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エンリケ・ダンス(えんりけ・だんす)

スペインIEビジネススクール イノベーション科教授

エンリケ・ダンス

サンティアゴ・デ・コンポステーラ大学生物学部卒後、IEビジネススクールでMBA取得。1996年から2000年に米UCLA 情報システム学部で学び博士号取得後、ハーバードビジネススクールで学ぶ。学者・コンサルタントとして、労働者や企業、社会に対しての技術革新の影響についての研究を深めている。

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Enrique Dans(ツイッター)

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

1分で読める経営理論

ゲイツ氏の「ロボットに課税する」は正しいか

2017年3月23日(木)

 米マイクロソフトの創業者であるビル・ゲイツ氏は、最近のあるインタビューで「人間の労働に取って代わる、ロボットの労働に対して課税をすべきだ」と発言して注目を集めた。つまり人間は収入に応じて所得税を課されているのだから、人間に代わってロボットが同じ質・量の労働をするなら、ロボットの労働に課税するのも「あり」なのではないかという主旨である。ゲイツ氏は、荷物を運搬するドライバーや、倉庫の管理、清掃などといった仕事は今後20年ほどでなくなり、人工知能を搭載したロボットがその仕事を担うだろうという考えを示している。

ビル・ゲイツ氏。「ロボットによる大量失業の時代を迎える前に、ロボットに課税すべきだ」(写真:AP/アフロ)

 背景には、人工知能を搭載したロボットの導入が今後一気に進めば、人間の大量失業につながる可能性があり、社会が不安定になるその移行期間を何とかうまく乗り切らねばならないという、ゲイツ氏なりの懸念があるのだと推察される。ロボットを活用する企業から徴収した税金を、大勢の失業予備軍の人たちの新たな職業訓練に充当しようという狙いである。今から備えておく必要があると言うのである。

欧州議会「法律でロボットに規制をすべき」

 一方、欧州議会もロボットにも課税すべきという、ゲイツ氏のアイデアに似た内容の報告書を出していたが、2月16日に否決された。「ロボット労働の拡大に関しては法律でなんらかの規制をすべきだ」としながらも、ロボット労働そのものへの課税は見送られた。

 ロボットの「労働」に対しての課税は、一見単純そうに見えてなかなかの難問である。当然ながら歴史的に前例がない。産業革命以来、製造工程の自動化が進み、多くの労働者の職は奪われた。その後、機械の生産力は増大し、失業者は新たな職業に就き、企業の利益への課税額は増えたが、税金は企業の「利益」にかけられたのであり、機械の「労働」に対して特別の税金がかけられることはなかった。

 私は、ビル・ゲイツ氏のアイデアは、理詰めで考えたというよりも直観的という感じを受ける。人間を単純にロボットに置き換えただけのイメージだ。「ある『人間の』労働者が工場で5万ドル(約560万円)相当の仕事をしたので、この給料から一定の所得税、社会保障税(費)を差し引く。ゆえに、その人に代わって『ロボットの』労働者が同じ労働をした場合も、同様に課税するのは当然、というシンプルな発想だ。同じ仕事をしている「人間の代替」という考え方は分かりやすいが、この考えに対しては以下のような疑問が浮かび上がる。

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