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エンリケ・ダンス(えんりけ・だんす)

スペインIEビジネススクール イノベーション科教授

エンリケ・ダンス

サンティアゴ・デ・コンポステーラ大学生物学部卒後、IEビジネススクールでMBA取得。1996年から2000年に米UCLA 情報システム学部で学び博士号取得後、ハーバードビジネススクールで学ぶ。学者・コンサルタントとして、労働者や企業、社会に対しての技術革新の影響についての研究を深めている。

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Enrique Dans(ツイッター)

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

1分で読める経営理論

カタルーニャに思う「ポスト真実」の時代の真実

2017年10月23日(月)

カタルーニャ州住民に対する警察の暴力行為は、SNSを通じて全世界に拡散された。(写真:UPI/amanaimages)

賛否両論を巻き起こした、カタルーニャ州の独立問題

 「ポスト真実(post-truth)」──。英オックスフォード英語辞書が2016年を表す言葉として選んだこの単語は、「真実かどうかは問題ではない。自分が信じたいものを信じる」という意味。

 トランプ米大統領に代表されるように、多くの現代の政治家は、客観的事実に即した情報や結論よりも、個人の感情や、信条、欲望への強い訴えかけの方が影響力を持つことを知って利用している。現代はまさにポスト真実の時代に突入した。

 さて、10月1日に、スペイン北東部カタルーニャ地方の独立の賛否を問う住民投票が行われた。住民投票をめぐっては世界的に賛否両論を巻き起こした。我々に分かったことは──国際的にも注目されたこの出来事は、私たちに「ポスト真実」と呼ばれる未知の時代について、リアルタイムで深く考える機会を与えてくれたということだ。

 カタルーニャ州政府は最初の段階から戦略を練っていた。奇妙な言い方になるが、カタルーニャ州政府の戦略は「住民投票自体には、さして重きを置かない」ことだった。はたして、投票箱は投票所に設置できて、投票行動は保障されるのか。中央政府が投票阻止のために全国各地から約1万人もの警察官や憲兵を投入する中で、住民は投票に行けるのか。でも、それらのことは、じつはどうでもよかった。

警察と大衆の対立よりも、「物語が生まれないこと」の方が問題

 多数の警官が動員される、動員された警察が投票箱を押収する、あるいは警察が投票所に突入し住民たちともみあいになる、警官隊と大衆がにらみ合う、開票方法の公正さについて疑問符がつけられる……。それらのことはすべて想定ずみだった。カタルーニャ州政府にとってはなんら問題のないことだった。

 ──いや、率直に言えば、カタルーニャ州政府の思惑は逆なのである。彼らにとっての失態とは、投票所に長い列ができないこと、警察が出動しないこと、“語るべきストーリーが生まれないこと”だった。

 急進的カタルーニャ独立主義者たちにとって重要だったのは、この日に繰り広げられた出来事の映像が国際社会に広まることだけだった。そして、それ以外のことは、端的に言って大勢に影響のないことだった。数カ月にもわたり、カタルーニャ州政府によって練り上げられた戦略を前にして、スペイン政府は端役に過ぎなかった。

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