• ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版
  • 日経BP

孫 泰蔵(そん・たいぞう)

Mistletoe社長兼CEO

孫 泰蔵

1972年、福岡県生まれ。東京大学経済学部に在学中の96年にインターネットサイトの制作・運営を手がけるインディゴを設立し、代表取締役に就任。ネット起業家の草分けとして活躍。98年にはオンセール(現ガンホー・オンライン・エンターテイメント)の設立に参画、代表取締役に就任。2009年にスタートアップ企業を育成するMOVIDA JAPANを設立、代表取締役に就任。起業家を育てるシリコンバレーのような「エコシステム」を日本に構築することを提唱する。ソフトバンク社長の孫正義氏は実兄。

◇主な著書
孫家の遺伝子』(角川書店) 2002

◇関連リンク
mistletoe.co

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

孫泰蔵の「ワイルド・サイドを歩け」

一人ひとりが「一隅を照らす」行動を心がけよう

2016年12月1日(木)

 スタートアップ企業への投資・育成を手がけるMistletoe(ミスルトウ)の孫泰蔵社長兼CEO(最高経営責任者)はご存じの通りソフトバンクグループの孫正義社長を兄に持つ。だが、兄が偉大な起業家であっても、「比較されてイヤ」「プレッシャーだ」と感じたことは一度もないという。

 「兄は兄、自分は自分」という考えの基になっているのは天台宗の開祖・最澄が残した「一隅を照らす」という言葉。誰も気づいていない一隅にスポットライトを当て、「何とかしよう」と変化を起こすことこそ尊い。一人ひとり、バックグラウンドや環境に応じた自分なりの一隅を照らすことが大事なのだと泰蔵氏は強調する。連載最終回の今回は泰蔵氏が心に留める言葉や愛読書を紹介する。

著者近影(撮影:菊池くらげ、以下同)

 私は四人兄弟の末っ子。ソフトバンクグループ社長の孫正義は次兄です。
 若い頃から繰り返し言われてきたことがあります。
 「お兄さんと比較されるから大変ですね」
 「偉大な兄がいるとプレッシャーではないですか?」

 正直言って、私にはピンとこない話です。「比較されてイヤだ」と思ったことも「兄貴の存在がプレッシャーだ」と思ったことも一度もないからです。

 そう言うと、みんな「泰蔵さんは普通じゃない」と驚きます。けれど、やせ我慢をしているわけではありません。兄貴は兄貴。私は私です。

 実は、こう考える基になっている思想があります。平安時代に天台宗を開いた最澄の「一隅を照らす者、これ、国の宝なり」という言葉です。

 一隅とはみんなが気づいていないほんの片隅、一角のことを指します。転じて、本当は直視しないといけないにもかかわらず、目をそむけているものという意味もあるようです。

 その一隅にスポットライトを当て、「何とかしよう」と変化を起こす人が国の宝であり、人間として最も尊敬されるべきだと最澄は言っているのです。

 皆さんもご存じの通り、最澄は唐に渡り、仏教という当時の最先端の哲学と、建築土木や陶芸などの技術を学び、日本に持ち帰った人物です。今なら火星への往復に匹敵するのではないかと思うほど命懸けの旅を経て先進国のイノベーションを持ち帰り、日本を発展させました。イノベーター中のイノベーターと言ってよいでしょう。そんな最澄が残した言葉は実に含蓄があると思います。アントレプレナーシップ、ノブレスオブリージュなどの西洋の概念に勝るとも劣らない言葉でしょう。

 「一隅を照らす者、これ、国の宝なり」という言葉の良い点は、「誰にも一隅は見つけられる」ことです。バックグラウンドや環境によって気づく、その人なりの一隅があります。

 最初の話に戻れば、兄・正義には正義の志があり、一隅があるし、私には私の志があり、一隅があるわけです。だから、兄が世間からどんなに評価されようとも、私は比較されてイヤだとか、プレッシャーに感じるということはないのです。

続きを読む

著者記事一覧

もっと見る

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

組織を正しい方向に導き、 作り変えていける人が、優れたリーダーです。

ジェニー・ダロック 米ピーター・F・ドラッカー伊藤雅俊経営大学院学長