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遺体は火葬場へ直行、でも遺骨は手元に置きたい

特別鼎談、「多死社会と葬送」

2017年3月29日(水)

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 かつてない多死社会を迎えている日本で、葬送はどう変わっていくのか。2月14日、東京・増上寺でシンポジウム「多死社会と葬送」が行われた。

 新刊『骸骨考』を出版するなど、遺骨や葬送に関しての造詣の深い養老孟司さん、浄土宗の僧侶でホームレス支援団体の事務局長を務める吉水岳彦さん、そして著者の鵜飼秀徳が名和清隆さんの司会のもと、葬式について、墓について、寺について語った。

(写真すべて:大高和康)

司会(名和清隆さん):本日は「多死社会で変わる日本の仏教、葬送を語る」というテーマでお三方に語っていただきます。現在、日本はすでに死者数が出生数を上回る多死社会に入っているということですね。

鵜飼秀徳(以下、鵜飼):そうです。2015年で約130万人の人が亡くなっています。これが2030年には約160万人。鹿児島県の人口と同じぐらいの数の人が1年間に亡くなっていくわけです。これは2040年まで増加します。

司会:多くの死は現場にも変化をもたらしているわけで、葬送が本日のキーワードです。葬送の現場では一体何が起きているか。日本仏教はどう変わってきて、我々はどう死と向かい合っていけばいいのかなどについて議論を深めていきたいと思っております。鵜飼さんは、何がきっかけで著書『無葬社会――彷徨う遺体 変わる仏教』を書かれたのですか。

鵜飼:私は京都の嵯峨野にあります檀家の数が120軒ぐらいの小さな寺の二男として生まれました。今、田舎では寺の消滅が進んでいます。では、ビル型の大きな納骨堂を経営している都会のお寺は安泰なのかという疑問からスタートしました。多死社会を迎えて何が起きているかというと、例えば首都圏の一部では火葬場の過密が起きています。その結果、火葬待ちのための遺体ホテルのような遺体安置所が最近増えてきています。そういう葬送の問題や死生観の変化、寺の檀家制度の枠組みの変化など、死を巡って大きく変革期を迎えているのかなと感じています。

養老孟司さん(東京大学名誉教授、解剖学者)
1937年、鎌倉市生まれ。東京大学医学部卒業後、解剖学教室に入る。1995年、東京大学医学部教授を退官し、同大学名誉教授に。1989年、『からだの見方』でサントリー学芸賞を受賞。1985年以来一般書を執筆し始め、『形を読む』『解剖学教室へようこそ』『日本人の身体観』などで人体をわかりやすく解説し、『唯脳論』『人間科学』『バカの壁』『養老訓』といった多数の著作では、「身体の喪失」から来る社会の変化について思索を続けている。

養老孟司さん(以下、養老):私は長年、解剖学をしていて亡くなった方とはかなり親しい、言い方は変ですけれども、一般の方はあんまり過ごさない時間を過ごしたんですね。そういう点で感覚的に普通の方と少し違うのかなと思います。

 自分自身のことでいえば、いずれ葬式になるわけですが、自分で出せるわけじゃありません、葬式は残された人のものですからね。ところが周りの人を見ていますと、生きているうちにいろいろ葬式の指図をするものですから、あれは余計なお世話じゃないかなということをときどき感じますね。それで、鵜飼さんの本を拝見して、今こうなっているんだなと少し理解できた。

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「遺体は火葬場へ直行、でも遺骨は手元に置きたい」の著者

鵜飼 秀徳

鵜飼 秀徳(うかい・ひでのり)

日経おとなのOFF副編集長、浄土宗僧侶

京都市景観市民会議委員(2016年)、佛教文化学会会員。 1974年生まれ。成城大学文芸学部卒業後、報知新聞社へ入社。2005年日経BP社に入社。日経ビジネス記者などを歴任。2016年4月より日経おとなのOFF副編集長。浄土宗僧侶の顔も持つ。正覚寺副住職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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