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飯山 辰之介(いいやま・しんのすけ)

日経ビジネス記者

飯山 辰之介

2008年に日経BPに入社。日経ビジネス編集部に配属され製造業や流通業などを担当。2013年、日本経済新聞社に出向。証券部でネット、ノンバンク関連企業を担当。2015年4月に日経ビジネスに復帰し、電機・通信関連業界を中心に取材する。日経ビジネスオンラインのリニューアルにも携わる。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

記者の眼

「甘い日本茶」はニセモノか

2017年12月1日(金)

 タイで日本茶が人気だ。首都バンコク市内のコンビニエンスストアはどこも日本茶のペットボトル飲料が冷蔵ケースを埋めており、いつでもどこでも日本茶が買える。

 もっとも、タイで人気のお茶は日本のものとは似ても似つかない。最大の違いは、とにかく甘いこと。一般的なお茶のペットボトル飲料の成分表を見ると、糖分が6%前後も含まれていることが分かる。

 旅行や仕事でタイを訪れた日本人が喉を潤そうと冷たいお茶を買い、勢い良く飲んだところその強烈な甘さに驚き困惑する。タイのいわゆる「あるある話」としてよく耳にするエピソードだ。

 この甘いお茶を広め、市場を拓いた人物として知られるのがタン・パーサコンナティー氏(58歳)だ。

タイの大手飲料メーカー、イチタンのタン・パーサコンナティーCEO。水兵帽がトレードマーク。タイ国民に広く知られる。

 1999年に日本食レストランの運営や日本食の製造販売を手がける「OISHI(オイシー)」を創業。緑茶に馴染みのないタイで甘い日本茶を製造販売し、人気を博す。

 2010年にオイシー株を売却し、飲料メーカーの「ICHITAN(イチタン)」を創業。ここでも甘い日本茶の製造販売を手がけ、トップシェアを握る企業に成長させた。

イチタンがタイで販売するお茶のペットボトル飲料。写真の商品は全て甘い

 消費者を静岡県や北海道のツアーに招いたり、商品パッケージに日本語を掲載したりするなど、日本ブランドを強く意識した商品展開で成功を収めた。本人自身は日本で生まれ育ったわけでも、留学経験があるわけでもないが、幼少から日本のアニメやマンガに親しみ、日本には憧れを抱いてきたという。水兵帽をトレードマークに積極的にメディアに露出し、今や日本茶だけでなく、日本の顔としてもタイの人々に広く知られている。

 糖分がたっぷりと含まれた甘いお茶を、日本茶としてブランディングして売るのは、日本の感覚からすれば「ニセモノ」かもしれない。だがタン最高経営責任者(CEO)が起業したオイシーとイチタンの両社を通じてタイの人々は日本茶の味を知り、これを中心にタイの日本茶市場は成立した。

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