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川田 稔(かわだ・みのる)

日本福祉大学教授・名古屋大学名誉教授

1947年生まれ。1978年名古屋大学大学院法学研究科修了。法学博士。名古屋大学大学院環境学研究科教授などを経て現職。名古屋大学名誉教授。

◇主な著書
『昭和陸軍全史(全3巻)』(講談社現代新書) 2015
『浜口雄幸と永田鉄山』(講談社選書メチエ) 2009
『戦前日本の安全保障構想』(講談社現代新書) 2013

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

ビジネスパーソンのための歴史講座「満州事変」

満州事変後、政治的の発言力を高める陸軍

2015年9月25日(金)

前回から読む

 こうして、満州事変を契機に、陸軍中央から宇垣派が排除され、永田ら一夕会が陸軍中央の実権を掌握し、陸軍を動かしていく態勢となった。これが陸軍の性格に大きな変化をもたらす。そして、そのことが、これ以後の日本政治の展開に決定的な意味をもつことになる。

 それまで陸軍は、国際協調政策をとる政党政治に協力的で、政治介入にも抑制的だった。だがこれ以後、陸軍が組織として政治化し、政党政治を崩壊させ、政治の実権を握るようになっていく。そしてまた、新たな資源獲得のため、満州のみならず、中国北部(華北)へも日本の影響力を拡大しようとするようになる。

陸軍による政治への介入が強まる

 たとえば、国内政治体制の問題について、一夕会の理論的中心人物だった永田は、政党政治の方向に対抗して、「純正公明」な軍部が国家総動員論の観点から政治に積極的に介入することを主張している。

 永田はいう。国家総動員には挙国一致が必要であり、それには政治経済社会における多くの欠陥を切除しなければならない。だが、そのためには「非常の処置」を必要とし、それは従来の政治家のみにゆだねても不可能である。したがって、「純正公明にして力を有する軍部」が適当な方法によって「為政者を督励する」ことが現下不可欠の要事である、と(拙著『昭和陸軍全史』第1巻第6章、参照)。

 このような永田の構想によって、満州事変以降の昭和陸軍の政治介入が推し進められることになる。

犬養毅。若槻内閣退陣後、政友会を与党として首相に就任。五・一五事件で暗殺される(写真:アフロ)

 1932年(昭和7年)5月15日、海軍青年将校らが、首相官邸、警視庁その他を襲撃、犬養毅首相を殺害した。五・一五事件である。

 事件後、実質的に首相決定権をもつ元老・西園寺公望は、後継首班に海軍出身の斎藤実・元朝鮮総督を天皇に推薦。5月26日、斎藤内閣が成立し、政党政治(議会政党による政権運営のシステム)の時代は終わりをつげる。


政党政治を否定

 この間、一夕会メンバーの鈴木貞一・陸軍省軍事課員は、西園寺の側近・原田熊雄に、「後継内閣は政党本位ならざるを要す」と主張している。さらに、西園寺に近い近衛文麿、木戸幸一らとの会食でも、「内閣が再び政党に帰するがごとき結果とならんか、[五・一五事件に続いて]第二第三の事件を繰り返すに至るべし」と述べている。

 また、小畑敏四郎・参謀本部運輸通信部長は、近衛文麿に、「このさい再び政党内閣の樹立をみるが如きことにては、ついに荒木陸相といえども部内を統率するは困難なり」と伝えた。近衛はこれを、原田や木戸にも話している。

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川野 幸夫 ヤオコー会長