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小川 育男(おがわ・いくお)

スカイライト コンサルティング リードエキスパート

小川 育男

大阪大学基礎工学部生物工学科・文学部哲学科卒業後、SIerにてシステムの企画・構築およびインターネット新規技術・サービスの研究開発に携わる。現在所属しているスカイライトコンサルティングでは、新規事業企画・立上のコンサルティングに従事。その他、ビジネスプランコンテスト「起業チャレンジ」の企画、運営およびその受賞者を中心とした起業支援や国内外のビジネス・技術動向のリサーチなどを行っている。訳書に「起業家はどこで選択を誤るのか」(英治出版)がある。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

世界を狙うロシアの技術革新拠点・スコルコボ

大企業と連携してロシアの新産業の創出を狙う

2016年3月23日(水)

救世主ハリストス大聖堂の向かいに立つデジタルオクトーバーでは、スタートアップ向けも含めさまざまなイベントが行われている

 ロシアが国をあげて推進するイノベーションセンター、スコルコボ。前回は、スコルコボの狙いを見定めるために、シリコンバレーから2つの観点を取り出した。1つは、スタートアップに必要なリソースが循環する仕組みという観点。もう1つは、その循環からつくられるスタートアップのインキュベーション環境の観点だ。

 前者に関しては前回考察を行ったので、今回は後者について考察していきたい。その上で、それらの分析から浮かび上がったロシアの持つ課題に対して、スコルコボがどのように解決しようとしているのかを考えてみよう。

スタートアップのインキュベーション環境

 前回説明した「ヒト・知識・カネ」というリソースの循環により、スタートアップや投資家の数は増えていく。シリコンバレーでは毎年1万社ものスタートアップが活動を開始するとも言われるが、活動を止める数も多い。この数の多さということが引き起こすことに注目してみよう。

 インキュベーションはもともと「孵化」を意味する。卵が孵って育っていく環境が整っていないと、生まれる前にあるいは生まれた後に死んでしまう。同様に、スタートアップが生まれ、成長していく際にもその環境は大切だ。成長にはいくつもの壁を乗り越えなければならないが、環境によりその乗り越えやすさは大きく変わってくる。

 まず、生まれるためにはスタートアップを担う人たちが出会い、活動を開始しなくてはならないという壁がある。製品・サービスが作られ、その有効性を何らかの形で検証することが次の壁だ。そして、さらに急成長するために国内外を問わずサービスを展開していくスキームを作るという壁がある。実はスタートアップの数が多いとそれぞれの壁を突破しやすくなる。言い換えると、スタートアップにとって良好なインキュベーション環境が得られるのだ。その理由を見ていこう。

製品・サービスの有効性検証のハードルの低さ

 イノベーティブな製品・サービスであればあるほど、なるべく多くのユーザーに使ってもらい、感触を確かめながらサービスをブラッシュアップしていくのが効果的だとされている。そのためにも、初期の段階で「なるべく多くのユーザー」が必要となる。さらに言えば、その初期のユーザーは、新しいものへの興味関心が強く、欠陥への許容度が高い一方で、適確なフィードバックを返してくれる人が望ましい。

 スタートアップの多さはすなわち、そこで働いた経験を持った人たちが相当数その地域にいることを意味する。スタートアップで働くくらいなので、当然、新しいものへの興味関心は高い。自らも製品・サービスを提供しているから、欠陥への許容度も高い。同じ理由により、適確なフィードバックを返そうという性向があるとも考えられる。すなわち、法人や個人を問わず、新しい製品・サービスを試すには、絶好の人たちがそこに集まっているということになる。

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