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加藤 崇(かとう・たかし)

加藤崇事務所代表

加藤 崇

1978年生まれ。早稲田大学理工学部卒業後、東京三菱銀行(現・三菱東京UFJ銀行)入行。法人融資業務などに従事したのち退職。KPMG日本法人を経て、オーストラリア国立大学で経営学修士号(MBA)を取得。技術系ベンチャー企業社長などを歴任し、2011年、加藤崇事務所を設立。ヒト型ロボットベンチャーSCHAFT共同創業者兼取締役CFO就任。2013年にSCHAFTをグーグルに売却し、世界から注目を集めた。スタンフォード大学客員研究員(兼任)。

◇主な著書
未来を切り拓くための5ステップ』(新潮社) 2014
無敵の仕事術』(文春新書) 2016

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

サムライ経営者、アメリカを行く!

僕たちが目指しているのは「平均」じゃない

2017年11月20日(月)

 10月に入ると、僕は人事コンサルタントのジョンさんと多くの時間を使うようになった。ジョンさんは年齢的にはだいぶ年配の域であり、既にリタイアしていてもおかしくないと思う人だが、かつてバイオテック系のベンチャーや大きな会社などで人事の責任者を歴任した、正真正銘のプロだ。オフィスには従業員も少しずつ増えてきたことから、これまで後回しにしてきた人事関係の業務を整理整頓するために、フラクタはジョンさんの力を借りることにしたのだ。

「米国基準」「市場平均」と向き合う

 カリフォルニア州、またより広くアメリカ全土では、多くの労働関係の規制があり、これを遵守するためには、そもそもの問題として、こうした規制を知らなければならない。また、性別や年齢を根拠とした差別の禁止、あらゆるハラスメントの禁止、こうしたことを、従業員の採用、教育、また退職といった全ての段階できちんと会社全体に行き渡らせておかなければならないため、従業員ハンドブックを作成して手渡したり、入社時教育を行ったりするという。

 こうして人事関連に関する項目を端から端まで整理整頓してもらう過程で、ジョンさんから指摘が入ったことがある。端的に言えば「市場と比較して、フラクタの給料が安く見える」というのだ。

 なんだそれは?と最初は思ったのだが、こうしたことに目を光らせることが、アメリカではどうやら非常に大切なことらしい。ここはアメリカ、色々と便利な統計があり、サンフランシスコ・ベイエリアにあるソフトウェア企業、その中でもベンチャーキャピタルから既に1、2回投資を受けているベンチャー企業の平均給料などといったものが、職務ポジションごとにデータベースとして蓄積・公表されており、こうした数値の平均値に満たない給料を払っていると、従業員がどこか他の会社に逃げてしまうというのだ。

 このあたりは、日本とアメリカの文化が最も大きく乖離して見えるところであり、こうした議論にしっかりと付いていき、最終的にある程度の納得感を得るまで、相当な時間がかかった。

 「◯◯(従業員の名前)は市場と比較して、ベース給与が低い。もっと上げたほうが良いだろうね、加藤さん」とジョンさん。僕はと言えば「そんなこと言ったって、つい数ヶ月前に◯◯と契約したんだから、彼/彼女がその給与を前提にオファーを受けたってことでしょう。仕事を選択するということには、他にも色んな要因があるはずなんだから、一律にそんな議論はできないと思いますよ。給料の市場平均なんて、あくまで平均なんですから」という感じだ。

人事コンサルタントのジョンさんと。彼が示す「米国基準」と向き合いながら、僕たちの会社のあるべき姿を日々考えています

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