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宇野 隆史(うの・たかし)

楽コーポレーション社長

宇野 隆史

1944年、東京生まれ。早稲田大学を中退し、飲食業の道に入る。78年、楽コーポレーションを設立し、東京・経堂に大皿総菜料理店の草分けとなる居酒屋「くいものや汁べゑ」や「極楽屋」を開く。81年には東京・下北沢に「くいものや楽」を出店。88年には個人経営だった楽コーポレーションを株式会社に改組し、社長に就任。現在は、首都圏に約20店を展開する。

◇主な著書
トマトが切れれば、メシ屋はできる 栓が抜ければ、飲み屋ができる』(日経BP) 2011
笑う店には客来たる 楽しむ人には福が舞う』(日経BP) 2013

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

楽コーポレーション 宇野隆史社長の「若者よ、一国一城の主になれ!」

「捨てるもの」が人気メニューに変身

2017年4月7日(金)

 宇野隆史社長率いる、居酒屋運営の楽コーポレーション(東京・世田谷)には、独立志向の強い若者が続々と集まる。宇野社長は、いつも店にあってお金もかけずに使える、ちょっとしたものに若者たちが気付くかどうかが、店が繁盛するかの重要なカギと話す。

 今年、東京は桜の開花宣言があってからもずっと寒い日が続いて、今でも夜は冷え込む日があったりする。

 先日、うちのある店にかみさんと行った時の話だけどさ。カウンターの並びに女の子たちが座ったから何気なく見ていたら、そこの店長が、「寒かったでしょう。これ飲んで」とさっと、熱々のおでんのだしを器に入れて出した。

 器は、いつもおでんを盛って出している朱塗りの大振りのもの。女の子たちは、「えっ、私たちまだ何も頼んでないけど…」って驚いてさ。そうしたら、店長は「いいのいいの。温まって」って返してね。「おいしい~」って女の子たちは心からうれしいって顔をしていた。

 特別に用意したわけでもなく、店に既にあるもので、お客さんの心をここまで捉えるってすごいな、とオレは感動した。それも、お通しを出すような小さな器じゃなくて、大きなおでんの器に入れて出したってのがいい。お客さんは、よけい驚いてくれるでしょ。だしを飲んでおいしいと思ったら、おでんだって頼んでくれるかもしれないわけじゃない。

 うちでもおでんを出していて、せっかくそのだしが目の前にあるのに、これを使う子と使わない子がいる。ほんのちょっとのことだけど、そこにはものすごい差があるなぁと、つくづく感じた。

月に760杯も出る人気カクテル

 オレが最近仕事でよく行く金沢のあるバーで飲んだ時はこんなことがあった。その店では、フルーツカクテルを出していてね。お酒の組み合わせが面白いしおいしいんだけど、フルーツがリキュールで生じゃなかったのね。それで、これ生のフルーツで作ってほしいなって話をしたら、店の子が自分で色々考えて次に行った時には、生フルーツでショートカクテルにして出してくれたの。評判になって、よく出ていると言う。

 で、また彼を見ていたら、1杯分のカクテルをグラスに注ぐと、シェーカーに残った分を捨てていたんだ。もったいないなぁと思ってさ。

 それで、「最近東京では、グラスをお皿の上に載せて、グラスからこぼれるぐらいにシャンパンを注いで、『こぼれシャンパン』なんてやったりするんだよ。カクテルでもやってみれば」って話をしてさ。酔っぱらっていたので、一緒に行ったかみさんが後で、「あなたしつこいのよ」って言うぐらい何回も繰り返したらしい。店の子は、にこにこ笑いながら聞いていたんだけど、その次に行ったら工夫をしていてね。カクテルはスタイリッシュに飲むものだから「こぼし」にするわけにはいかないからか、余った分をショットグラスに入れて出してくれたの。これが、すごく洒落ていてさ。他のお客さんも「これいいね」って言ってくれて。2月に始めたんだけど、1カ月で760杯も出たそうだ。新しい備品を買うわけでもなく、手持ちの武器でこんな魅力的なメニューになるってすごいよね。

金沢のバー「ジガーバー・セントルイス」のフルーツカクテル。普通のバーでは、グラスからあふれる分は捨ててしまうが、これを別のショットグラスに入れ添えて出す

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