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飯山 辰之介(いいやま・しんのすけ)

日経ビジネス記者

飯山 辰之介

2008年に日経BPに入社。日経ビジネス編集部に配属され製造業や流通業などを担当。2013年、日本経済新聞社に出向。証券部でネット、ノンバンク関連企業を担当。2015年4月に日経ビジネスに復帰し、電機・通信関連業界を中心に取材する。日経ビジネスオンラインのリニューアルにも携わる。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

記者の眼

電力業界を悩ます3つのジレンマ

2017年5月8日(月)

 「日経ビジネス」4月24日号特集のため東京電力ホールディングスについて取材した。事故から6年、巨額の事故処理費用を負う東電は今どのような状態にあるのか、どこに向かおうとしているのか、関係者に話を聞いて回った。

 取材を進めるなかで浮かび上がってきたのは、電力業界や所管する経済産業省が抱えるジレンマだ。解決できれば業界は大きく変わるかもしれない。一方で、これをすっきりと解きほぐすのも容易ではなさそうだ。

 ここでいうジレンマとは、電力自由化と東電再建、そして原発政策という、業界や国が取り組む3つの大きな課題が、互いに折り合いの悪い状態を指す。つまり、どれか一つを優先させると他の課題が置き去りになるか、悪い影響が出かねない状況になってしまうのだ。

 では自由化と東電再建と原発問題、それぞれがどう相互に折り合いが悪いのか見ていこう。

東電問題と自由化のジレンマ

 分かりやすいのが、電力自由化と東電再建という二律背反の課題だ。

 福島原発の事故処理費用の見積もりは、たった3年で11兆円から22兆円に膨らんだ。経産省は昨年、有識者会議「東京電力改革・1F問題委員会(東電委員会)」を開き、12月には「東電改革提言」を出した。そこで改めて固められた方針は「東電の収益力を高め、その稼ぎを福島原発の事故処理に充てる」こと。年間で少なくとも5000億円の利益を継続的に稼いで、膨らむ事故処理費用に対応していくというものだ。

経産省が開く東電委員会(写真:時事)

 ただ経産省は同時期、「電力システム改革貫徹のための政策小委員会(貫徹小委)」という長い名称の委員会を開いて、自由化についての議論も並行して進めていた。ここでは「電力やガス、あるいは供給区域といった市場の垣根を越えた競争が可能となるエネルギー市場を形成すべく」(貫徹小委資料)、新電力の競争力を高める施策を盛り込んだ提言を出している。

 東電を稼がせる枠組みが重要だと主張する東電委員会と、自由化を進め新しいプレーヤーが台頭するチャンスを作ることを重視する貫徹小委。同じ経産省の委員会ながら、進む方向は真っ向から異なっている。

 東電が強くなりすぎれば自由化は停滞せざるを得ない。一方で、自由化が進み競争が激化した場合、東電は大きな稼ぎを確保するのが難しくなる。経産省の関係者は「東電には強くなってもらわないといけないが、かといって競争を阻害するような存在になってもいけない。そこは注意深く見ていく」と話す。ただ官庁が競争を細かに主導、調整する市場が果たして自由市場と言えるか、疑問も残る。

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