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玉川 真里(たまがわ・まり)

元自衛隊の臨床心理士/NPO法人ハートシーズ理事長

玉川 真里

1973年岡山県生まれ。アルコール依存症の父と、自殺未遂をする母のもと育つ。自分の身を守る強さを求め、1991年に陸上自衛隊に入隊。所属駐屯地では、女性初の大砲部隊野外通信手として活躍する。
2008年、陸上自衛隊において現場初の臨床心理士として、最も自殺率の高い職業といわれる自衛隊の自殺予防対策を任される。自らのうつ病体験・精神科閉鎖病棟への入院経験から医師・管理職・家族が同じ目標で本人に関われる復職支援検討会を提唱しコーディネーターとして入ることにより部内外の精神科医からも、この人に任せたらほとんどの患者が復職を成功させると言われるほどの信頼を得る。
より多くの人の心を救済したいとの思いから自衛隊を辞め、資産をすべて投入してNPO法人設立。「災害・事件・事故に対する心の危機管理分野」では日本で数少ない有識者の1人として活躍し、自衛隊・海上保安大学校・福島県立医科大学などで延べ100件以上の実績をもつ。
クライアントからの信頼もあつく、年間延べ2000件を超える相談を受けており、累計では3万人以上の心を解放してきた。
複雑な生育歴やDV、自殺未遂、離婚、結婚詐欺被害などの実体験をもとにし、当事者の辛さをわかりやすく説明し、どのようにすればお互いが苦しくなく関われるか具体的な方法を提示している。

◇主な著書
もう、「あの人」のことで悩むのはやめる』(サンマーク出版) 2015

◇関連リンク
NPO法人ハートシーズ
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※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

女性元自衛官がリーダーに伝える「心鍛術」

お酒では決して苦しみは回避できない

2016年1月23日(土)

 日経ビジネスオンラインの読者の皆様、こんにちは。元自衛隊臨床心理士の玉川真里です。このコラムは、私が自衛隊で勤務していた時の体験をもとに、業務を円滑に回すために日々激務にさらされている読者の皆様に、とっておきの心の危機回避法をお伝えすることが目的です。

 今回は第3回目です。皆様は、ストレスが溜まった時にどのように対処されますか? 日頃は業務に追われている皆様がストレス対処を一番しやすい時期が休日ではないでしょうか。特に連休は注意が必要な時期なのです。自衛隊で自殺やメンタル不調の方が増加する時期でもあります。どうしてストレス対処をする時期が注意を要する時期か? ここが、今回のポイントです。

 休日の過ごし方を間違うと、実は大きな落とし穴になることがある。ここをしっかりと押さえていただき、よりよい休息時間としていただきたいと願っております。

 それでは、今回の事例を紹介しましょう。

休暇明けになぜか体調が悪くなる

 30代の男性でしたが、長期休暇が終わる頃から、吐き気、脱力感、頭痛、めまいなどの体調不良が続き、休暇明けから出勤ができなくなりました。彼は、組織内では係長という中間管理職の役割をしており、普段から、大人しく温厚で真面目と、周囲から評判のいい人でした。

 本人もどうして不調なのか分かりません。出勤できない自分を責められるのではないかという不安もあり、誰にも相談できずにいました。

 なぜ彼は不調になったのでしょうか? 休暇前の彼の行動を探っていきましょう。この方は休暇前に、あるプロジェクトのリーダーをしていました。

 自衛隊の中では年に1回、専門技術を競う競技会というものがあります。この方は、その競技会の1つである、武装走競技会のコーチを任命されたのでした。武装走というのは、有事の際に必要な装備品を付けて走ることです。迷彩服に半長靴(安全靴のようなブーツ)を着用し、サスペンダーに弾倉、銃剣、満水の水筒、ガスマスクなどの装具を装着し、鉄帽(重たい鉄のヘルメット)という格好に加えて、小銃を持って山中を走ります。持続的な体力の維持と機敏に行動できる技術の向上を図ることが目的ですが、装具の重量は約10キログラムと言われています。武装走競技会はグループ対抗戦で、各部隊の順位を競います。

 彼は、この武装走競技会のコーチとして、約1カ月の間、訓練をさせて、グループを優勝に導くという任務をもっていたのです。自衛隊では秋頃までが様々な訓練の過渡期であり、多くの人が休みを取れないまま、11月を迎えています。そんな中、12月にある武装走に参加する隊員は、休み返上で訓練を続けなければなりません。しかも、この訓練が過酷極まりないのですから、不平不満が出るのは必然のことでしょう。それらを一手に引き受けて、自分も過酷な訓練をしつつ、優勝を目指して邁進していました。そして迎えた競技会当日、結果は第3位。優勝を逃す結果となってしまいました。

 第3位ですから、悪い結果でもなく、当日の夜に参加者、指導者など全員での打ち上げ宴会が行なわれました。お酒も入り、みんなの気が緩んだ時に、愚痴が出るのも当然なのですが、そこで一部の隊員から「今回優勝を逃したのは、コーチの指導の仕方が悪かったからだ!」という言葉が漏れ聞こえ、彼は、それまでの緊張と重責もあって、一気に落ち込んでしまったのです。

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