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杉原 淳一(すぎはら・じゅんいち)

日経ビジネス記者

杉原 淳一

2005年、日本経済新聞社に入社し、大阪経済部で金融機関や流通・アパレル業界などを取材。2009年に東京に異動し、経済部で銀行や農林水産省、財務省、金融庁などを担当。2012年から日本郵政の取材を始め、2014年末には日本郵政・ゆうちょ銀行・かんぽ生命保険の3社同時上場計画を他のメディアに先駆けて特報した。2015年4月から日経ビジネスで金融機関を中心に取材している。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

トレンド・ボックス

アパレル業界の少量多品種生産を支える技術

2017年6月22日(木)

アパレル産業に不可欠な染色工程で革命が起きつつある。インクジェットによる「捺染(なっせん)」や、「超臨界流体」を使った無水染色が注目を集める。排水に伴う公害問題を改善できるだけでなく、リードタイムの短縮にもつながる。

 東京都日野市にあるコニカミノルタの事業所を訪れると、研究開発施設の奥で長さ16m強、幅5m強の巨大な装置が鎮座しているのを見つけることができる。分厚い門のような機械が何列にも分かれて並ぶさまは、まるでSF映画の舞台セットのようだ。

 巨大装置の正体は「ナッセンジャーSP-1」。同社が開発した、インクジェット捺染(なっせん)用の最新鋭機だ。生地用の「プリンター」と考えると分かりやすいだろう。

インクジェットで生地に模様をプリントする
●コニカミノルタの「ナッセンジャーSP-1」

 「印刷したい絵柄を選んで、タッチパネルを押すだけ。家庭用のプリンターと同じで簡単ですよ」。担当者がモニターを操作すると、白い生地が吸い込まれていく。列になった機械がそれぞれ決まった色のインクを射出し、生地が即座に染まっていく。わずか数秒後には鮮やかな幾何学模様が描かれていた。出来上がった生地を実際に手に取ると、とてもプリントしたとは思えない完成度の高さだ。

 こうした生地用プリンターの存在は、多くの消費者になじみがないだろう。しかし、誰もが知る高級ブランドが相次いでスカーフなどの染色にすでに採用している。今では大手ファストファッションブランドが最新の流行を素早く商品に反映するため、生産工程にこうしたプリンターを導入している。

 生地に模様や絵柄を付ける作業を「捺染」と呼ぶ。Tシャツや柄物などの生産は、「版」を使うスクリーン捺染が世界の主流となっている。印刷したい模様に合わせて、微細な穴の開いた版を樹脂や金属で複数枚作成。その版を1枚ずつ生地に当て、染料を糊に溶かした「色糊」をなすり付けて染めていく手法だ。1枚の版につき1色しか染められないので、多色を染めるには複数の版で何回も繰り返して色糊を付ける作業が必要になる。

 問題は、染色した後に大量の水で版をきれいに洗う必要があること。発色などを良くするために、色糊は様々な化学薬品を含む。そのまま排水できないため、スクリーン捺染工場では巨大な処理装置を備えることが求められる。

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