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池田 元博(いけだ・もとひろ)

日本経済新聞社編集委員

1982年、日本経済新聞社に入社。90~93年にモスクワ特派員、97~2002年にモスクワ支局長。その後、ソウル支局長(05~08年)も歴任。08年から論説委員会に在籍。編集委員も兼務。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

解析ロシア

プーチン大統領が披露した「北朝鮮の核の実態」

2017年10月13日(金)

 プーチン大統領が北朝鮮の核問題で、世界を驚かす発言をした。北朝鮮が2000年の段階で、すでに「核保有」を認めていたというのだ。もはや対話による解決策しか道はないと大統領は説くが、今になって昔話を明かした真意は何か。
2001年に北朝鮮の⾦正⽇総書記と会談するロシアのプーチン大統領(写真=AP/アフロ)

 10月初め、モスクワとサンクトペテルブルクで「ロシアのエネルギー週間」と称する国際フォーラムが開かれた。内外約400社のエネルギー企業幹部や専門家などが集まり、モスクワでの全体総会にはプーチン大統領も参加した。

 ロシアのクレムリン・ウォッチャーたちも、まさかこの総会で大統領が北朝鮮に関する重大発言をするとはだれも想像していなかったはずだ。

 総会の議題は「世界成長のためのエネルギー」。大統領の冒頭演説も当然ながら、エネルギーに関する話に終始した。続く質疑応答もロシアと石油輸出国機構(OPEC)の減産合意など、始めはエネルギー問題に焦点が当てられていた。

 ただ、途中から議論がエネルギー政策に密接に関わる中東問題に移り、ついには国際情勢の一環として、北朝鮮の核問題と米朝間で続く威嚇の応酬というホットな話題に至った。

 北朝鮮問題についてプーチン大統領はまず、互いに挑発を控え、米朝、北朝鮮と地域の関係国が直接対話を通じて、互いに受け入れ可能な解決策を見いだしていくしか方法がないと主張。他の方策はすべて袋小路に陥り、危険ですらあるとし、北朝鮮への経済制裁の強化にも反対する立場を示した。

 北朝鮮情勢が緊迫して以降、大統領がこれまで何度も繰り返してきた主張だった。ただし、この日は加えて突然、以下のような昔話を明かしたのだ。

 「たぶん2001年だったと思うが、日本訪問の途中に北朝鮮に立ち寄り、今の指導者の父親(金正日総書記=当時)に会った。彼はその時、原子爆弾をすでに保有していると私に語った。彼はさらに、かなり単純な大砲でソウルを簡単に射程に入れることができると言っていた」

 北朝鮮は当時から常に制裁を受けていたにもかかわらず、核開発をやめなかった。それどころか、現在では水素爆弾も持ち、5000kmも飛ぶ核弾頭搭載用のミサイルまで持つようになった。果たして制裁強化が核問題の解決を促す方策と言えるのか――。

 要は制裁強化や軍事的な威嚇ではなく、対話による解決を目指すしかない。プーチン大統領はこうした自らの主張の正しさを裏付けるため、これまで伏せてきた昔話を明かしたともいえる。

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