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池上×手嶋対談「FBIと大統領の喧嘩」の悪夢

ジャーナリスト2人がインテリジェンスを語る(前編)

2017年3月30日(木)

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 プーチン政権下で帝国化を目論むロシアと、トランプ政権で好戦的な姿勢を強めるアメリカの対立は、ますます複雑、深刻になっています。その背後には海洋大国を目指す中国の存在があり、朝鮮半島では北朝鮮の挑発ぶりがエスカレートしています。緊張が高まるなか、大国に挟まれる日本が、とるべき外交戦略は何か? 手嶋龍一さんと池上彰さん、情報に通じた当代のジャーナリスト二人は、何を語るでしょうか。(文中敬称略)

汝の名はスパイ、裏切り者、あるいは詐欺師-インテリジェンス畸人伝』(マガジンハウス)
世界のVIPを震え上がらせた「パナマ文書」、告発サイト「ウィキリークス」の主宰者アサンジ、CIAの国家機密を内部告発したスノーデン、詐欺師の父を持ち、スパイからベストセラー作家に転身したジョン・ル・カレ、銀座を愛し、ニッポンの女性を愛した、20世紀最高のスパイ・ゾルゲ…古今東西、稀代のスパイはみな、人間味あふれる個性的なキャラクターばかり。人間味あふれるスパイたちが繰り広げるドラマチックなストーリーは、同時に、今の時代を生き抜くために欠かせない、インテリジェンスセンスを磨く最高のテキストだ。巻末には手嶋龍一氏が自らセレクトした、「夜も眠れないおすすめスパイ小説」ベスト10付。

池上:手嶋さんは最近、『汝の名はスパイ、裏切り者、あるいは詐欺師 インテリジェンス綺人伝』を執筆されました。さすがインテリジェンスワールドを書かせたら右に出る者がいない、と言われるだけあって、大変面白く読みました。手嶋さんはNHK時代の同僚でもあるし、「インテリジェンスのいま」について、ぜひ一度語っておきたかった。いま、ちょうど、アメリカではトランプ大統領が、FBI(米連邦捜査局)やCIA(米中央情報局)ら、自分の国の情報機関と喧嘩していますよね。手嶋さんは、あれをどう見ているか、最初に聞いておきたいのですが。

手嶋:情報の世界は二重底、三重底になっています。トランプ政権の問題を見ていく前に、まず米大統領と情報機関の関係を知っておく必要があるのですが、それを簡潔に、明晰に説明するのがなんとも難しいのです。

そもそも、「トランプ大統領とFBI、CIAとの喧嘩」とは、どのようなものなのでしょうか。

池上:トランプとFBIとの喧嘩の発端は、昨年の米大統領選挙において、ロシアが民主党、共和党双方のメールシステムをハッキングしたことにあります。

 それによって、ロシアは両陣営の候補にとって不利な情報を握ったわけですが、アメリカの大統領選では、民主党候補だったヒラリー・クリントン陣営に不利な内容だけを拡散した。そうやってトランプ当選に恩を売りつつ、トランプが当選した後は、トランプに不利な内容を使って、アメリカの新しい大統領に圧力をかける意図だった、とされています。

 「ワシントン・ポスト」や「ニューヨーク・タイムズ」といった、アメリカの有力紙が報じたことから、問題が表面に浮上しましたが、トランプは「フェイク(嘘)ニュースだ」と、いつものように激怒のツイートを発しました。ところが、3月20日の米下院情報特別委員会では、FBIのコミー長官が、トランプ陣営とロシアとの疑惑について、捜査を進めていることを認めてしまった。

それは異例なのですか。

池上:はい。アメリカのインテリジェンスを司る一角、FBIの長官が、公に、自らの国のリーダーである大統領の疑惑を語る。これは大変異例な展開といっていい。

手嶋 龍一(てしま・りゅういち)
外交ジャーナリスト・作家。1949年、北海道生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。元NHKワシントン支局長。2001年の9.11テロ事件では11日間にわたる24時間連続の中継放送を担当。自衛隊の次期支援戦闘機をめぐる日米の暗闘を描いた『たそがれゆく日米同盟―ニッポンFSXを撃て』、湾岸戦争での日本外交の迷走を活写した『外交敗戦―130億ドルは砂漠に消えた』(共に新潮文庫)は現在も版を重ねるロングセラーに。NHKから独立後の2006年に発表した『ウルトラ・ダラー』(新潮社)は日本初のインテリジェンス小説と呼ばれ、33万部のベストセラーとなる。2016年11月に書下ろしノンフィクション『汝の名はスパイ、裏切り者、あるいは詐欺師-インテリジェンス畸人伝』を発表。(写真:大槻純一、以下同)

手嶋:いまさら池上さんを持ち上げる必要はないのですが、池上さんの説明は正確です。昔から、込み入った事態を前にすればするほど、明晰に解説しないではいられないジャーナリストでしたね(笑)。今日の対談も冒頭から本領発揮です。

池上:いやいや、なんですか、それは。褒めてもらっている気がしませんが。

「インテリジェンス」の訳語がない

手嶋:2010年に「BP(ブリティッシュ・ペトロリアム)」が、メキシコ湾で原油の流出事故を起こした直後のことです。ふたりで環境外交に関する本を編んだのですが、ラジオでその解説を収録した際に、「手嶋さん、いまの説明には二つ傷があります」と、指摘されたことがあります。

 一つ目は、「手嶋さんはBPを英国企業と言いましたが、もはや多国籍企業です」と。二つ目は「『米大統領のオーバルオフィス』なんて言っても、一般の人には分かりません。『ホワイトハウスにある大統領執務室』と表現しなければ」ということで、お叱りを受けました。解説おじさん、畏るべし(笑)。

池上:いやいや、そうでしたっけ。

手嶋:池上さんの指導を受けてからは、ニュースの解説をするときには、「池上さんに合格点をもらえるかな」と自問してやっています。とはいっても、解説魔王のようにはなかなかいきません。

池上:話を本筋の「インテリジェンス」に戻しますと…。

手嶋:はい、でも、これがやっかい。そもそも「インテリジェンス」には、適切な日本語の訳語がないのです。ということは、「インテリジェンス」という考え方が、この日本に根付いていないわけですね。

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「池上×手嶋対談「FBIと大統領の喧嘩」の悪夢」の著者

清野 由美

清野 由美(きよの・ゆみ)

ジャーナリスト

1960年生まれ。82年東京女子大学卒業後、草思社編集部勤務、英国留学を経て、トレンド情報誌創刊に参加。「世界を股にかけた地を這う取材」の経験を積み、91年にフリーランスに転じる。2017年、慶應義塾大学SDM研究科修士課程修了。英ケンブリッジ大学客員研究員。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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