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岡部 直明(おかべ・なおあき)

ジャーナリスト
明治大学 研究・知財戦略機構 国際総合研究所 フェロー

岡部 直明

1969年早稲田大学政治経済学部を卒業し、日本経済新聞社入社。ブリュッセル特派員、ニューヨーク支局長、経済部次長、金融部次長、論説委員などを経て、取締役論説主幹、専務執行役員主幹。早稲田大学大学院客員教授などを歴任。2012年より現職。『ベーシック日本経済入門<第4版>』(日本経済新聞出版社)などのほか、主な著書(編著)に以下の書籍がある。

◇主な著書
ドルへの挑戦 Gゼロ時代の通貨興亡』(日本経済新聞出版社)
主役なき世界 グローバル連鎖危機とさまよう日本』(日本経済新聞出版社)
EUは危機を超えられるか 統合と分裂の相克』(編著、NTT出版)

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

岡部直明「主役なき世界」を読む

「政低・経高」の世界に潜むリスク

2018年1月11日(木)

1月4日、米株式市場でダウ工業株30種平均が初めて2万5000ドルの大台を突破、活況に沸いた。トレーダーの男性が「ダウ 25,000」という文字の入った記念の帽子をかぶっている。(写真:ユニフォトプレス)

 2018年の世界は、「政低・経高」で始まった。世界経済は、株高や雇用改善で好調を持続し、人工知能(AI)や電気自動車(EV)化など新産業のうねりもみられる。世界同時好況の様相である。その一方で、トランプ米大統領の自国本位主義による「トランプ・リスク」が国際政治を揺るがしている。グローバル化を背景にポピュリズム(大衆迎合主義)が世界の潮流になった。問題の根は、「政低」と「経高」のギャップとその悪循環にある。「経高」に表れる金融資本主義の膨張が格差拡大をもたらす。それがポピュリズムを生み、「政低」につながる。「政低」のもとでは、金融資本主義は制御しきれず、「経高」の行き過ぎによって、崩壊リスクが累積していく。2018年はそんなリスクをはらんだ年になるだろう。

危機増幅する「トランプ・リスク」

 2018年も世界の最大のリスクは「トランプ・リスク」だろう。その特徴は、覇権国家の大統領とは思えぬ言動で、世界の地政学リスクを増幅しているところにある。北朝鮮危機と中東危機にその傾向が顕著である。

 核・ミサイル開発で世界を震撼させた北朝鮮は、平昌冬季五輪を前に南北対話に応じたが、これで北朝鮮が対話路線に転じたとみることはできない。それどころか、金正恩朝鮮労働党委員長は念頭の辞で「机には常に核兵器の発射ボタンがある」と挑発した。問題はこの挑発にトランプ大統領がツィッターで「米国の核のボタンは彼(金正恩委員長)のものよりずっと強力だ」と応じたことである。

 安易に「核ボタン」に言及したことが軽率であるのはいうまでもないが、このトランプ発言は、絶対に認められないはずの北朝鮮の核保有を暗に認めてしまった形になったのが致命的である。これでは、日米韓を含め国際社会が求めてきた「朝鮮半島の非核化」の土台が崩れることになりかねない。米国の大統領にふさわしくないトランプ氏の言動が北朝鮮危機をさらに深刻化させている。

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行天 豊雄 国際通貨研究所名誉顧問