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池田 和弘(いけだ・かずひろ)

大阪観光大学国際交流学部准教授

池田 和弘

京都大学卒業後、通訳養成学校を経て、専門学校や予備校での教鞭、執筆活動を行う。ベストセラーを記録した著書は数々。その後、大阪大学大学院言語文化研究科にて、理論的ベースを固め、同大学工学部工学研究科で原子力、ナノフォトニクスのESPプログラムを開発・実施。「学習者に優しい」をコンセプトに、認知言語学、レキシカル・グラマー、エマージェント・グラマー、並列分散処理など最新の知見を駆使して、受験英語と実用英語を融合できる日本有数の英語学習法のスペシャリストである。

◇主な著書
こうすれば速く覚えられるTOEICテストの英単語』(日本実業出版社) 2010
英語がスラスラ分かるようになる魔法の本』(日本実業出版社) 2009

◇関連リンク
オフィシャルブログ
ハイブリッド型英会話教材「リッスントーク」

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日本語を活用した英会話習得法

英語学習には欧米でも「母語を活用すべし」の声

2017年3月25日(土)

 私は仕事柄、ネットで英語の勉強の仕方や学習理論などについて調べることがよくあります。特にYoutubeは、よくチェックしています。チェックするのは、ほぼ全部英語で語られているものですが、TED(※)のイベントのような講演は臨場感があって入り込みやすいですし、動画の中には図解やアニメーションを使って解説を行っているものもあるため、分かりやすいです。

(※)1984年に設立された非営利団体。世界各地でイベントを開催し、また人文系から理系までの幅広い話題についてのプレゼンテーション動画をネットを通じて無料で配信している。

 分かりやすいといっても、内容が簡単だとは限りません。例えば、最近は脳の情報処理について解説した動画が出始めてているなど、かなり専門的なものもあります。

 本当に、恐ろしく便利な時代が来たものです。

英語教育の専門家の主張

 さて、私はこれまで、多言語話者が勉強の仕方を解説した動画や、英語圏に移住して英語をマスターした人の動画、さらには脳科学と言語習得の関係について解説した動画、授業実施例の動画などを見てきました。先日、少しキーワードを変えて検索してみたところ、驚くべきサイトに出会いました。

 そのサイトは、欧米の英語教員、つまり大学や語学学校などで外国人に英語を教えている先生たちの会合についてのサイトで、一人の男性が講師としてレクチャーをしている内容でした。つまり、「教員の中の教員」による教員のための講演だったのです。講演者の名前は、Philip Kerrという人です。ご興味のある方はぜひ調べてみて下さい。この方の話している内容が、私の考え方と同じだったため大いに驚き、このたび急遽ご紹介しようと思い立った次第です。

 彼の論旨を簡単にまとめますと、「英語を英語で教えるという発想は誤っている」ということです。そして、「母語をうまく活用する」ことが効果的な英語学習の必須条件だと主張しています。

 動画の中で、彼はこの点を、並み居る英語教員を前に明確に伝えていました。「母語の活用」というのは、私自身の長年のテーマでもあるのですが、今、世の中はどちらかというと「英語オンリー」の方向に大きく流れており、実際に日本でも、「英語オンリー」をウリにする高校や大学が現れ始めています。

 しかし、Philip Kerr氏は英語教育の専門家として、その現状を百も承知しながら、「英語オンリー」の教え方では駄目だと主張しているわけです。これには本当に驚きました。責任のある立場の方ですから、相当な信念、データ、そして勇気がないと、とても公の場で言えることではありません。

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