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平田 育夫(ひらた・いくお)

経済ジャーナリスト

平田 育夫

早稲田大学政経学部経済学科卒、1974年、日本経済新聞社に入り、ワシントン支局、「日経ビジネス」編集長、経済部長、論説委員長などを経て現在、日経新聞客員コラムニスト。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

けいざい内視鏡

“泥船”シムズ理論に乗る安倍政権

2017年3月7日(火)

 2%インフレを目指した日本銀行の異次元緩和の効き目が薄れたことで、安倍政権は今、財政をふかしてインフレを起こす「財政インフレ」に傾斜し始めている。

 財政の状況が悪いときにそんなことをしたら、さらに財政再建が遠のくと思うのが常識。しかし米国の経済学者の間には「上手なやり方で財政を活用すればデフレ脱却にも財政再建にも役立つ」とする理論があり、安倍政権はこれに乗ろうとしているのだ。

 この理論を実行に移した国はまだない。いわば危険に満ちた「賭け」に政権が打って出る裏には、戦慄すべき計算が働いているようだ。

 くだんの理論はノーベル賞経済学者のクリストファー・シムズ米プリンストン大学教授らが、1990年代の半ばから唱えている「物価水準の財政理論」。金利がゼロ近辺となりデフレ脱却へ金融政策の効果がなくなったとき、物価水準を決めるのは財政政策だ、という考え方から、歳出の拡大や減税などを実施すべきだと主張する。

「インフレになれば自然に財政再建」

 一見、ケインズ政策に似ているが、この理論の特徴は将来の増税や歳出削減を封印して、人々にインフレの到来を確信させ、消費や設備投資を促すところだ。それによって実際にインフレになれば、税収が増えて、国の借金(国債発行残高)が目減りするので、財政を立て直しやすくなる、と説く。

 有権者に不人気な緊縮財政ではなく、インフレによって自然に財政を健全にするという、政治家にとってはまことに都合のよい理論である。

 シムズ教授は昨年夏に米国内の講演で自説を改めて披露。安倍首相への経済政策の指南役である浜田宏一内閣官房参与(米エール大学名誉教授)はそれを聞いて「目からウロコが落ちた」と持ち上げた。今年2月にはシムズ教授が来日して講演。また政権内では世耕弘成経産相が経済財政諮問会議でシムズ理論を引き合いに出し、政府による技術革新促進のための投資拡大を訴えた。

 こうした動きからエコノミストの間では「シムズ理論が安倍政権の今後の財政運営のバックボーンになる」という見方が広がっている。 

 特に今の安倍政権にはシムズ理論に頼らざるを得ない事情がある。

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