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池田 元博(いけだ・もとひろ)

日本経済新聞社編集委員

1982年、日本経済新聞社に入社。90~93年にモスクワ特派員、97~2002年にモスクワ支局長。その後、ソウル支局長(05~08年)も歴任。08年から論説委員会に在籍。編集委員も兼務。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

解析ロシア

“手土産”が踏み絵になりつつある北方領土交渉

2017年3月24日(金)

 日本とロシアの政府間で最近、重要な協議が相次いだ。北方領土での「共同経済活動」などを話し合う公式協議と、外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2)だ。一連の協議を通じて、北方領土交渉を進める道筋はみえたのだろうか。
3月20日、日ロ外務・防衛担当閣僚協議 都内で開催された(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

のっけから日本側に「冷や水」

 日ロの思惑の違いが、改めて浮き彫りになったといえるだろう。先に東京で相次ぎ開かれた日ロの外務次官級協議と、外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2)である。

 まず3月18日に開いた次官級協議。昨年12月の日ロ首脳会談の合意を受け、北方領土での共同経済活動について話し合う初の公式協議となった。

 安倍晋三首相とプーチン大統領による肝煎りの合意とあってか、両国政府ともそれぞれ関係省庁による事前協議を開いて具体案を検討するなど、かなり入念な準備を進めてきた。

 日ロ協議では、日本側がウニやホタテ、アワビの養殖、北方4島周辺のクルーズ船観光、遠隔医療サービスなどの事業を提案。ロシア側も島民の住宅の改修などを日ロの共同事業案として挙げた。

 昨年の首脳会談後に出したプレス向け声明は、北方4島での共同経済活動が「平和条約問題に関する日本及びロシアの立場を害するものではない」と規定。安倍首相はロシアの法律でもなく、日本の法律でもない「特別な制度」の下で実施すると強調していた。

 ただ、のっけから大枠の法制度の議論をしていては、いつまでたっても進展は期待できない。まずは北方領土で実施したい具体的な事業案を持ち寄り、個々のプロジェクトごとに実現可能性やそのために必要な法整備を議論していくべきだというのが、双方のほぼ共通の認識となっている。日本側が今回提案した事業案も、法制度の面で比較的クリアしやすい案件を中心に選定したといえるだろう。

 ところが協議では、ロシア側代表を務めるモルグロフ外務次官が「ロシアの法律に矛盾しないという条件の下でのみ、実現されなければならない」と強調。「特別な制度」に固執する日本側に冷や水を浴びせた。

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