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山本 直人(やまもと・なおと)

コンサルタント・青山学院大学講師

山本 直人

コンサルタント・青山学院大学経営学部マーケティング学科講師。慶応義塾大学卒業後、博報堂でクリエイティブ、研究開発、ブランドコンサルティング、人材開発を経て2004年に独立。キャリア開発とマーケティングの両面から企業を対象にした活動を行う。主著に「グッドキャリア」「話せぬ若手と聞けない上司」「マーケティング企画技術」など多数。
個人サイトはhttp://www.naotoyamamoto.jp
ブログはhttp://www.naotoyamamoto.jp/blog/

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

ここでひと息 ミドル世代の「キャリアのY字路」

広告会社の逆襲にあった”外人キラー”

2017年5月12日(金)

外資系企業に狙いを定めた就活

 バブル経済が崩壊して日本経済の先行きが怪しくなったころ、その影響は就職戦線にも及んできた。名だたる大学の就活生ですら内定獲得に四苦八苦していたけれど、Jさんは慌てなかった。

 彼には「戦略」があったのだ。

 新卒採用を大幅に見直し始めた日本企業に対して、海外の企業、いわゆる「外資系」は着々と採用を拡大していた。Jさんは、そこに焦点を絞ったのである。

 その頃は、外資系に眼を向ける学生は少なかった。雇用が不安定でいつクビになるかわからないとか、年金などの社会保障も怪しいという「噂」が飛び交っていて、決して人気が高いとは言えなかったのだ。

 しかし、調べてみると決してそんなことはない。ただし、その当時は新卒採用をおこなう企業は限られていたので、丹念に当たっていくしか方法はなかった。

 その結果、とある消費財のメーカーから内定を得た。世界的な企業で、日本でも有名なブランドを扱っているが、企業名は意外と知られていない。親に報告したら、もちろんブランドは知っていたが「そんな会社名だったのか」と驚かれたくらいだ。

 Jさんが、外資系を狙ったのには勝算があったからだ。

 学生時代に1年間の米国留学に行っていた。ただし、そのくらいの期間だと、英語力の伸びは人それぞれだ。それなりの自信を身につける者もいれば、結局は渡米前と変わらない者もいる。

 Jさんは前者だった。それは、いわゆる学力ではなく性格的によるところが大きかったのだろう。Jさんは、図々しいくらい積極的なところがあり、物おじせず、恥をかくことを恐れない。友人もたくさんできた。

 帰国してから受けた語学の試験でも、十分なスコアをとった。当時であれば、相当目立つ水準だ。

 こうして、Jさんのキャリアはスタートした。

マーケティングのスペシャリストへ

 Jさんは、営業部門に配属されたが、ひと通りの経験を積んだ後で、マーケティング部門に異動した。現場の販売力では日本企業にかなわない分、消費者リサーチや広告宣伝などに注力していたのだ。

 いわば、日本における「司令塔」となる部署だ。責任者であるマネージャーは本国から赴任しており、彼が意思決定をおこなう。優秀な人ではあったが、やはり日本市場については理解していないことも多かった。

 衣食住の生活習慣は違うし、製品に対するニーズも異なる。とりわけ、テレビCMなどを決める時にはいろいろと紆余曲折がある。広告代理店が日本のタレントを提案しても、マネージャーにはその価値がピンと来ない。そして本国と同じような企画を要求するが、それはそれで日本人には受けそうもない。

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