• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

佐藤 綾子(さとう・あやこ)

ハリウッド大学院大学教授

佐藤 綾子

上智大学大学院文学研究科、ニューヨーク大学大学院パフォーマンス研究科修士課程修了、上智大学大学院博士後期課程修了。日本大学芸術学部教授を経て、現職。著書に『自分をどう表現するか』、『非言語表現の威力』(ともに講談社現代新書)、『できる大人の「見た目」と「話し方」』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)など。自己表現研究の第一人者として、首相経験者を含む53人の国会議員をはじめ、累計4万人のビジネスリーダーやエグゼクティブのスピーチコンサルタントとして、信頼を集めている。

◇主な著書
医師のためのパフォーマンス学入門』(日経BP) 2011

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

パフォーマンス心理学者、佐藤綾子の絶対聞かせるリーダーの話し方

トランプ大統領が16分で112回使った裏ワザ

2017年4月10日(月)

 2017年1月20日、ドナルド・トランプ大統領が行った就任演説には、聴衆を引きつけるアクションがいくつも盛り込まれていた。演説中、112回繰り返したある動作にはどんな効果があったのか。分析するのは、パフォーマンス心理学者の佐藤綾子氏。首相経験者を含む政財界のリーダーのスピーチコンサルタントを務めてきた。自己表現の専門家が語る、トランプ大統領に学ぶべき表現技法とは。

 2017年1月20日、3つのテレビ局から依頼を受けて、ドナルド・トランプ大統領の就任演説を分析した私は思わずうめきました。内容はさておき、聴衆を引きつけるのに効果的なアクションがいくつも盛り込まれていたからです。「これだけのテクニックを駆使されたら、見ているほうも聞き入ってしまうに違いない」と納得するほどです。

 成功するビジネスパーソンは、言葉の内容を強化する表現技術を備えています。

「表現されない実力は存在しないも同じ」と語る佐藤綾子氏

 私は38年間、パフォーマンス心理学者として、相手に伝わる自己表現の手段を研究してきました。首相経験者を含む53人の国会議員のほか、累計約4万人のビジネスリーダーやエグゼクティブのスピーチコンサルタントを務めてきました。

 どんなに素晴らしい実力を持っているビジネスパーソンだとしても、「表現されない実力は無いも同じ」です。特にトップリーダーには、自らのビジョンを分かりやすく語る「語りのスタイル」が欠かせません。

 この連載では、トランプ大統領や小池百合子都知事ら、今注目を集めるトップリーダーの語りのスタイルを分析し、一般のビジネスパーソンが明日から使えるノウハウを引き出したいと思います。

1~2秒の勝負に勝つ

 パフォーマンス心理学には、「グリンプスバイト」という専門用語があります。グリンプスは「一瞥(いちべつ)」、バイトは「噛みつく」こと。つまり一瞬で相手の心をわしづかみにする身振りや手振りのことを指します。

 人は2秒で相手の表情を読み取り、集中すればわずか1秒で約1万1000個の視覚情報を読み取ることができます。その間、瞬時に相手が敵なのか味方なのか、またどんな人柄なのかを判断してしまいます。相手の言葉を論理的に理解するのはその後。ですから、話し手は、相手の視覚に効果的に働きかけ、好印象を残すことが大切です。

 では、トランプ大統領は、どんなグリンプスバイトを使っているか。就任演説の登場シーンから振り返りましょう。

 最初に目に付く特徴は歩き方。注目すべきは手足の動きです。ステージに登壇するまで、大股で歩き、両腕も大きく振っています。

 歩幅の大きさは、自信やエネルギーの強さを印象付けます。大股で歩くほど、堂々として頼りがいがある人に見えます。脚を大きく前に出すトランプ大統領の歩き方は、元気なイメージと若さをアピールし、70歳という年齢を感じさせません。

 登壇後の腕の動きも非常に大切です。顔の表情筋の動きと異なり、動きそのものが大きいので、30m先からでもよく見えるからです。

 この就任演説に限らず、トランプ大統領の腕の動きは特徴的です。専用機から降りるときにはよく、片手を大きく上げ、満面の笑みを浮かべます。このときもステージに上がるやいなや右手を高く上げて「こんにちは皆さん」と挨拶しました。その手の動きに、つい聞き手は視線を吸い寄せられるのです。

続きを読む

著者記事一覧

もっと見る

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧