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牧野 直哉(まきの・なおや)

未来調達研究所取締役/調達・購買セミナー講師

1992年、明治大学政治経済学部卒業。重工業メーカーで、発電プラントの輸出営業を経験後、資材部へ異動し、購買業務に従事。現在は、外資系機械メーカーで、アジア太平洋地域のサプライチェーン管理を担当。2012年、未来調達研究所株式会社取締役就任。現役バイヤーの立場から情報発信をおこない、企業の調達・購買部門における取引先管理・サプライヤーマネジメントの専門家。調達・購買の現場に根ざした理論構築を行っている。神戸大学ではトップマネジメント講座の調達購買分野、日本の取引構造の変遷に関する講義を担当している。

◇主な著書
図解入門ビジネス 最新 調達・購買の基本とコスト削減がよーくわかる本』(秀和システム) 2013
大震災のとき!企業の調達・購買部門はこう動いた―これからのほんとうのリスクヘッジ』(日刊工業新聞社) 2011

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

目覚めよサプライチェーン

人身取引はアダルト業界以外でも起こっている

2018年2月14日(水)

 2017年に摘発された人身取引事件は、全体の被害者数が42人であり、うち日本人は28人だったことが警察庁のまとめで分かった。被害者数は2005年の117人以降減少を続け、2013年には17人まで減少した。昨年は前年よりは減少しているものの、ここ数年の被害者数は40人台のまま推移している。

 人身取引事件の傾向として特筆すべき点は、被害者に含まれる日本人の数である。2007年以降の統計を見ると、2013年以降はずっと増加をしており、昨年の28人は過去最多となっている。従来はタイやフィリピン、コロンビアといった国々からの出稼ぎ労働者が多かった。しかし、一昨年と昨年は日本人が最多となっている。

 日本人被害者の増加とともに、アダルトビデオへ出演を強要された「強制労働」の事実が伝えられる。昨年は被害者が18歳の高校生だった事件があった。モデル募集を装った悪質な手口を伝えるのは、被害防止を喚起するマスコミの役割として理解できる。しかし本当にAVや風俗だけで強制労働が起こるのだろうか。別の視点で見れば、アダルトビデオの出演強要と同じく日本国内で人身取引の末に強制的に働かされている人々の存在が危惧される。

アメリカが伝える外国人技能実習制度の実態

 2017年にアメリカの国務省が発表した人身取引報告書によると、日本における人身取引の問題は、アダルトビデオ以外にも存在することが分かる。在日米国大使館が報告書の日本に関する部分を仮翻訳しているのでぜひお読みいただきたい。まず指摘されているのが、外国人技能実習制度である。これは日本企業が発展途上国の若者を技能実習生として受け入れ、実務を通じて実践的な技術や技能知識を学び、帰国後に母国の経済発展へ活用を目的とした制度だ。

 厚生労働省のホームページにある施策概要には「先進国としての役割を果たしつつ国際社会との調和ある発展を図っていく」と、この制度の目的が掲げられている。そして昨年1月には、この制度の適正な実施と技能実習生の保護を目的とした「外国人技能実習機構」を設立し、技能実習生に対する相談や支援する体制を整えている。このような体制こそ、今の外国人技能実習制度に問題があることを認めている証である。

 外国人技能実習制度は、本来の目的である基本的な専門的技能を育成できずに、事実上は臨時労働者を仲介する事業となっているのではないか。自分の将来を切り開くために、外国人技能実習制度を利用して来日した人々は、一体どんな場所で働いているのだろうか。

 厚生労働省のホームページに「技能実習のデータ」が掲載されており、実習先の業種が分かる。2014年には全体で74の職種で外国人実習生を受け入れている。受け入れ人数の多い職種は機械金属関係がトップ、続いて建設関係、食品製造関係が上位を占めていた。来日する実習生の出身国は、トップがベトナムで、中国、フィリピンと続く。その参加国で全体の80%以上を占める。制度によって日本で働く技能実習生は23万人にのぼる(2016年)。

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名言~日経ビジネス語録

技能実習制度と日本の人手不足を解消することは切り離して考える時期に来ている。

斉藤 善久 神戸大学大学院 国際協力研究科准教授