NBonline Special:産業立地特集 企業立地、今後も好調を持続できるか

企業立地、今後も好調を持続できるか 企業立地促進法をテコにした施策展開に期待集まる

2007年の企業立地は、良好な景気と製造業の国内回帰の流れを背景に5年連続で件数、面積ともに増加した。景気に不透明感が漂う中、企業立地の今後のカギを握るのは07年6月に施行した企業立地促進法。地域産業の活性化を目指す同法を活用して企業を呼び込もうとする自治体が着実に増加しており、その効果が期待されている。

 経済産業省が2008年3月末に発表した07年の工場立地動向調査によると、工場立地件数は前年比9件増(0.5%増)の1791件、立地面積は345ha増(14.6%増)の2710haと、いずれも1967年の調査開始以来、初めて5年連続の増加となった。

 立地件数は微増にとどまったが、10ha 以上の大規模な立地が増えたことが立地面積の拡大につながった。10ha以上の立地は、31件(前年26件)、このうち50ha以上は3件(同1件)に上った。

 全国を14に分けた地域ブロック別の立地件数では、北陸、近畿内陸、北九州など8地域が前年に比べ増加し、北東北、四国が横ばいとなったが、南東北、関東臨海、近畿臨海、山陽では減少した。立地件数の多かった上位3つの地域は関東内陸(325件)、東海(306件)、南東北(163件)で、これらが全体の4割超を占めた。

 地域ブロック別の立地面積は関東臨海(306ha)、近畿臨海(265ha)、南九州(165ha)など11地域で増加し、四国、南東北、関東内陸で減少した。

 都道府県別では、立地件数が(1)静岡(2)群馬と愛知(4)兵庫の順で多く、立地面積は(1)愛知(2)埼玉(3)茨城(4)静岡の順で大きかった。

 業種別の立地件数では、一般機械(296件)、金属製品(275件)、輸送用機械(205件)、食料品(180件)が上位を占めた。前年との比較では、輸送用機械が205件(前年153件)、窯業・土石製品が49件(同37件)、精密機械が36件(同25件)と大きな伸びを示した。

基本計画に応じた立地企業は93件 設備投資の合計額は1兆円超に

立地件数、敷地面積の年別推移 景気の減速感が広がり、企業の投資意欲に先行き不透明感が漂う中、5年連続で拡大し続けた企業立地の今後の見通しはどうなのだろうか。経済産業省地域経済産業グループの前立地環境整備課長の山本哲也氏は、「企業立地はまず景気動向に左右されるので、今後は昨年までのように順調に推移するとは言い難い。しかし、企業立地促進法の効果が下支えしてくれると期待している」と話す。

 企業立地促進法とは、地域の特性・強みを生かした企業立地の促進を通じて個性ある地域産業の活性化を目指す法律で、昨年6月に施行した。都道府県と市町村が集積を目指す業種や立地件数などについて基本計画を立て、国がそれに同意をすれば、立地する企業は、税制や人材育成など様々な面で支援を受けられるというもの。

 基本計画は1県で複数立案することができ、今年6月までに国が同意した基本計画は43道府県から121に上る。08年度中には東京都と残りの3県からも基本計画が提出され、その総数は140を超えるとみられている。

 この基本計画に応じて、各地域に立地した企業は08年5月末段階で、93件。その設備投資の合計額は1兆円を超えるという。「各自治体による企業立地促進法をテコにした施策展開が本格化しており、同意する基本計画が増加するにつれ、立地企業も順調に増えている」と山本氏。

農林水産関連業種にも適用 人材育成面でも支援

 一定の成果を収めつつある企業立地促進法は、先の国会で改正され対象業種が広がった。これまでは精密機械や電子部品など66業種に適用が限られていたが、農林水産関連業種にも適用できるようになった。農林水産関連業種とは、具体的には食料品製造業や木材・木製品製造業などを指す。多くの地域では、農林水産関連業種が産業集積の中核を占めている現状を考慮して法改正されたものだ。

 既に法改正を見込んで、基本計画に農林水産関連業種を含めて国の同意を得た自治体もあり、今後はこの分野の企業の立地も期待できる。

 企業立地促進法に基づいて、経産省では人材育成支援も積極的に行っている。トヨタ自動車系のセントラル自動車が、2010年に神奈川県にある本社と工場を宮城県の大衡村に移転する予定で、それに向けて同県では、即戦力の人材を供給できるように地域の社会人や学生などを対象に3DCADの専門技術や知識の取得を目指した研修を行っている。それにかかる費用を経産省が全額支援している。また大手2社のFPD(フラットパネル・ディスプレー)製造工場のある鳥取県は、FPD関連のさらなる産業集積を目指し、人材育成を推進しており、経産省はそのプロジェクトも支援している。

 山本氏は、「経産省は企業立地を推進しやすい環境をつくることに力を注ぐが、実際に企業立地に結びつけられるかどうかは各自治体の手腕にかかっている」と言う。その上で、企業誘致で実績のある自治体に見られる共通点として(1)首長にリーダーシップがある(2)ワンストップサービスによる手続きの簡素化が実現されている(3)立地企業に対して立地後のフォローができている、の3点を挙げた。

 企業としては、こうしたポイントを踏まえながら、立地先の選定を行うことが肝要と言えそうだ。


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