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池田 和弘(いけだ・かずひろ)

大阪観光大学国際交流学部教授

池田 和弘

京都大学卒業後、通訳養成学校を経て、専門学校や予備校での教鞭、執筆活動を行う。ベストセラーを記録した著書は数々。その後、大阪大学大学院言語文化研究科にて、理論的ベースを固め、同大学工学部工学研究科で原子力、ナノフォトニクスのESPプログラムを開発・実施。「学習者に優しい」をコンセプトに、認知言語学、レキシカル・グラマー、エマージェント・グラマー、並列分散処理など最新の知見を駆使して、受験英語と実用英語を融合できる日本有数の英語学習法のスペシャリストである。

◇主な著書
こうすれば速く覚えられるTOEICテストの英単語』(日本実業出版社) 2010
英語がスラスラ分かるようになる魔法の本』(日本実業出版社) 2009

◇関連リンク
オフィシャルブログ
ハイブリッド型英会話教材「リッスントーク」

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日本語を活用した英会話習得法

英語をやり直すためのアドバイス

2017年9月30日(土)

 最近、電車などで英単語帳を開いているビジネスパーソンをよく見かけるようになりました。かつては英語の学び直しというと、趣味の範囲であることが多かったように思いますが、今では仕事上の必要に迫られて、というケースが多いのではないかと思います。

 しかし、学び直すといっても、ほとんどの人にとってそれは雲をつかむようなものだと思います。どこから手を付けたらよいか分からないというのが、本当の気持ちではないでしょうか。ここはとても大切な点で、やり方を間違えると(今度こそ)やっかいなことになります。2度も学び直しをするような時間も余裕もないからです。一発で決める必要があります。今回はこの点についてお話ししたいと思います。

基本は「読み上げ力」を攻める

 このコラムでも触れましたが学び直しの基本は、まず①読み上げ力、②語彙力、③文法――です。①の「読み上げ力」について気になるのは、私の見ている限りでは、電車などで単語を勉強している人は、例外なくただ単語帳を見ているだけの人が多いという点です。

 イヤホンもしくはヘッドホンを付けて音声を聴いていることはごく稀で、口を動かして読み上げている人は見たことがありません。高校生にもよくあるのですが、ただ本を見ているだけなのです。これでは、やり直しの道はとてつもなく長く困難なものになります。

 そもそも語彙というのは、たった3つの情報しか含んでいません。①音声、②意味、③つづり――です。この中で、私たちはつい②の意味を覚えないといけないと思いがちなのですが、じつは意味については、私たちは日本語を通じてすでに理解しています。たとえば、society(社会)という単語があったとすると、①音声、③つづりについては不安な点があるかも知れませんが、②の意味そのものについては分かっています。

 ですから、①の読み方を練習し、③のつづりが分かれば、それで一旦は学習は終わりです。しかも、つづりといっても、いきなり正確に書ける必要はありません。だいたいの形が分かり、他の単語との区別ができればそれでよいのです。この程度であれば、①の読み上げ練習を行っているうちに、視覚的に覚えてしまいます。つまり、①をしっかりと行えば、すべてがスムーズに流れるのです。

 注意点として、くれぐれも、初めから①②③を同時にしっかりと練習すべきとは考えないで下さい。こんな名言があります。「どんなに困難な作業でも、分割するとやさしくなる」。私がこれに付け加えたいのは、「だれでも慣れを養うことはできる」ということです。記憶しようと懸命になるのでもなく、頭を使って考え抜くのでもなく、音声をじっくり聞いたり音読したりする中で自然に「慣れ」を養い、その結果として英語が身に付く――この感覚を大切にして欲しいと思います。「慣れる力」ならだれにでもあるからです。

 ①読み上げ、②意味、③つづりを一度にマスターしようとすると、どうしても過剰な負荷がかかります。人間は読めないものを覚えることに困難を感じるからです。そこでまず①を攻めるわけです。

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名和 利男 サイバーディフェンス研究所上級分析官