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池田 和弘(いけだ・かずひろ)

大阪観光大学国際交流学部教授

池田 和弘

京都大学卒業後、通訳養成学校を経て、専門学校や予備校での教鞭、執筆活動を行う。ベストセラーを記録した著書は数々。その後、大阪大学大学院言語文化研究科にて、理論的ベースを固め、同大学工学部工学研究科で原子力、ナノフォトニクスのESPプログラムを開発・実施。「学習者に優しい」をコンセプトに、認知言語学、レキシカル・グラマー、エマージェント・グラマー、並列分散処理など最新の知見を駆使して、受験英語と実用英語を融合できる日本有数の英語学習法のスペシャリストである。

◇主な著書
こうすれば速く覚えられるTOEICテストの英単語』(日本実業出版社) 2010
英語がスラスラ分かるようになる魔法の本』(日本実業出版社) 2009

◇関連リンク
オフィシャルブログ
ハイブリッド型英会話教材「リッスントーク」

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日本語を活用した英会話習得法

英文法に関する「捻じれ」を乗り越える方法

2017年8月5日(土)

 英語の学習も本当に進化をしてきました。ネット上にはありとあらゆる学習リソースがあります。これだけ環境が変化したのですから、もうきっと文法の問題は解決されているに違いない――5年ほど前に、私は本当にそう思い始めていました。しかし、たまに高校生に教える機会があると、そのたびに、それがとんでもない間違いであると気づかされました。

 高校のみならず中学の教科書や参考書類にも、未だに5文型の分類や同格のthatといった用語が記載されています。中には、新情報や旧情報という専門用語を繰り出してThere構文について解説しているものもあります。また、eラーニングという、まさしく時代の最先端を行く学習ツールにおいてさえ、解説は文法用語だらけです。ここには明らかに何か「捻じれ」のようなものがあります。

「捻じれ」の原因

 なぜこのような「捻じれ」が生じているかというと、それは、文法の役割についてはっきりとした結論を出せないまま、凄まじい勢いでIT時代が到来してしまい、そのままどっと世の中がコミュニケーション重視の方向に流れたためです。

 一方で、文法の方はどうかというと、「必要かどうか」という点は議論されてきたものの、「どのような文法が必要か」についてはほとんど検討されてきませんでした。そのために、学習者はリスニングやスピーキングの練習をしながらも、その一方で、詳細な文法解説を受け、演習をするという状況に陥ってしまったのです。つまり、“How’s it going?(調子はどうですか?)”などと練習している一方で、「OをCする」「O=C」などといった解説を聴いて演習を行っている訳です。

 状況が大変なのは英語を教える側、つまり先生方も同じで、大学入試のための高度なリーディング力を養いつつ、スピーキング力も養うという離れ業をどのようにしてやってのけるか、日々頭を悩ましている方が多いはずです。

私が「捻じれ」を解決した方法

 さて、私はリスニングテストさえ普及していなかった旧世代の人間ですが、この「捻じれ」を身を持って体験しています。なぜなら、大学に入った直後から、スピーキング力を身に付けようと勉強をし始めたからです。ところが、「現在分詞の後置修飾」や「分詞構文」など、文法について色々と知識は持っていたものの、いざ話すとなるとさっぱり駄目で、どう勉強して良いかさえ分かりませんでした。

 スピーキングの場合、英文を一つひとつ組み立てている時間はありません。言いたいことを、思った瞬間にほとんどリアルタイムで言う必要があります。そのようなところに文法を持ち込むと、頭が過熱して何も言えなくなります。

 たとえば、「楽しそうだね」と言いたいときに、lookが自動詞か他動詞かを考え、さらにYou lookの後が形容詞(happy)なのか副詞(happily)なのかを判断しようとすると、このたった一文でさえ使えなくなります。このような頭の使い方をすると、話すどころか読むことさえ困難になり、やがて英語に対して苦手意識が生まれてしまいます。

 大学生であった当時、私は英検1級を目指していましたが、パブリックスピーチが巨大な壁として立ちふさがっていました。いちいち英作するようなことをしていては、スピーチなどできるはずがありません。リスニングさえテストに出ることがまずなかった時代です。ここで私の頭は一度フリーズしてしまいました。しかし、ある日、ある練習方法に出会い、それを実行することでスピーキング力を伸ばすことができたのです。英検のパブリックスピーチにも一発で通りました。その方法が何であったかというと、「音読」でした。

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