• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

池上×手嶋対談「FBIと大統領の喧嘩」の悪夢

ジャーナリスト2人がインテリジェンスを語る(前編)

2017年3月30日(木)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

手嶋:雑多で膨大な「情報」は、英語では「インフォメーション」。「インテリジェンス」とは、その雑多で膨大な情報の海から貴重な宝石の原石を選び抜き、分析し抜き、彫琢し抜いた、その最後のひと滴を指すのです。

 このように、「インフォメーション」と「インテリジェンス」は、似て非なるものですが、日本語にしてしまうと、ともに「情報」になってしまいます。

 「インテリジェンス」とは、一国の指導者が、最後の決断を下す拠りどころになるもので、新聞情報や噂を含めた「インフォメーション」とはその重みがまったく違います。国家の舵を右にとるか、左にとるか、最後は一国のリーダーが孤独のうちに決断し、その責任を取るわけですが、その判断の拠り所となる情報こそ「インテリジェンス」です。

 日本にそうした文化が根付いていなかったのは、戦後長く超大国アメリカに安易に頼ってきたことの、一つの証左なのです。

池上:ちなみにアメリカには17ものインテリジェンス機関があるといわれています。

手嶋:CIA、FBIが有名ですが、ほかにも電波傍受を担当するNSA(アメリカ国家安全保障局)、軍の情報部であるDIA(アメリカ国防情報局)と、様々な分野の情報機関が紡ぎ出す「インテリジェンス」が一つにまとめられ、アメリカ大統領の決断を支えてきました。

池上 彰(いけがみ・あきら)
フリージャーナリスト。1950年生まれ。慶応義塾大学経済学部卒業後、NHK入局。社会部記者として経験を積んだ後、報道局記者主幹に。94年4月から11年間「週刊こどもニュース」のお父さん役として、様々なニュースを解説して人気に。2005年3月NHKを退局、フリージャーナリストとして、テレビ、新聞、雑誌、書籍など幅広いメディアで活躍中。近著に『僕らが毎日やっている最強の読み方;新聞・雑誌・ネット・書籍から「知識と教養」を身につける70の極意』(佐藤 優氏と共著、東洋経済新報社)『池上彰の「経済学」講義1 歴史編 戦後70年 世界経済の歩み』(角川文庫)『書く力 私たちはこうして文章を磨いた』(竹内政明氏と共著、朝日新書)など。

池上:そのインテリジェンス機関の代表格、かつ、カウンター・インテリジェンス(機密の流出を阻止する)組織であるFBIのコミー長官が、アメリカ議会の下院情報特別委員会という重みのある場所で、トランプ大統領とロシアの関係について捜査していることを認めた。ということは、FBIは「トランプ大統領との対決」に本気になり始めているように見えます。

手嶋:確かにそう見えます。アメリカの情報機関は冷戦期から、対ソ、対ロ強硬路線をとってきた伝統がありますから、不明朗な形でアメリカの政権がモスクワとつながっているとすれば、鉄槌を下したい思いは底流にはあるでしょう。

すみません、FBIとCIAは、情報機関としてどう違うのでしょうか。

手嶋:FBIは、アメリカ国内にスパイやテロリストが浸透してくるのを防ぐカウンター・インテリジェンス機関です。対してCIAは、海外に情報要員を配して機密情報を収集し、分析して、国家の意思決定を支えるインテリジェンス機関です。

池上:所轄は違いますが、大統領の目となり、耳となる、という点では同じです。

マイケル・フリン辞任から歯車が狂いはじめた

手嶋:その通りで、いずれも情報機関の両雄にして重要な組織です。それらを統括し、自らの決断の目となり、耳となるものを、大統領が信用しないとなったら、どうなるか――情報機関の側では、命を賭けて情報を集め、分析しなくなってしまうでしょう。

としたら、どうなるんでしょう。

手嶋:トランプ船長が舵を操る、アメリカという名の巨大なタンカーは、羅針盤もレーダーも故障して、機能していない。極めて危険なことになってしまいます。

池上:そのタンカーとは、同盟国である日本も並走しているわけですから。

手嶋:国家安全保障担当大統領補佐官のマイケル・フリンが辞任したあたりから、歯車が狂い始めましたね。彼が与えられたポストは、ホワイトハウスの側から情報機関を統括する要だったのですが。

池上:トランプ政権の国家安全保障問題担当大統領補佐官に就任する前に、駐米ロシア大使と電話でやりとりをしていたことが、メディアにリークされて、フリンは就任早々に辞任という、ばたばたの結果になりました。

コメント1

「著者に聞く」のバックナンバー

一覧

「池上×手嶋対談「FBIと大統領の喧嘩」の悪夢」の著者

清野 由美

清野 由美(きよの・ゆみ)

ジャーナリスト

1960年生まれ。82年東京女子大学卒業後、草思社編集部勤務、英国留学を経て、トレンド情報誌創刊に参加。「世界を股にかけた地を這う取材」の経験を積み、91年にフリーランスに転じる。2017年、慶應義塾大学SDM研究科修士課程修了。英ケンブリッジ大学客員研究員。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

プロフェッショナルとして、勝負どころで安易に妥協するなら仕事をする意味がない。

手嶋 龍一 作家・ジャーナリスト