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鈴木 貴元(すずき・たかもと)

丸紅(中国)有限公司・経済調査チーム総監

鈴木 貴元

1992年早稲田大学政治経済学部卒業、2002年早稲田大学大学院社会科学研究科修了。
銀行系シンクタンク、日本経済研究センター出向、東南アジア研究所(ISEAS、シンガポール)出向、戦略国際問題研究所(CSIS、ワシントンDC)出向等を経て、2016年7月より現職

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

ニュースを斬る

中国ではトランプ演説よりも全人代に関心が集中

2017年3月2日(木)

2月28日、トランプ大統領の初めての議会演説がなされた。世界が注目した演説だったが、中国では演説そのものはあまり注目されなかった。中国では3月3日から全国政治協商会議、5日から全国人民代表大会が始まるため、そちらに関心が集中したからだ。 特設サイト「トランプウオッチ」のTRUMP WATCHER、丸紅(中国)有限公司・経済調査チーム総監の鈴木貴元氏が解説する。

 2月28日、トランプ大統領の初めての議会演説がなされた。世界が注目した演説だったが、中国では演説そのものはあまり注目されなかった。中国では3月3日から全国政治協商会議、5日から全国人民代表大会が始まるため、そちらに関心が集中したからだ。また、演説の中で中国に関して触れられたのは貿易に関する一言で、これは従来から言われていた内容であり、更に摩擦を生むようなものではなかった。

 中国が米国に対して、静観的な態度をみせているのは、今回の演説に限らない。これには2つの理由がある。第1の理由は、米国の対中政策が定まらない、トランプ政権のあり方そのものが定まらない中、中国としては静観するのが最善の策であること。中国から見たトランプ氏は、当選当初は、「ビジネスマンである新大統領は、経済以外の関心が薄く、ディールをうまくやれば大丈夫な人物」だった。

 その後、トランプ氏が、台湾について「一つの中国」を見直すかもしれないという、中国の核心的利益と中米関係の前提に影響を与えかねない発言をしたため、危険な人物とみられるようになった。しかし、大統領就任後後の2月10日、米中首脳電話会議が実現する頃には、トランプ氏は現実路線に回帰しつつあるとみられるようになった。中国はもとより米中関係を大きく崩さない対話路線を基調としていたため、トランプ大統領が議会演説で中国を強くけん制することはないと、もとより判断していたと思われる。

 第2の理由は、静観的な態度、別の言い方をすれば落ち着いた態度、協調的態度を取ることが、対米外交のみならず周辺外交にプラスに働くと判断されたためだろう。国際的経済問題では、米国がTPPを離脱したことで、中国が既存の国際貿易体制を擁護する態度(典型的なのが「一帯一路」)を見せることが、周辺国との外交関係強化に働きやすくなったことだ。

 ただし、防衛ミサイル(THAAD)の韓国配備、軍事費拡大・艦船増強といった安全保障の基礎を脅かしかねない動きについては、中国は非難・警戒を強める。トランプ大統領の議会演説の翌日の中国のテレビニュースでは、議会演説にはほとんど触れなかったが、全人代に続いて防衛ミサイルの問題が大きく取り上げられた。防衛ミサイルの韓国配備は5月から7月頃とみられているが、この時期は、7月のドイツG20をはじめ、米中外交が活発に繰り広げられる時期。防衛ミサイルの問題が対話を基調とすることを確認した米中関係を再度悪化させないか?ここが次の注目点と思われる。

 日経ビジネスはトランプ政権の動きを日々追いながら、関連記事を特集サイト「トランプ ウオッチ(Trump Watch)」に集約していきます。トランプ大統領の注目発言や政策などに、各分野の専門家がタイムリーにコメントするほか、日経ビジネスの関連記事を紹介します。米国、日本、そして世界の歴史的転換点を、あらゆる角度から記録していきます。

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