• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

中山 祐次郎(なかやま・ゆうじろう)

外科医

中山 祐次郎

1980年生まれ。聖光学院高等学校を卒業後、2浪を経て、鹿児島大学医学部医学科を卒業。その後、都立駒込病院外科初期・後期研修医を修了。現在は福島県広野町の高野病院の院長として勤務。資格は消化器外科専門医、外科専門医、がん治療認定医、感染管理医師など。モットーは「いつ死んでも後悔するように生きる」。Yahoo!ニュース個人連載では2015年12月、2016年8月に月間Most Valuable Article賞を受賞。

◇主な著書
幸せな死のために一刻も早くあなたにお伝えしたいこと~若き外科医が見つめた『いのち』の現場三百六十五日~』(幻冬舎) 2016

◇関連リンク
Facebook
Twitter
Yahoo!ニュース

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

最近のトピックス

 皆様、はじめまして。私は外科医の中山祐次郎と申します。今回から日経ビジネスオンラインで連載を始めさせていただきます。執筆陣の中で医師は私だけだそうですので、私にしかできないような医師の本音を書いていきたいと思っています。これまではYahoo!ニュースをメインに記事をほぼ毎週書いていましたが、こちらでも書かせていただく機会を頂戴いたしました。若造ではございますが、よろしくお願いいたします。
 さて、2016年2月から私、10年間住んだ東京を離れ福島県に移住します。勤める病院は福島第一原発から20kmの病院。昨年末、この病院をたった一人で診療していた「超人」と呼ばれた院長が火事でお亡くなりに。「超人」院長は、もともと精神科のドクターでしたが内科でもなんでも診ていたそうで、ご自身で専門は「人間科」とおっしゃっていました。
 80歳を超えてなお白衣をまとい、100人以上の入院患者さんを診て、外来診療もやり、救急車も受け入れていたそうです。いやはや、これは本当に「超人」です。
 年末の火事のニュースを見た私は、ただ「大変だなあ」と思っていました。「支援する会」が立ち上がり、何か支援したいなとぼんやりとホームページを見ていたら、「あれ、私が行けばいいのでは?」と思い立ち、その日に支援する会の代表に連絡。翌日には職場の上司に許可を得て、その次の日に病院を訪問し、赴任を決めました。
 初めての福島県。初めての院長。明るくいきたいと思います。

一介の外科医、日々是絶筆

化学兵器テロ、日本でも金正男氏は救えなかった

2017年4月18日(火)

 前回までは、私が赴任していた福島原発近くの病院や周辺地域のリアルな状況について書きました。2017年4月からは福島県内の別のエリア「中通り」にある郡山市に引っ越し、市内の総合南東北病院に勤めています。郡山にはまだ来たばかりで、日々手術室に入り浸っていることもあり、この街についてあまり知ることができていません。もう少し知ることができたら、機会をみて書きたいと思います。

新しい勤務先の総合南東北病院

 さて、今回は一風変わって、金正男氏の殺害に使われたとされるVXガスのテロ事件が、もし日本で起きたらどうなっていたかについて、医師の立場から書きたいと思います。事件から約2カ月が経過した今、集めた情報を基に検証します。外科医である私の立場や、救急専門医に聞いた内容も含めて考えました。

 このほど、北朝鮮が大量に化学兵器「サリン」を保有し、それをミサイルで打ち込む能力を持っているという報道もありました。サリンはオウム真理教がテロで用い、多数の死傷者を出したことで有名ですが、物質としてはVXガスと非常に類似しています。そのため本稿で論じる内容は、サリン・ミサイルが日本に打ち込まれたことを想定するのにも多少、役立つかもしれません。

 なお本稿では、「本当にVXガスが使われたのか」という点や、政治的な検討はしていません。

金正男氏殺害が殺害されるまでの流れ

 まず、ニュースなどでご覧になった方も多いと思いますが、複数の報道などを基に殺害までの大まかな流れをまとめます。

 2月13日、金正男氏とされる男性がマレーシアのクアラルンプール国際空港で女性2人に襲われました。顔面に何かを塗られたような状況で、痛みを訴えていたそうです。その後、空港近くの病院に運ばれる途中で死亡しました(記事)。

金正男氏が運ばれた空港近くの病院(写真=AP/アフロ)

 それから2週間後、マレーシア保健相は金正男氏の死因について、「神経性の猛毒『VX』が大量に使われ、正男氏に塗られてから15分から20分程度の短時間で死亡した」と発表しました(報道)。

 ここからは、私の憶測が含まれます。

 空港で具合が悪くなった金正男氏は、周りの人に助けを求め、空港内の診療所に運ばれました。そしてそこで対応した医師は、みるみる具合が悪くなっていく患者を目の当たりにし、ただごとでは無いと感じて救急車を要請したのでしょう。

 救急車に乗せられた患者は、搬送されている途中に呼吸が停止。その数分後には心臓の動きも止まり、死亡に至ったと考えられます。救急車内で蘇生行為が行われたか、あるいは蘇生行為は行われないまま到着前に死亡した――。

 こんなストーリーが考えられます。マレーシアの医療レベルについては、私は現地に行ったことがないのではっきりしませんが、国際学会などでマレーシア大学(University of Malaysia)の病院の医師による発表を聴いたことがあります。アジアの新興国の中には日本と同等以上の知識や技術を持つ医師がいて、ハイレベルな医療を提供しているという事実は医師の間では知られています。

続きを読む

著者記事一覧

もっと見る

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧