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財部 誠一(たからべ・せいいち)

経済ジャーナリスト

財部 誠一

1980年、慶應義塾大学を卒業し野村證券入社。出版社勤務を経て、1986年からフリーランスジャーナリスト。1995年、経済政策シンクタンク「ハーベイロード・ジャパン」設立。金融、経済誌を中心に数多く寄稿し、気鋭のジャーナリストとして活躍。BSイレブン「財部誠一の『異見拝察』」などに出演。
『京都企業の実力』、『シェール革命 繁栄する企業、消える産業』、『ローソンの告白』、『メイド・イン・ジャパン消滅! 世界で戦える「製造業」をどう守るか』、『日本経済 起死回生のストーリー』など、著書多数。

◇関連リンク
財部誠一オフィシャルホームページ
財部誠一の「異見拝察」

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

財部誠一 脳梗塞からの帰還

後遺症で「箸の持ち方」も分からず驚愕した

2017年8月18日(金)

前回から読む)

2015年2月に脳梗塞を発症、翌月に急性期病院からリハビリのための病院に転院し、スパルタ式のリハビリを始めた。 ※写真はイメージです=以下同 (写真:PIXTA)

アスリートのリハビリは筋トレだが……

 リハビリテーションは英語ではrehabilitation。「re」は「再び」という意味の接頭語であり、「habilitation」は「任官」を意味する。

 つまりリハビリテーションは失った職位に返り咲くとか、失った権威を取り返すことを意味しており、端的な日本語訳をあてるなら「復職」とか「復権」となる。

 取材をして、原稿を書き、テレビや講演活動でアウトプットする──。

 まさに「復職」であり「復権」こそが私のリハビリのゴールセッティングであり、それを目指す執念こそがリハビリ訓練の原動力のすべてだった。

 だが2015年3月、初台リハビリテーション病院に入院直後の私の現実は、右半身麻痺。歩けないばかりか、右腕は亜脱臼状態でまるで動かない。声量はないしスムーズに口を動かすこともできなかった。ゴールへの道筋は暗闇に閉ざされ、ゴールテープを切る自分の姿をイメージすることすらできなかった。

 多くの人はリハビリと聞けば、怪我からの復帰を目指すアスリートの筋トレの様子を想起しがちだが、脳梗塞のリハビリの複雑さたるやその比ではない。アスリートのリハビリは筋トレで完結するが、脳梗塞のリハビリは脳トレだ。単純なガンバリズムが一切通用しない、複雑系の作業なのである。

脳に箸の持ち方を「思い出させる」

 人間の様々な身体は司令塔である脳からの命令によって動く。ところが脳梗塞は脳細胞を死滅させ、脳から司令塔の機能を奪ってしまう。脳梗塞のリハビリは、手足を強制的に動かすことによって末梢から刺激を与え、脳に再学習させることに他ならないが、私の実感に沿っていえば「思い出させる」作業なのである。

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