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池田 元博(いけだ・もとひろ)

日本経済新聞社編集委員

1982年、日本経済新聞社に入社。90~93年にモスクワ特派員、97~2002年にモスクワ支局長。その後、ソウル支局長(05~08年)も歴任。08年から論説委員会に在籍。編集委員も兼務。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

解析ロシア

プーチン政権の“恥部”映す元側近の泥仕合

2017年12月8日(金)

ロシアのプーチン政権で対日経済協力の窓口も務めていたアレクセイ・ウリュカエフ経済発展相(当時)が収賄容疑で逮捕されてから1年。裁判所では依然、収賄の有無をめぐる泥仕合が続き、図らずも政権の恥部をさらけ出した。

収賄罪で起訴されたロシアの前経済発展相・ウリュカエフ被告(写真:ロイター/アフロ)

 「中身は超高級ワインだと思っていた」――。

 巨額の収賄罪で起訴されたウリュカエフ被告は今年11月末、モスクワの裁判所での陳述で、多額の現金を賄賂として受け取ったと主張する検察側の主張に真っ向から反論した。

 ウリュカエフ被告は経済発展相だった昨年11月14日、国営石油最大手「ロスネフチ」のオフィスを訪問し、イーゴリ・セチン社長から現金200万ドルが入ったカバンを受け取った。その現場にあらかじめ待機していた治安機関の連邦保安庁(FSB)職員らが押し入り、ウリュカエフ氏は拘束された。

 ウリュカエフ氏は政府による中堅石油会社「バシネフチ」の民営化(政府保有株の売却)で、本来は民営化の趣旨にそぐわない国営企業のロスネフチが経営権を取得できるよう便宜を図り、その見返りに多額の賄賂を要求してきた、というのがロスネフチ側の説明だった。

 一方、ウリュカエフ氏は民営化で便宜を図れるような権限は自らになく、賄賂を要求したことも一切ないと反論、根拠のないおとり捜査によってセチン社長にはめられたと主張した。プーチン大統領はウリュカエフ氏にすべての非があると断じ、拘束直後に経済発展相から解任していた。

 ウリュカエフ氏はプーチン政権の主要経済閣僚のひとりで、2013年から経済発展相の職にあったが、どちらかと言えば地味な存在だった。対するセチン社長はプーチン大統領のかつての「最側近」。大統領府副長官や副首相を務めたのち、活躍の場を産業界に移したものの、ドル箱の国営石油最大手を率いる辣腕経営者として今でも大統領と太いパイプを維持しているとされる。大統領がウリュカエフ氏を切り捨てたのは当然だったともいえる。

 それから1年。多額の収賄罪で起訴されたウリュカエフ被告はなお、その否定に躍起になっている。「超高級ワイン」をめぐる最近の発言もその一つ。しかも、陳述した内容は極めて具体的だ。

 いわく、時は同被告がおとり捜査で拘束される1カ月前の2016年10月15日。場所はBRICS首脳会議が開かれたインド南部のゴア。当時、経済発展相として出張に来ていたウリュカエフ氏は会合の合間に、ホテルのロビーでビリヤードに興じるセチン社長とアンドレイ・コスチン・ロシア対外貿易銀行頭取の姿を見つけた。

 あいさつをしないのも変だし、政府の民営化計画の期限が迫っていたロスネフチの19.5%の政府保有株売却の話もしようと、ウリュカエフ氏はセチン社長に近づいた。するとセチン氏は「バシネフチ」の買収がうまくいったことで上機嫌の様子で、「君には今までの人生で一度も飲んだこともない(最高級の)ワインをごちそうしよう。君はいい仕事をしたからね」と述べたという。ロスネフチの株式売却問題はモスクワで改めて話すことになった。

 モスクワに戻って以降、全く連絡のなかったセチン氏から初めて電話が入ったのが11月14日。自ら折り返した電話で同日夕に会うことになり、ロスネフチのオフィスに行くと、セチン氏から「たぶん15キログラムぐらいはあった」という重いカバンを渡された。セチン氏からはこれまでも度々、時計やお酒などの贈り物をもらっており、「一度も飲んだことのない例のワインだ」と思って中身を確かめることもなかった――。

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