庄司 容子

庄司 容子

日経ビジネス記者

ニュースを斬る ダイキン、AIでエアコン修理を「一発完了」

修理効率化と部品在庫削減の一石二鳥を狙う

  • 2018年04月20日(金)

エアコンの出番である夏が近づいてきた。使用頻度が高まるのと比例して、修理依頼も増えていく。空調事業で世界シェア首位(金額ベース)のダイキン工業は、1回の訪問で修理が完了するように部品をAI(人工知能)が選定する試みを始めている。

エアコンの稼働率が高まる夏場は修理依頼が殺到する

「一発完了率」を上昇

 「エアコン修理における『一発完了率』を上げたい」。ダイキン工業の福井康浩フィールドサービス担当部長は、AI活用の狙いをこう話す。同社は、エンジニアが1度訪問しただけで修理を完了できた比率を「一発完了率」としている。比率を高めるポイントは、必要な部品を適切に選び、現場に持参できるかどうか。多くの現場を経験したエンジニアの知恵がカギを握るが、ダイキンはこの「部品選定」プロセスで、今夏からAIの活用を本格化させる。

 ダイキンは全国約50カ所に保守サービス拠点を設け、エンジニアを配置している。エアコン使用率が高まる6~8月には、1日平均で1000件以上の修理依頼が殺到するという。サービス拠点で修理の相談を受けると、聞き取った故障の内容を過去の事例と突き合わせたり、全国で共有している部品の出荷実績情報などを活用したりして、必要となりそうな部品を選定。前日までに部品を手配し、修理に向かうという段取りだ。

 昨夏、ダイキンはベンチャーのABEJA(アベジャ、東京都港区)と提携して独自のAIを開発。エンジニアが携行した部品の情報を含む、過去3年40万件の「一発完了事例」を教師データとしてAIに学習させ、実際に運用した。

 結果は良好。AIが提案した部品を携行した場合の「一発完了率は人間並みで、はじめてのトライにしては悪くなかった」と福井部長は振り返る。今夏に向けて教師データを改良。優秀なエンジニアが手掛けた修理事例に限定したうえで、過去10年分のデータをAIに読み込ませることにした。加えて、AIが選定した部品が現場で実際に役立ったかどうかも学習させ、AIをさらに賢く進化させる。

    著者プロフィール

    庄司 容子

    庄司 容子(しょうじ・ようこ)

    日経ビジネス記者

    日本経済新聞社に入社し、社会部、横浜支局を経て企業報道部へ。化学、医療、精密業界、環境などを担当。2017年4月から日経ビジネス記者。

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