋藤氏は語る。その具体的なスタイルとしては、コンサルティングサービスを拡張するような形での対応も考えられるという。

これに加え、広範な業種や分野に向けて製品やサービスを提供する、膨大な数のパートナーを有していることもオラクルの大きな強みである。「オラクルの知見、そして世界中のパートナーの知見を総合的に駆使することで、中堅企業のお客様のM&A戦略の成功に向けた取り組みを強力にバックアップしていけると考えます」と、吉川氏は語った。

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