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宇野 隆史(うの・たかし)

楽コーポレーション社長

宇野 隆史

1944年、東京生まれ。早稲田大学を中退し、飲食業の道に入る。78年、楽コーポレーションを設立し、東京・経堂に大皿総菜料理店の草分けとなる居酒屋「くいものや汁べゑ」や「極楽屋」を開く。81年には東京・下北沢に「くいものや楽」を出店。88年には個人経営だった楽コーポレーションを株式会社に改組し、社長に就任。現在は、首都圏に約20店を展開する。

◇主な著書
トマトが切れれば、メシ屋はできる 栓が抜ければ、飲み屋ができる』(日経BP) 2011
笑う店には客来たる 楽しむ人には福が舞う』(日経BP) 2013

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

楽コーポレーション 宇野隆史社長の「若者よ、一国一城の主になれ!」

オレたちは名無しの「店員」じゃない

2017年12月6日(水)

 居酒屋運営、楽コーポレーション(東京・世田谷)の宇野隆史社長は、ただの「店員」にならず、個性ある一人の人間として接することがお客を楽しませるコツだと話す。宇野社長は飲み会などの若者たちと話し合う時間をつくり、どう考えれば商売が楽しくなるか、どうしたらお客さんを楽しませられるかを徹底的に伝えている。

 神戸製鋼所だとか東レの子会社だとか日本の製造大手で、品質データ改ざんの事件が相次いでいる。そういうニュースを見ていると、最近の現場ではトップの「仕事を愛する後ろ姿」が見えなくなっているんだろうなと思う。

 例えば昔のホンダではさ。創業者の本田宗一郎さんは、引退した後も現場に来て、口は出さなかったけどオートバイやクルマを触っていたと聞きかじったことがある。その後ろ姿を見るだけで、すごく彼のクルマへの愛情が伝わって、現場の意欲を高揚させたんじゃないかと思うんだよね。そういったトップの姿が見える会社からは、データ改ざんなんてことは起きないと思うんだ。

 大企業と比べられるわけじゃないけど、居酒屋も同じでさ。オレなんかが、どんなにこの仕事を愛して、楽しんでいるかってことを現場に伝えられることが大切なんだよね。70歳も過ぎて現場には立たなくなったけど、店の子たちとはできるだけ話をする。店に行ったり、一緒に飲みに行ったり、家で飲み会を開いたりね。そこで、この商売の面白さや、どんな風に考えれば商売が楽しくなるか、どうやったらお客さんを楽しませられるか、なんて話をとことんするんだ。

店がはやるかより、お客をどう楽しませるか

 この間ね。東京の浜松町に物件の話があったので見に行ったの。新築のビルなのに家賃も破格でね。ここに出店しませんか、という。それで、夜の7時ぐらいだったかな、周辺を歩いてみた。そうしたら、イタリア料理の店などは時間が早過ぎるのかあまり入ってなかったんだけど、居酒屋はどこも6、7割は埋まっていてさ。サラリーマンが多い町だから居酒屋が強いんだよね。

 でもさ。そういう町のお客さんはほとんどスーツを着た男性会社員でしょ。女性はなかなかオフィスの近くでは、2、3人でお酒を飲んだりしない。ちょっと足を延ばして会社の人たちと顔を合わせることがない場所の店に行ったりする。魅力的な物件ではあったけど、うちはずっと女性にアピールする、若い子たちが来たくなる店というコンセプトでやってきているから、「うちの子たちはここで働きたいかなぁ」と考えてしまった。

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