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菅野 泰夫(すげの・やすお)

大和総研ロンドンリサーチセンター長 シニアエコノミスト

菅野 泰夫

1999年大和総研入社。年金運用コンサルティング部、企業財務戦略部、資本市場調査部(現金融調査部)を経て2013年からロンドンリサーチセンター長。研究・専門分野は欧州経済・金融市場、年金運用など。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

Money Globe ― from London

「次の金融危機に備えよ」、BISが鳴らす警鐘

2017年11月13日(月)

過熱気味のノルウェーの住宅価格。バブルを指摘する声も少なくない(写真:Bloomberg/Getty Images)

 ロンドンを離れノルウェーを訪問する機会があった。北欧ならではの幻想的な風景が広がり、日本人にも人気の観光地である。朝食のメニューには日本の旅館のように焼きサバや明太子などが並ぶのも嬉しい。

 ノルウェーといえば手厚い年金や医療などの高福祉の一方、北欧の中でも飛びぬけて高い物価と税金でも有名だ。マクドナルドのビッグマックセットは約1300円(90クローネ)。コンビニで水2本と、ホットドッグを買ったら約2000円(146クローネ)したのにはさすがにビックリした。

 一方で、幸福度ランキングでいつも上位につけるなど国民はその高福祉に十分満足している印象も受ける。払っている税金は年金などの将来の福祉として返ってくるので、貯金と変わらず特段気にならないとのことだ。ただし、教育や医療の多くが無償という旧社会主義に近い体制を今も引き継いでいるため、サービスの質は旧ソ連に似ている印象を受けた。とにかく何についてもサービスは遅く、行列は長い。列車の到着が1時間半遅れようと、レジが壊れて1時間並ぼうとも気にしない。幸福度もさることながらのんびりした国民性でもあるようだ。

 もっとも、この幸せの国のノルウェーが、過去に日本以上に深刻なバブル崩壊に直面したことはあまり知られていない。ノルウェーでの過去の教訓は、次に起こりうる金融危機のケーススタディーとして学ぶべきことが多い。

BISが示す不気味な兆候

 「次の金融危機に備えよ」――。各国の中央銀行相互の決済を担う組織であるBIS(国際決済銀行)は、2017年6月に発表した年次報告書の中で、再び起こるかもしれない金融危機を回避するように中央銀行の金融政策当局者や政治家に注意を呼び掛けている。主要国の多くで起こっている軽率な銀行融資や、それに伴う一連の資産価格バブルへの警鐘を鳴らしているのだ。

 BISは報告書で、グローバル金融危機の打撃が少なかった国や新興国の一部で、リーマン・ショック前に英米で見られた緊張に似た兆しが見られることを指摘している。特に2008年の金融危機の打撃を回避した国が、安易なクレジットの拡大を基盤に急速な成長を得たことで、リスクに曝されていると警告している。

 その具体的にはリスク要因は大きく4つ。いずれも、リーマン・ショック以来の金融危機の再発につながる恐れがあることを指摘している。

(1)2008年のグローバル金融危機の直撃を逃れた国(カナダ、北欧、中国、タイ等)における民間債務や住宅価格の高さ
(2)一部の国で、金利上昇時に(債務返済負担が増し)高い水準にある家計債務が需要を抑制する可能性
(3)長く沈滞している生産性の伸びと高い水準の企業債務が、投資抑制につながる可能性
(4)保護主義の高まりが、特に新興国経済の見通しを悪化させる

図表1 非金融セクターの与信の変化率(左)、実質不動産価格の変化率(右) (対GDP比)
(注)主要先進経済国=米国、日本、英国、ユーロ圏。その他先進経済国=オーストラリア、カナダ、スイス、デンマーク、ノルウェー、ニュージーランド、スウェーデン。
(出所)BIS年次報告書より大和総研作成

 中でもBISが最も警戒しているのは、家計債務の増大だ。BISは、長年にわたり世界の主要中銀が導入してきた非伝統的金融政策が招いた世界的な債務水準の大幅な上昇が、既に深刻な状態にあることを強調している。

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